2016-07-15

サバ二レース ふりかえり

テーマ:サバニレース

今年のレースはトップ3チームが最後の最後まで競い、実に楽しいレースだった。
(今だからのんびりと言えるが、) 

レース終了直後、ざまみ丸艇長・ユキボーから「面白かったなー」と声を掛けられ 私は大きく頷いた。 

清々しくも晴れ晴れとした気分になった。 
勝っても負けても これほど気持ちのいいゴールはなかった。

今夏はじめて女海想の舵を握ったキミから
「どうして当初の予定にないコースに行ったのか?」と質問があった。 

同じような質問を、ざまみ丸や、やんばるチームの満名さんからも聞こえてきた。
「急にコースを変えるから何かあったのか?」 
「何か訳があるはずだけど着いて行く勇気がなかった。」と。
 
表彰式では簡単な説明をしたが、
式のあと、4チーム(海想、女海想、やんばる、サバニトリップ)の応援とクルーが海想の事務所に戻ってから舵取りを担当した3人に詳しく説明した。 

私の戦略が正しかったのかそうではなかったのかは、これを見る方の判断に任せたい。 
自身はトップでゴールする戦略では間違っていなかったと思っている。

問)前島を過ぎてどうして当初の予定にないチービシ側に下ったのか?

(その前にこれまでの戦況を)
海想はスタートから順調なスタートを切った。初めの灯台下で既にトップの位置にいた。
この時点である程度いける。と思っていた。 
ただ問題は弥帆が使えない状況になれば戦況は大きく変わる。 
勝負はジシップを超えてから風が弥帆に入ってくれるかが勝敗を分ける。 
灯台下を超えてからも弥帆を利用すべくやや左側のコースを取り、なるべくバタつく環境を無くそうと考えた。 
潮とやや強い風と最短距離を走っていたざまみ丸に結局、儀志布(ジシップ)のコーナーでは並ばれてしまった。 
弥帆を犠牲にしても最短コースを行った方がよかったのかは今もって判断がつかない。

儀志布から前島までは黒島近辺では突風でカムのビスが抜けて、突然 帆が大きくバタついた。 
マストが前後左右に激しく揺れ、すんでのところで折れるところだった。

ゆっくりティンナーを引き、舟を風上に向けた。 
これよりカムは使用できないので腕だけで踏ん張るしかない。 
スピードが乗らない内にティンナーを引きすぎるとマストが耐えきれなくて折れる恐れがあったので方位は無視してゆっくりゆっくりと立て直していった。

このトラブルで直ぐ後ろを走るやんばるチームとざまみ丸に抜かされると思ったが、以外とその距離は変わらなかった。

突風が過ぎ去ると弥帆が前後に揺れだした。 
つまり弥帆の風が入っていなく単に抵抗になっているに過ぎない。 
弥帆をグイッと引き、風に立てて主帆だけで走った。 

こうなると主帆の面積で勝るやんばるやざまみ丸に追いつかれてしまう。 
案の状、前島のリーフを超える時はやんばるチームに並ばれてしまった。 
まだ半分も来ていないのに貯金を使い果たし、この先風は私に味方してくれそうもない。 
このまま同じコースを走れば結果は見えている。
きっと前日のミーテングどおりに風が上がる少しのぼり気味のコースを取るだろう。

前島のリーフを超えて、私も同じコースを取っていたが大きなうねりが北東方向に入っていた。 このうねりを利用することにした。 
この時点で弥帆にはまだ十分に風が入っていなかった。
弥帆を利用するには方位を120~130度前後に戻す必要がある。
そのためには一旦下り角度を付ける必要がある。 
どの時点で戻すかは難しいところだが、少なくともうねりが十分な大きさになるまでは戻せない。

