そんなこんなで、サラワク州の州都・クチン(猫って意味)に着いた(8月の話だけど)。いつも使ってる安宿に泊まって、翌日はフェリーに乗り込み、4時間もしないうちに、サリケイ(パイナップルって意味)に着いた。船が予定よりも早く着くことがあるので(普通日本では、定刻よりも早く出ることってないよね)、今まで2回爆睡して乗り過ごしたことがあったんだけど、今回は大丈夫だった。乗り過ごした時は、船は1日1便しかないのでヤバかったんだけど、幸いどっちも乗り過ごして30分位して、ちょうど上り(これも1日1便!)とすれ違ったので、そこで(川の上で)乗り換えをさせてもらって事なきを得たのだ!!しかも2回とも同じ船長さんだったため、俺はこの彼からすっかり覚えられていて、今回も「気をつけろよ」とニヤリと注意されてしまった・・・
サリケイは中堅都市で、大抵の買い物はここで間に合う。船着き場には、俺のアパイ(イバン語でお父さんの意味)が待ってくれていた!そう、ここのワークキャンプは長屋の各家族にボランティアが1~2人ずつ分かれてホームステイをするので、すっかり家族の一員として仲良くなるのだ。俺もいつもUgaliさんという一家に泊めてもらってるので、すっかりどら息子だ。まずはお昼ごはんを食べようってことで、市場の食堂へ。俺が向かった店は大のお気に入りの「黄兄弟飯店」(みたいな名前だったような)。70代位の中華系の兄弟が経営していて、写真のチキンライスが美味い!3 RM(90円)で庶民が普通に食べられる値段も嬉しい。ここのお爺さん達も俺のことを覚えてくれてて、歓迎してくれた。
これがチキンライス! 長屋での水浴び(老若男女一緒!)
その後、アパイが新しく買った車で、長屋まで向かう。浮遊は2時間位で着くんだけど、今日は道がぬかるんではまったりしてたので、4時間位かかった!長屋に着くと、今度はインダイ(お母さん)や他の住民たち、それにワークキャンプのリーダーのマコやボランティア達も笑顔で迎えてくれた。今回は日本人が7人、フランス人3人、マレーシア人とチェコが1人ずつの12人が参加。ワークは主に、去年の4つのワークキャンプで作りあげた養魚池の修復。
ここのワークキャンプでは今までは道路の補修、排水溝掘り、周辺のゴミ拾いや草刈り、長屋の壁に描画なんかにも取り組んできたけど、養魚池はこっちからの提案。というのも、ここの人達は魚をよく食べる(あと米はもちろん、豚や鶏、野草のような野菜もよく食べるし、他にもアルマジロとか猿とかバッタとか何でも食べる!)川で取れる魚もあるけど、市場でもかなり買っている。隣の長屋では自前の養魚池を持ってる人も何人かいるけど、ここには1人もいない。それと、長屋は今でも助け合いの精神とかは根強く残っているけど、一方で個人主義・個人所有化が進んで、だんだん失われてきているらしい。そこで、この養魚池をつくって共同で管理することで、新鮮な魚を安く手に入れられるようにするとともに、地域の絆を再生するきっかけにもしたい。なんて、こんなことを外部の俺が言ってるだけでは、余計なお世話なんだろうけど、勿論住民の人達と話し合い、合意して実現した。
ところが、養魚池を作ったはいいけど、今年の春に床と壁のセメントが割れてしまって、水が抜けてしまった。
(水たまりが少し残っただけの養魚池) 豚も自前で。これがまた美味い!
普通はワーキャンでは地元で十分技術を持った人がいるので、その人たちに活躍してもらっているんだけど、地元の運営スタッフ(Umiさんというお婆さん)があまり考えずにやってしまったらしい(勿論、それを十分チェックできなかった共済側の俺達も甘かったんだが)。そこで、今回は補修をすることになったんだけど、俺が着いた時には、材料を事前に用意してなくてキャンパーがやることなし。更にはUmiさんが、ここらは透水層が高いから補修してもどうせ壊れると行政の専門家に言われた、もうやめようなどと言いだした。おいおい、この場に及んでそれはないだろう!!ということで、俺とマコは長屋の住民の人達全員に集まってもらって、緊急ミーティングを開いて、熱く今の状況を話し、みんなの協力を呼びかけた。すると、今までUmiさんに誘われてなくて傍観者としてやや冷ややかに見ていた(そして普段からも幾つかの派閥があるようで仲があまり良くない)数名の男達がだんだん心を開いて、色々なアドバイスや提案をしてくれるようになった。具体的には、床に針金の網をまず敷いて、そこにセメントを十分に流し込む、などなどのことなんだけど、ここでは細かい話は省こう。そして、彼らはワークの運営にも前よりもやや積極的に関わってくれるようになった!ワークキャンプが時々発揮する力の一つが、こうした、外からの風をきっかけにバラバラだった地域が新たにつながること。まだこれからだけど!
セメントが届くまでの間、魚達が一時避難している、別の養魚池までみんなで行った。ティラピア(ピラニアじゃないよ)という赤くて30cm位の魚。鋭い棘がいっぱいあって、前にチャレンジした時は素手で捕まえたら血だらけになってもうた。なので、今回はしっかり厚手の手袋を装備。まずは地元のおっさん達が網を見事にぱーっと広げてまく(簡単そうで結構難しい)。数人で水底に着いた網を手繰り寄せ、最後に水に潜って網を巻き込み、魚達をまさに一網打尽。キャンパーのみんなは恐る恐る岸から見物してたけど、去年のワークキャンプで池を掘ってた俺とマコ(彼女のぶっ飛び度もなかなか素晴らしい)は思い入れも人一倍(ってゆうか、面白そうだからだけど)、おっさん達に混じり、1時間以上かけて、全部で100匹位?の魚を捕まえた。
避難していた池。結構汚い。 捕まえた魚達。すっかり大きくなって・・・
こうして、この日の各家庭のおかずには、取れてのティラピアが並んだとさ。日本人ボランティア達も味噌煮とか照り焼きを作って、廊下でおばあちゃん達にふるまったら、大好評!
からっと揚げて、塩で味付け。美味! こんな風にみんなで囲んで手で食べます。
手食い最高。俺も日本でも時々カレーとか手食いをするけど、インド人の友達によると「指先からは食い物を旨くする酵素が出ているんだ」とか。うちの息子(1歳)が手食いしてるのを見ても、うまそーだよな。スプーンとか箸を使うようにしつけなきゃいけないんだろうけど、手食いの習慣もある程度残したいなんて思う今日この頃。
あの時言い出したアイデアがこんあ風に形になった。そんなこんなで、ちょっと感慨の数日間でした。
正解は、コウモリ。炭火焼鳥みたいな味がして、これもまた美味かったなあ。食べた後はなんかパワーがみなぎって、空を飛べそうな気もした。




