1979年6月、真梨子さんは、セカンドシグル「ハート&ハード~時には強く時には優しく」をリリースしました。「いすゞNEWジェミニ」CMソングとして、真梨子さん初期のスマッシュヒットだと思います。

 ちなみに、「いすず」は、今でこそトラック専業メーカーですが、当時は乗用車も販売していました。「ジェミニ」は、中でも人気車種でしたが、結果的にこの車が「いすず」最後の乗用車になるとは、真梨子さんも、想像だにしなかったのではないでしょうか。

 真梨子さんのセカンドシングルと云えば、「夢ゆらり」と云う作品があります。1979年に日テレで放送された「愛と死の絶唱」と云うドラマの主題歌でした。

 西村寿行の小説「安楽死」を原作にした。サスペンス恋愛ミステリーと云った趣のドラマで、大原麗子や田村正和その他豪華俳優陣が名を連ねています。真梨子さんの厚みのあるハスキーボイスがドラマの情緒を盛り上げていた様に思います。

 ただ、この作品、一時、シングルリリースもされていたのですが、いつのまにか闇に消えて、真梨子さんの「幻のセカンド」になっています。それから40年余を経て、2020年発売の「高橋千秋楽」で、あらためて日の目をみることになったのです。

 真梨子さんは、カプリシャス2代目ヴォーカルと云う弊害を背負いながらも着実に、その歌唱力を世間に浸透させていきました。第三弾シングル「サンライズ・サンセット」、第四弾「アフロディーテ」とシングルを出し、アルバムも第二弾「Sunny Afternoon」、第三弾Monologue」を発表しています。

 「アフロディーテ」は、「グリコチョコレート アフロス」イメージソングでした。このCMには、当時売り出し中の若手俳優三浦友和が起用され、世間の注目を集めたことは周知の通りでしょう。

 「ひとりあるき」から始まったコンサート活動も、1979年の「MARIKO TAKAHASHI CONCERTVOL.2ハート&ハート」から軌道に乗り始めます。

 当時、真梨子さんの事務所には、やり手の女性プロデユーサーが居て、おしゃべりの苦手な真梨子さんにMCの台本を用意したとか。しかし、これは流石に上手くいかなかった様です。それに懲りてか、1980年の「MARIKO TAKAHASHI CONCERTT VOL.3 Monologue」コンサートでは、全くMCのないステージを観せてくれました。これは、これで歌一本で勝負する真梨子さんに相応しかった様にも思います。

 真梨子さんのアルバムは確実に10万枚以上のセールスを記録し、コンサート会場も常に満席状態でした。

 サードオリジナリアルバム「Monologue」は、オリコンTOP10入りを記録し、真梨子さんは、「バラードの女王」として、その地位を固めつつありました。

 「シングルは売れなくともアルバムは売れる」と云うのが業界の高橋真梨子評でした。「Monologue」コンサートは青山の草月ホールの様な小会場に満席の客を集めて連日大盛況を博し、その後の真梨子さんの音楽活動を決定づけた気がします。