並んでいる2艇は前島が遮っていた風を抜けてグングンスピードを上げているころだろう。 
恐らく2艇は下に行った海想はトップ争いから脱落したと想像する。 

そしてうねりに乗るように、やんばるとざまみ丸の遥か前方に向けて舵を切った。
弥帆は十分とは言えなくともバタつくことはなかったのでその役目をはたしていた。

大きかったのはこのうねりに乗れたこと。
乗る瞬間は少し北東へのぼすぎてはいたが、乗らない時に修正し、そのロスを差し引いてもスピードが勝った。

上位2チームとゴールとの延長線に入ったときにどちらが先に前に来ているか?でこの戦略の良し悪しが決まる。 
そしてその延長線に並んだときは私は他の2艇を大きく離すことに成功した。

これより先、風が落ち追い風気味となっては前島で追いつかれたように後方のチームが有利になる。状況は決して楽観できないし他の選択肢は限られている。 

この距離を維持しゴールするしかない。 
やはりジリジリとやんばるチームが にじり寄っていた。 
ゴール直前では追いかける勢いで威勢のいい掛け声が聞こえてきた。

何とか逃げ切ったが、その差はたったの2分だった。

おわり。



・座間味入りの船上、コースの下見で盛り上がる
・プレレース・マリリンカップではギャラリーも乗せて座間味の海を楽しんだ


・レーススタート
・女海想の伴走船はサバニ「とも丸」山城昌城氏!


・今年はゴムボートでサポートしてくれたカメラマンの村山喜昭氏!
・「海想」今年はルーキーを迎えて挑んだ



・「女海想」今年はルーキー舵取りで上位チームを追いかけた
・「やんばる」いつも笑いの絶えないクルーたち



・「サバニトリップ」自作のサバニで挑むマコト+西表島からのクルーを迎えて
・スタート前、「楽しもう!」が合言葉。



・表彰式会場にて 


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2016-06-23

サバニトリップ号

テーマ:サバニレース





今年の座間味サバニ帆漕レースはマコト(サバニトリップ号)もアウトリガーを付ける。
これまで彼は単舟しか乗っていなかった。
アウトリガーが付いているとむしろ怖くて乗れない。と言っていた。

私のチームから枝別れしたチームとは言え、伝統に対する考え方は人それぞれだし尊重すべきと考えている。
マコトは多くは語らないけど私は勝手に単舟に重心をおいている。と思っていた。

ところが何の前触れもなくアウトリガー付きを準備しているのを見て、そのしなやかな考え方が嬉しい。
私を含めアウトリガー付きからはじめて単舟に切り替えたチームが多い中、単舟からアウトリガー付きに変更するのは珍しい。

マコトのチーム名は「サバニトリップ」。

自ら造船したサバニでいよいよトリップを具体的にイメージしているのだろうか。
彼はサバニ航海に二度参加している。

初めての参加が沖縄本島から宮崎までの航海。
二度目は波照間島から沖縄本島。
二度ともハードな貴重な経験をしている。

こうした島渡りを6mのサバニで達成できたら、似て非なる旅になりまた違う可能性が広がる。
そのスタートが、このレースかも知れない。
多分 かなり早いと思う。








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2016-06-07

サバニ帆漕レース

テーマ:サバニレース

昨年は常勝のざまみ丸に挑戦したくなって、久しぶりにアウトリガーを付けて出た。

目的を達成し、次はどのスタイルで出場するか?迷い暫くは決めかねていた。

単舟となるとアウトリガー付きとは比較にならないほど体への負担が増す。
だから技術を磨く。というより体を造らなければならない。

名護湾は年間を通じて練習できる環境にあるが、
私たちが望むハードな環境はそう何度も訪れる訳ではない。

もし単舟での参加ならいつまでも悩んでいる訳にはいかない。

そんな中「連覇を阻止されたざまみ丸は本気で悔しがり全ての装備を見直すらしい」
そんな話が伝わってきた。

やはり連覇は慢心を生み更なる努力を怠る。
負けることは決して悪い事ことばかりでない。
更なる高みへのステップとなるものだろう。

ここで私が単舟に戻って、ざまみ丸がたとえトップでゴールを切ったとしても真の喜びは味わえないのかも知れない。
私にとっても装備を一新したチームにガチで挑めるのは幸せなこと。

