セルフケアが多すぎる(健康法が続かないわけ) | クラニオセイクラルな日々-あたまをさわれば幸せになる

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大阪市淀川区西中島かなや整骨院院長のブログ

ココロに効く、カラダに効く、クラニオセクラル・セラピー

継続は力なり、という言葉をせせら笑うように健康法とかセルフケアは長続きしない。患者さんにセルフケアを勧めることがある。やり方を説明して印刷したものを渡すこともある。それでも次回おいでになったときに伺ってみると「…時間がなくて(やってません)」という方がほとんどだったりする。

 

そういう人はセルフケアを何にもやっていないのかというとそんなことはなくて、YouTubeで見つけたセルフケアをやってます、みたいなことをおっしゃったりする。一応オレは専門家よ。そのオレが薦めるセルフケアを勝手に中断して、根拠の乏しい有象無象の動画の真似をする神経が理解できなかった。何考えてるんだ、アナタは。もうほとんど口に出かかったことも何度だってあるよ。

 

そんなことになる理由のひとつは「停滞期」なんだろうと思う。ギックリ腰みたいな急性の症状であれば大半はその場で改善させることができる。学校に行きにくい、みたいな症状も時間が経っていなければ割と早いこと改善できることが多い。

 

ところがウチの整骨院においでの患者さんの多くは「どこの医療機関や治療院に行っても良くならなかった」という方なのよ。主訴がなんであれその時点で発症からかなりの時間が経過してしまっている。そういう方でも施術の前後で症状の改善は感じていただけるんだけれど、どうしても停滞期があるのね。通院しているけれども症状に変化が(感じられ)ない。これ本当に治るんだろうか、みたいな気持ちになってしまいがちではある。セルフケアにしても同じで停滞期になると「こんなことしていて大丈夫なのかな」「ほかにいい治療法があるんじゃないか」と思うようになる。そういう時に自分が見つけたり、(こちらの方が圧倒的に多いんだけれど)だれか家族や友達が教えてくれたりする健康法、セルフケアがすごく良さげに見えたりするんだな、これが。

 

もう一つの理由。それは「情報量が多すぎること」。検索をかければそれこそいくらでも健康法やらセルフケアやら治療法やらは見つけられる。それはそれで結構なことではあるんだけれど、情報量が多すぎるとあっちこっちに目移りしてしまう。それは決していいことではない。「ジャムの法則」というのを知ってる?選択肢がたくさんありすぎると逆にひとつのものを選択することができない、というマーケティング用語なんだけれど、現代の健康法がまさにそれよね。いろんなものに中途半端に手を出し続けたその結果、カラダが整わなくなってしまうのよ。

 

話を単純化して説明するね。腰痛の患者さんがいたとする。腰痛の原因をあれこれセラピストが説明するのはすべてそのセラピストの「診たて」であってこれはあくまでも主観。一人の腰痛患者さんをどう評価してどう治療するか、というのは医師を含めて一人一人の臨床家の言ってみれば哲学であってそれは残念なことに真理ではない。腰痛の原因だって「背骨のズレ」「骨盤のゆがみ」「自律神経のアンバランス」「気の流れの乱れ」「股関節の角度異常」、といろんな診たてがあって、それぞれの治療法がそれなりに成果を上げているわけでしょう。(治す技術もないのに患部をちんたら揉む、というのもあるけれど)少なくとも医療の世界に「真理」と呼べるような普遍性のある診たては存在しない。

 

腰痛の原因は骨盤のゆがみ、と考えて施術をするということはそういう考えで患者さんの身体を整えていくということ。その時に「自律神経が乱れている」とか言ってけったいなエクササイズを始められるとカラダは混乱する。自律神経を調整しても腰痛は治るだろうけれど「骨盤」を軸にして身体を整えていくうえで、それが有利に働くとは考えにくいよね。

 

船頭多くして、とは言うけれどまさにそれ。単独であればちゃんと身体が整って腰痛が治ったかもしれないものを無駄に多い他の情報が邪魔しているの。そういう意味ではひとつの哲学(治療法)に沿って身体を整える、ということが難しい時代なのかもしれないね。

 

どんな治療法でもお困りの症状が改善するまでにはある程度の時間が必要になる。しんどい思いをしている方からすれば悠長に聞こえるかもしれないけれど、これ、と決めた治療法を信じて続けることが回復への早道なのだと思うよ、オレは。