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こんにちは!鍼灸マッサージ師の東 理子です。
先日、学校の先生をしている方の治療に行ってきました。

中医学では、「失音」といい「声がかれて、声が出にくい」という症状でした。
この方の場合、発症のきかっけは風邪をひいたこと。
また職業柄、常日頃から声を出していて声帯の使いすぎが原因と思われました。
喉の痛みもあります。
今回が初めてではなく2~3年前に初めて発症し、以来、声がかれ易い。
ということで症状が悪化すると治療をするという状態。

中医学で「失音」を調べてみると、4つほどにタイプ分けできます。

①外邪による失音(風邪が引き金になる)
 外からの寒さや熱を受けて、肺の気が塞がって声が出なくなる。

②情志(ストレス)による失音
 情志のうっ結(ストレスによる気の滞り)により声の出が悪くなる。

③声帯の疲労損傷による失音
 高い声で歌ったり、話をし過ぎたりして、声帯を損傷して起こる。
 反復して発作をおこす。多くは教師と声楽家。

④肺燥津傷による失音
 喉の潤いが悪くなることにより声帯が潤いを失い声が出なくなる。

今回の方は①③のタイプになります。
失音の治療は、魚際、廉泉、扶突、天突、合谷。
他にご本人の気になる喉の部分を治療しました。
効いていると鍼を入れた時に気持ち良いそうです。
ただ、首の前面(のど)は、神経や血管が多くありますから
刺入は浅くし、動脈を避けて慎重に行います。

上記のツボの他に、タイプ別に追加して用いると良いツボは、
①外邪
 熱性:大椎
 寒性:風門
②情志(ストレス):太衝
④肺燥津傷:太谿
となります。
ただし、この方の場合、先に病院を受診したのち鍼の治療をしました。
器質的に原因がある場合、まずそちらの治療が必要となります。
医師の診断を受け、器質的疾患がないか診てもらうことが必要と思います。

参考文献『針灸学〔臨床篇〕』
         天津中医学院+学校法人後藤学園 著
         東洋学術出版社