単舟での参加も楽しく名残惜しいが、どちらかを選択するしかない。

かくして今年のスタイルは決まった。

装備は昨年と何一つ変わらない。
もしかしたら自身も慢心の中なのかも知れない。

まぁーそれはそれで次へのステップと考え良しとしよう。
ざまみ丸の一新した装備を見るのが楽しみだ。






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2015-06-21

座間味レース「やんばる」

テーマ:サバニレース

帆かけサバニでレースに出場することは、相当のエネルギーを要する。

サバニを準備し、
どこかで調達できる訳ではないコツコツ自らで制作しなければならないマストや帆、エークなど、諸々を準備して、
初めて出場する準備ができる。

「やんばる」チームのキャプテン・満名は、
入るお客様より断るお客様の方が多いのでは?と言われる程人気のシマブタの店を切り盛りして、
全く空いた隙間のない生活をしているにも関わらず、
今年も早くからレースには出る。 と決めていた。

サバニは私が管理しているが、
準備にいつまでも動き出さないからこっちがしびれを切らしついつい手を出しそうになる。

どのチームも多かれ少なかれいろいろな問題や苦労を乗り越えて出場している。

今年のやんばるチームはメインのクルーがいろいろな理由で3人も抜けてしまった。
そこでまだ一度もサバニに乗ったことのない女性に中学生2人を含む3人の学生が乗る。

指南広義号は、「より多くの人に帆かけサバニに乗ってもらいたい」との思いで造られた舟だ。

チームはそれぞれのカラーがあり、
十分な準備が出来ずとも、それはそれでやんばるチームの、
`てーゲーなユルさ’も、らしくていいのかも知れない。と思えてくる。

多くの困難を乗り越えて、
焦るでもなく、結果としてさらりと実行に移すしなやかさが実は本当に強いのかも知れない。

とにかくエントリー出来たことに、敬意を表したい。









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2015-06-20

座間味レース「女二人海想」

テーマ:サバニレース

面白いことに、
単舟のみ練習をしてきたアンちゃんはアウトリガー付きのサバニには怖くて乗ろうとしない。

ティンナーとエークのコントロールで操舟する単舟は一度身につけると自然と体が反応する。

二輪車を苦もなく乗ってもサイドカーは勝手が違って怖くて乗れないのに似ている。

同じサバニでも操舟は似て非なる乗り物だ。

おそらく彼女ほど単舟の練習をした人はいないと思う。
少なくとも1日6時間、年50日以上は海に出ている。
(私たちは一人の舵取りを育てるのに交代せずに徹底的に乗る)

2年で何とか座間味のレースにでる準備ができた。
2013年、第14回大会が初めてのエントリー。

女子のクルーが増えたのをきっかけに、
三度目の単舟での参加は6メートルのサバニに二人の女子で挑む。

単舟で女子二人での参加は深く考えた訳ではなく話の流れで、いわば惰性の産物だったが、
正式にエントリーしてから、なかなか面白いチャレンジかもしれないと思えてきた。

6メートルという大きさは、帆かけサバニが漁船として活躍していた時代の最もポビュラーな大きさだった。
この大きさで一人ないし二人で帆を揚げて生活のために海原に出ていた。

その時代に最も近い姿であの海峡を渡る。

二人という数字も意味を持つ。

一人は漕ぎとバランス、
一人はエークとティンナーの役目。

ごまかしの効かないスキルの蓄積がないと不可能なスタイルも、順位には現れない誇れるものだとおもう。


おそらくは制限時間内にたどり着けるか怪しいところだろう。

目標は制限時間内にたどり着くこと。

あわよくば、どこか一艇でも追い抜くこと。

そして何より楽しむこと。

順位は元より眼中にないのだから。


この目標は私や女海想、更には他のどの艇よりも高いハードルかも知れない。

トップのチームがゴールする頃、二人は前島を過ぎたあたりだろうか?

