神社の砂利の敷き詰められた社殿の荘厳な雰囲気は、ついでに参拝するようでは、
何やら不謹慎であるように私の足を遠ざけた。

「お参りはしない?」

マコトが尋ねてくれるがやはりその気になれなかった。

「うん、そうね。素通りのほうが失礼なのかな?」

「いいんじゃないかな。じゃ、今度しよう。」

私達は裏手に回り木々の中をゆっくり歩いた。
大きな欅の木の下に、ペンキの禿かかったベンチを見つけ、二人並んで腰を下ろした。

「普段運動不足だから、キツいね。あの程度の階段で息が上がっちゃうんだもん。
情けないなぁ。」

「此所には、何度か来た事あったの?」

「僕は祖父母の家がこの近くにあって、子供のころは祖父さんに連れられてよく来てたよ。」

「そうなんだ。私は初めて来た。マコトには思い出の場所なんだね。」

「まぁ、そうかな。お祭の時はいろいろ買って貰ったかな。」


ハハハっと屈託なく笑うマコトに私の告白は酷であろうか?私は話をする前に、
もう一度自分自信に問い掛けてみる。

私は貴方以外に好きな男がいて、その男を心から追い出すことが出来ないで
います…そんなことをマコトに話して自分はスッキリするかもしれないが、自己
満足に過ぎないのではないか。

私は言葉を選んでしまいなかなか話を切り出すことが出来ずにいた。

「ねぇ、真千子ちゃんは、他に好きな人でもいるのかな?」

不意にマコトから質問されて、驚きのあまり心臓か止まりそうに感じた。

「私は、私はね…」


私は空に浮かぶ雲を見ながら、池の鯉のように口だけ何度もパクパクと開い
てしまう。丁度よいと思われる言葉が見つからない。