映画「ホワイト・ノイズ」 2022(令和4)年12月9日公開 ★★★☆☆

原作本「ホワイト・ノイズ」 ドン・デリーロ 集英社

 

 

1984年アメリカ。

ジャック・グラドニー(アダム・ドライバー)は「カレッジ・オン・ザ・ヒル」の教授で

アドルフ・ヒトラー研究の権威で、彼の講義はいつも大人気。

妻のバベット(グレタ・ガーウィグ)と4人の子どもたち。

ふたりはそれぞれが4度目の結婚なので

長女のデニースはバベットと2度目の夫との子ども

長男のハインリッヒはジャックと最初の妻との子ども

二女のステフィはジャックと3番目の妻との子ども

二男のワイルダーはジャックとバベットの間に生まれた子どもです。

 

娘のデニースは最近の母の異変、なかでも酷い「物忘れ」に気づいていました。

バベットの捨てた薬のケースには「ダイラー」と書いてあり

この薬のせいかもしれないのですが、調べてもわからず。

 

そのころ、有害物質を積んだ列車にタンクローリーが衝突、炎上します。

ジャックの家からはかすかに煙が見える程度ですが、

そのうち住民に避難命令が下され、一家も車で避難します。

 

途中、スタンドで給油しようとジャックが外に出たとき

ジャックだけ雨を浴びてしまうのですが、

この時に降った雨の中には

命にかかわるような汚染物質ナイオディンDがふくまれているといわれます。

家族には内緒にするも、ジャックは死の恐怖にとりつかれます。

 

デニースからダイラーのことを聞いたジャックが

バベットを問い詰めると、

「急に死ぬのが怖くなって、解決策を探しているうちに

タブロイド紙の広告で知った新薬の被験者となった」と。

新薬ダイラーを与えられるも、物忘れの後遺症がでてしまい、

危険だからと実験は中止。

でもどうしても薬が欲しくて、Mrグレイという中心人物に

「数カ月にわたり自分の体を差し出した」と告白されます。

 

ジャックは復讐心と、自分も死の恐怖から逃れたい気持ちから

Mrグレイの居場所をつきとめ、彼に銃を向けます。   (あらすじ ここまで)

 

 

ノア・バームバック監督の新作は、

過去作に何度もキャスティングされたお気に入り俳優の

アダム・ドライバーとグレタ・ガーウィグ。

グレタは監督の事実婚のパートナーでもあり

近ごろは、自身も監督としての評価が高いから、

女優をやるのは久しぶりかも。

(すごい髪型で、最初誰かわかりませんでした)

 

バームバック監督作品は、「マリッジ・ストーリー」の記憶が新しいですが・・・

 

 

「ヤング・アダルト・ニューヨーク」でもアダムを起用。

 

 

「フランシス・ハ」では、アダムとグレタが共演していました。

 

 
過去作はすべてバームバック監督の「オリジナル脚本」だったと思うんですが、
本作には意外なことに原作があります。
 
 
図書館で借りて読んだので、今、手元にないんですが、
ほぼすべてのエピソードは原作通りだった気がします。
 
 ちなみに、これもドン・デリーロ原作です
 
登場人物が全員雄弁で、次々にセリフがくりだされるところとか
バームバックのオリジナル脚本ぽいんですけどね。
 
 
 
同僚のエルビス・プレスリー研究家のマーレイ(ドン・チードル)とか、
囚人とチェスしてる長男のハインリッヒ(彼は悲惨な事故を観るのが好き)とか
スーパーで売ってるバイザーを常にかぶってるデニースとか
登場人物全員がクセ強めで、これだけでお腹いっぱいなのに
途中からホラーっぽくなったり、パニック映画になったり・・・
 
そして最後は何も解決しないまま、スーパーで楽しく踊って終わり、とか
意味不明~!
(原作でも、さすがに踊りはしないけど、スーパーの雑踏のなか、
レジ横のラックのタブロイド新聞のなかにすべてが書かれている・・・
みたいなラストでした、たしか)
 
「ホワイト・ノイズ」というのは、音色をもたない雑音のことで
無意識のうちに常に聞かされている
「死に至る音」ということでしょうか。
 
死への不安はだれにもあるものですが、
特に、コロナ禍のなかでは、いろんな単語が独り歩きして
不安をあおる噂が流れたり、気休めのような言葉に逆に動揺したり・・・
「死に至る音」を無意識に感じてきました。
まさに「今」を表していると思えるんですが、
原作が書かれたのは40年前なんですよね。
 
本作の時代設定もそのころ。
最初に「1984年アメリカ」と書きましたが、
これはジャックが
「1968年にヒトラー学科をつくってから16年間」
といっていたので、単純に足し算してみただけです。
 
現代の設定にしてもよさそうな気もしますが、
まるで40年前に撮影されたと思ってしまうほど、時代考証が完璧。
スーパーや街なかの映像も多く、
とんでもなく製作費がかかってるような気がしました。
 
あと、アダムとグレタがかなり太っていましたが
これ、必要?
 
役作りとしたら、プロ根性を感じますが
アダムにはいつもシュッとしていてほしいものです。
お腹ブヨブヨで二重あごのアダム・ドライバーを
見たい人はあまりいないんじゃないかな~?
 
 
 

実は今日公開の「ドリーム・ホース」を観るつもりだったんですが、

家を出たものの、なんか気がすすまなくて

結局「街歩き」をして帰ってきてしまい

映画代は、「古い地図」に消え、まあ成果はあったんですが・・・・

 

ただ、映画と関係ないことばかり続けて書くと

アメーバから「ジャンル変更のお願い」が来ちゃうそうなので、

お正月に配信で観た「ホワイト・ノイズ」の

雑な感想をいれさせていただきました。