もし許されるなら、
男、女 、両海想とやんばるチームがゴールしたら、三艇で応援に駆けつけたい。


ガンバレ   ふたり









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2015-06-19

座間味レース「女海想」

テーマ:サバニレース

海想は久しぶりにアウトリガー付きで出ることにしたら、

「女も!」となった。

最も古く実績のある海想号は手を加える所がないほどに完成されているが、
それでも早く走るための試行錯誤をストップさせる訳にはいかない。

たっぷり時間かけた自信作でも何かと見つかる。
きっと誰も気付かず、もしかしたら何の役にもたたないのかも知れないが、やることに価値があるのでそれでいいのだ。

女海想は、
海想スタッフに3人のアウトリガーカヌーのスペシャリスト達が加わり、舵を握るのは三浦藍子。

飲み込みが早く教えたことを直ぐに習得するものだから、早くから私からは伝えるものがなくなっていた。

王者・ざまみ丸を後一歩のところまで追い詰めた戦力は今も変わっていない。
いや、その時より増している。

舟のポテンシャル、漕ぎ力など総合力でも海想と遜色ないどころか多くの面で凌いでいる。

私はざまみ丸を最大の目標にしているが、その前に近くに越えなければならない、猫の衣を被った虎が存在する。


もしかして、もしかしたら、
大会始まって以来の女性による優勝もその実力を知っているだけに夢ではなくリアルに想像できる。


ライバルだが子供を応援する親のごとく自身のことよりこっちが楽しみだ。








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2015-06-18

座間味レース「海想」

テーマ:サバニレース

今年の座間味レースは、久しぶりにアウトリガー付きのサバニで出場することにした。

座間味のレースは第11回から単舟に切り替えて5年を経た。

私にとってレースに参加する魅力は数時間で終わるレースそのものより、
工房での作業や練習など、その長い至福の時間にある。

単舟で参加していた5年は工房での作業に代わって、
フィールドの練習に多くの時間が費やされた。

練習は海のコンディションが影響する。

スキルを上げるために敢えて風が強く波が上がっている時が適した練習日だった。

風が吹いたり波が上がっているにも関わらず海にでられない日は、
サーファーのように心ここにあらず恨めしく海を眺めていた。

ウサギが飛ぶような日には時間を惜しんで練習に励んだ。


帆かけサバニは一人では十分な練習はできない。

夏に限らず冬でも付き合ってくれたクルーには感謝してもしきれない。


だが今年に関しては何だか今いちモチベーションが上がってこない。

その理由は多分、昨夏波照間島からの航海の途中座間味島に立ち寄った際、
ざまみ丸のレースの模様を見せてもらったからだと思う。

映像を見終えてあまりの凄さに面食らい、正直ちょっとしたショックを受けた。
全てに隙のない高いレベルで完成されている。
このチームを負かすチームなんて、この先現れるのだろうか?

負けた理由をカテゴリーなどのせいにして自ら慰めたくはない。
アウトリガー付きのサバニは単舟にはない、別次元の高いスキルが要求されることを私は知っている。

時が経つほどに、このチームにチャレンジしたくなった。

レースはライバルがいてこそ熱く燃えるものだ。
きっと私だけに限らず相手にとってもそうした存在は活力に繋がるだろう。

私のチームがそうした存在になり得るかは別として、レース参加のモチベーションは明らかに上がった。

よって今年は連覇街道を突っ走る王者・ざまみ丸に何とか食い下がり、
一瞬でも慌てさせ、そしてアワヨクバ一泡ふかせてやりたい。


今年も充実した準備ができた。

工房での悩める日々は終わり、私にとってのレースは終わった。


至福の時間をありがとう。












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2014-07-12

2014 第15回サバニ帆漕レース

テーマ:サバニレース

本レース




レース前日、艇長会議でコース変更の可能性に触れた。
多くのチームは那覇まで行きたいのだろうが、この風では致し方ないだろうなー。

宿に帰り、コース変更の可能性と那覇までコースの要点をおさらい。

那覇までは例年に比べてコースの取り方に特別なことはないように思う。
潮は南への流れだが、強い南寄りの風が相殺して余りあるから全く気にする必要はない。
いい風が吹いていれば他の要因は無視して行きたい方向に真っ直ぐに向かえばいい。

