
ディズニーが再開後も今年の経営資金が内部留保資産だけで乗り切れるとは思えない。
経常赤字は覚悟しなければならない。
企業が赤字になったとき、普通の企業は銀行や金融機関から借り入れをする。
オリエンタルランドならば、もちろん銀行は喜んでキャッシングするだろう。
しかし、私は反対する。
多額の返済計画は今後の経営戦略の選択肢を狭めることになる。
安易な道をとると、次に何か天災がふりかかったときに回避ができない。
一番の懸念は、関東圏の大震災が起きることを想定して、その場合に備えることだ。
今年の初めに、われわれは新型コロナウィルスの被害をまったく想定していなかった。
2月に前年の経常利益の下げ幅が小さいことに安堵したし、
今年はオリンピックを迎えて新エリアにさらにたくさんのゲストを集めよう、その勢いに楽観していたこともある。
順調なら、今年の売り上げは最高益を更新し、内部留保も十分な蓄積ができたはずだ。
それを見込んで、オリエンタルランドも第二の新エリア(ファンタジー・スプリングス+アレンデール王国)とトイストーリーホテルの地盤整備工事をすすめている。
ここで赤字補填の借入金を作ったら、さらなる資金調達が必要になったとき、それをまた借入金で補填しなければならない。
それは避けなくてはならない。
資金調達は他にも方法がある。
その王道は[増資]だ。
株式を新規に発行して株主を増やす。
資本金は借金ではない。
返済する必要はない。
社長が世界に向かって、
「東京ディズニーリゾートの運営に投資してください。きっと儲かりますから」と大見得を切れば、たちどころに百億単位の資金が集まるのだ。
株式の新規発行に不安や反対があるなら、転換社債という手段もある。
これは高額な株式を十万円ぐらいの社債に分割し、一般のディズニーファンにも買い支えてもらえる仕組みだ。
転換社債は満期になったら株式に転換できる権利がある。
これも結果的に増資になる。
私は提言したい。
いまから増資計画を練り、再開後に株価が持ち直した時点で、チャンスをつかんで冷静に実行すること。
そのとき、世界の誰が東京ディズニーリゾートに投資するだろうか。
金融機関でも、海外の富裕層(彼らは絶滅)でもない。
われわれディズニーファンが真っ先に手を挙げる。
社長、みんなを信じてくれ。