注意する点は、初めの灯台下のコーナーでジシップに真っ直ぐに向かうと早い段階で追っ手になる。
単船の場合、強い風と波が重なると追っ手は最も難易度が高くなりリスクを負うことになる。

追い波に影響しない左寄りのコースを取り、儀志布島にしっかり舵を切れる時にグィーンとコースをとる。 
このコース取りは最もスピードに乗るやり方というより、よりリスクを減らすやり方だ。

儀志布島を超えると後はコースの戦略は殆どないのではなかろうか。 
風が無ければ潮や風向、吹く場所などいろいろな選択があり楽しめるが、そんな戦略など全てを吹き飛ばすほど風は真っ直ぐにゴールに向けてサバニを運んでくれる。


6月22日  レース当日

  


実行委員会は変更か否か、スタート直前までずいぶんと悩んだようだ。 
結果、島内放送でコースの変更が知らされた。 
朝、雲の流れを見てコース変更を疑いないものと思っていたので、実行委員会が悩んでいたことに少し驚いた。 

仮に那覇までのコースだったとしても、きっと多くのチームは完走できていただろう。 
もちろん私自身、名護ではこれ以上の風を何度の経験してきた。 
女海想も苦労しながらもいい経験ができただろう。 

本心では渡ってみたい気持ちがあったが、前日古座間味ビーチに回航するだけで沈したり、練習で幾つものチームが沈をして復活できないでいるのを見ると、こんな波の穏やかな環境でこうなのだから実際のコースでは複数のチームは恐らくドロップアウトするだろう。

このことを実行委員会はどう見るか?だと思うが、複数のチームは伴走船に世話になるだろう。
と予想される時は、今はまだコースの変更は致し方ないと思う。

伴走船はルール上付けているだけで最後の最後の手段であり、絶対に世話にならない。 
参加チームにはそんな気構えが必要なのだと思う。 

またそれぞれが自らのチームの正確なポテンシャルを知り、海況を判断し、伴走船に世話になる可能性があるなら自ら出場を辞退する。 
そこまで成熟した時、実行委員会はこうした条件下でも迷いなく那覇までの選択をするだろう。
だが、残念ながらまだそこまで成熟しているとは思えない。 


コースの変更により、早速舟の装備変更しなければならない。 
それはアウトリガーが付いたサバニに限ったことではない。

   


  



  


帆走の8割を占める安室島~嘉比島までのコースに有利なセッティングをする。
スタートの位置は北側から昨年の成績順となっている。
私は昨年出場していないので南側からのスタート。コース変更にはこちらの方が有利だろう。

前回のコース変更時、安室島の東端に直接向かうのではなくビーチの前にワンクッション、コーナーが設けられた。 
この年にも書いたように、この判断はとても理解できるものではなかった。 
なぜなら、どのチームもスタート時の混乱で必ず数艇はトラブルを起こしている。 
近い位置にすべての舟が集中するコーナーはトラブルを助長するだけだ。

更に前年成績が振るわなかった南側に位置したチームは、一旦下らなくてもいい下に下ってから風上に上らなければならない。 
前年の早いチームがむしろ不利なコースであっていいと思う。
何も手を加えないルール通りのコースが最もフェアーなのではなかろうか。

こうした理由から、前日の艇長会議で前回のようなコーナーは設けるべきではない。と主張し、
実行委員会からは設置の予定はない!と確認したにも関わらず、当日なぜか設置の検討がなされていた。 

たまたまそこに居合わせたので「それは絶対にやってはならない!」と上記の理由を説明して受け入れて頂いた。 
1チームのスキッパーに過ぎない意見を受け入れて頂いた実行委員会の懐の深さと、単に自らのチームの有利不利に主張しているのではない。
そのことを伝えるために敢えてこの場を借りでお伝えしたいと思う。


さて本題に戻る。
 
今回のコース変更は那覇までのコースより戦略の幅が広がりいろいろな戦略が考えられる。
という点で、私はむしろこちらのコースが好きだ。
だからと言って得意でも有利に働くという訳でもない。 

それぞれのチームは、それぞれに綿密な戦略を練っているのだろう。 
特に座間味を拠点に置くチームにとっては生活の場であり仕事場だから、細かな潮の流れや風の強弱は手に取るように分かっている筈だ。

願わくは、もう少し風が弱まれば戦略が多様化し結果に大きく響いてくるのだが。

 



コース

 


名護からは4チーム参加している。前日のミーティングで戦略は同じだった。

まずスタートで帆を上げたまま走るか?下して走るか? 
南西の風は僅かに帆に伝えられる向きなので多くのチームは帆を上げていた。 

ずいぶん迷った挙句、上げずに向かうことにした。 
砂浜で向かうべき方向にサバニを向け、帆を上げたら殆ど角度が無かったからだ。

  

 
古座間味の南端の壁を伝って風が回って本来の角度から南に寄っている。 
恐らく出て直ぐに壁が取り払われると本来の角度に戻って帆に風を伝えられるようになるだろう。
だが、私は更に安室島によって風が影響しないところまで行き、漕ぎでコーナーまで進むつもりでいた。

座間味島と安室島の間からはいい風を拾い、安室島を超えてからも回り込んだ風はしばらくはサバニを押し上げてくれるだろうが、帆を上げることで僅かに北に膨らみ、中間地点からは安室島の山から回り込んだ風に帆を利用するのは難しくなるのではないか。
それを警戒して10度程上ったら帆に風を伝えられない。なら、初めから向かうべきコースにリスクなしで刻んだ方がいい。


  


計画通りに行かないのが世に常で、スタートしてすぐ隣にピタリと海族サブローチームがいた。
しっかりと帆に風を捉えているのを見てやっぱり上げとけば良かった。と思った。 
とりあえず交わして本来のコースに戻そうとするが互いの距離は一向に変わらない。

一瞬スピードを緩めてから上に上るか過ったが、スピードを落とさず交わせるものなら交わしたい。 
たまに私も漕ぎをプラスするが、何とも行きたいコースに戻すことができない。

私の戦略は安室島に向けて早ければ早いほどその目的は達成される。
逆に言えばこのままの角度は逆効果ということになる。 

少しイラついて「あっち行きたいんだよ!」と相手に叫んだら、
「まぁーまぁー落ち着いてゆっくりいきましょう。」 何と余裕なコメント。
こんな場面であれほど落ち着いていられるのはそもそも人の器の違いなのだろう。 
うーん、確かに! 妙に納得して解決策を練った。


  


安室島の中間地点まではまだ時間はある。あそこまではまだ何とか風を拾える。 
すぐに帆を上げることにした。

スピードは出ないが、僅かに帆に風を伝えながらドンドン上った。 
安室島の最も高い山の中間地点で風がピタリととまり、すぐ前に回り込んだであろう風が海をなめていた。
帆を下ろし暫くは向かい風の中をガッツリ漕ぎ続けなければならない。 

「こっからが勝負だよー がんばれー !」 
「よっしゃー行くぞー」 まだまだ元気だ。





右に大きく広がったチームが何艇か見えた。
スピードも距離も確かに向こうの方が遥かに勝っている。 
だが要は風を十分に使える最後のコーナーに誰が最初に辿り付けるか。
最終的にはそこだと思っている。
(帰りのフェリーの中で、あるチームの一人が最初はガンガン走ってウチがトップだったよ。と言っていたが多分それは違うと思う。) 

最初のコーナーは波も思った程上がっていなかったので、様子を見ながらギリギリのコースを取る。
コーナーを回ったところで後ろを見たら何艇かはピタリと後ろに付けていた。
うかうかしていられない、全く離していないことに気づいた。

向かうべき角度が変わり、向かうべき方向と風と波が若干ずれていた。
こんな時の私が取るコースは、目標に向かわずに最も抵抗を少なくするために風と波に対して真っ直ぐに向かう。  

特に強い向かい風の時は効果的な方法だと思う。 
想像だが、もしシーカヤックなら同じような進み方をして時に向きを徐々に変えていく方法を取るのではないだろうか。

だが、帆かけサバニは大きい分風の影響を受けやすい。
僅かな角度でも思いがけなく風の影響を受ける。
「上って 上って」 「エッ まだ? 上るの?」 というところまで上る。
帆を上げ向きを変えて、スピードに乗るまでは実際思いがけなく下る可能性があるからだ。 

後ろに付けていたチームに聞いたら、どうしてあそこまで上っているのか最初は不思議だった。と教えてくれた。
「で? 上る必要はなかった?」と聞いたら上らずに失敗した、と。だいぶロスしたようだ。

私自身、あと2分上れば良かったと思っている。 
こんな時こそ、「急がば回れ」とうことなのだろう。

帆を上げながら後ろを見た。 
今度はある程度を離しているようだった。

風が安定している右側、安慶名敷島南端に向けて真っ直ぐに進む。 
風を入れてスピードを上げようとするが、強い風に腕力と腕が悲鳴を上げている。

那覇に向かうことを想定して左差しを重点的に鍛えていたのが裏目に出た。
しばらく頑張っていたがこの強風では片手使いは限界に近い。 
左手に二重にテンナーを巻き、両手でエークを持った。
このやり方は左差しだとしっくりくるのだが、右差しはどうも苦手だった。 
やっぱり徹底的に苦手を克服しておくべきだった。

コース変更になっても短い時間なら何とかなるだろう。とタカをくくっていた。
全ては弱いところを突いてくるものだ。 

この強風でカムクリートに指したことは無かったが、舟の揺れが安定している今、試して見ることにした。 
もし成功したら両手でエークが握れるので今よりは帆に風を入れられる。

「 カムにさすよーバランス 」 と叫び、少し風を逃がし徐々に引いてみた。 
だが安定していたとはいえ、この風と波だ、固定したティンナーによって舟は左右に揺れる。 揺れに対応できなければ沈のリスクが高まる。

沈のリスクを負ってスピードを上げるか? 
それともスピードは落ちるが少し風を逃がしながら片手で出来る範囲で進むか? 
二者択一しかない。

悩みながらもカムにかける二度目のチャレンジをした。
ティンナーを引き帆に風を入れると同時に右に大きく傾く。
全員左に全体重を乗せ、めいっぱいエークで進路を保つ。

波に乗ったときは、それは気持ちいいほどスピードに乗る。 
安慶名敷島近くになると追い波となり波に乗ると右に振れようとする。 

全員が左を漕いでいるので最悪の場合、一瞬で沈する。 
エークを戻し「ストップ!」と叫ぶ。 
そんなリスクを二度三度繰り返しているうちにカムが何かの拍子で「カクン」と小さな音を立てて外れた。 

全員思いっきり右に全体重を寄せ、私はとにかくティンナーを引き寄せた。
殆ど真横になった状態から体重で立て直すことができた。 
立て直すことができたのは奇跡に近い。 きっとスピードに乗っていたからだろう。 
何とか沈を免れこれよりカムにかけることをやめた。

(ざまみ丸の艇長から後で聞いたが、前を走る私たちのマストが突然真横になって沈したのが見えた。そしたらまたひょこり復活してびっくりした。そうだ。 )





嘉比島に差し掛かる頃、右後方から迫ってくる音が聞こえた。 
ユニフォームがブルーだったので、どこのチームなのか分からなかったが横に並んだ時にざまみ丸と知った。
ずいぶん離しているつもりだったが、こんなところまで来ているとは何とシブトイ奴らだ。

「岩を超えて同じだったらこっちが勝つぞ! それまでがんばれ!」
少し逃がし気味だったティンナーをもう一度引き、老体に鞭を打つ。 
嘉比島北端の岩まで来ると阿嘉島の壁に遮られていた風がここぞとばかりに吹いていた。

ジャイブするか迷い、少し風を入れたらビューンとスピードが増し、クルーの一人が「ヒャッホー 」と叫んでいた。
二重に巻いていた手が締め付けられ、この後更に引き来なければならないことに躊躇した。

一発勝負、失敗は許されない。
何度か経験はあり確率的には何とかクリアーできたかも知れないが、ここでリスクを負うより安全策を取った。 

風上に立て帆を下ろし岩を超えて帆を上げる。
ところが簡単に上がる筈の帆がなかなか上がらない。

「早くあげて! 早く!」
状況はミナーを持つ岩田もよく分かっているが、上がらないのは如何とも仕方がない。

帆が上がらずにもたもたしているうちに、ざまみ丸は悠々とゴールに向けて凱旋。
そのうちに、うみまるが横をスーッと通り抜けていった。

次にやんばるチームが向かっているのが見えた。 
何とか帆を上げることに成功してうみまるを追っていたら、突然目の前でひっくり返った。 
あっけにとられながらも何だかうみまるらしいなー。 

並んだやんばるチームは、弥帆の威力を加えドンドンスピードを上げていった。
ゴール近くのマリリン像の近くには多くのギャラリーがいたのでなるべく近くを走った。


  

  


終わり


レースを終えて

今年もざまみ丸に負けてしまった。 
勝つチャンスは無かったのだろうか? 

コース変更は十分に勝つチャンスはあったと思う。 

・安室島から帆を上げた時からリスクを追って走るべきだった。

・嘉比島の岩で一か八かジャイブにチャレンジすれば良かった。
こんな時もあろうかと名護では更にハードなコンデションで何度も練習していた筈だ。 
一段縮帆をしていたのだから大きなハードルではなかった筈だ。

ざまみ丸はここからはアウトリガーを引きずることになるのでこちらが僅かに有利に働いた筈だ。

残念だが今年も完敗だ。


私はアウトリガーを付けていないことで負けたことを慰めるつもりはない。
どんな装備だろうが自ら選んだ装備で3番目にゴールしたことに変わりはない。 

ざまみ丸はもう何度目かの連続優勝か分らなくなるほど実績を積み上げている。 
恐らくこの記録を超えるチームは今後も現れないだろう。

私は単舟に切り替えたのは、何度も言うようにアウトリガーを肯定するためだ。 
アウトリガーは安全に海を渡る優れた装備の一つだと声を大にして言いたい。 

格好や見栄や文化や、大海の中で小さな命の灯が如何に頼りなく、か細いものか。
死を意識した時に誰もが感じるのではないだろうか。
 
実践の海は死なないことが全てに優先される。
私にとってのレースは実践の海へ繋がっているし、仮にレースだけの参加だけだとしても
その精神を保ち続けることが大切なことだと思う。

今年アウトリガー無しで参加するチームが増えた。
伴走船を付けることで多少のスキルが劣ってもチャレンジすることをもちろん否定するものではないし、立派な一つの考え方だと思う。 

一方、単舟のスキルを身に付けるには途方もない時間を要する。 
そのことを理解した上で、自己完結できる最も安全な方法で誇りを持ってアウトリガーを
装備しているチームは、私は心から本当の意味でカッコいいと思う。


ざまみ丸 おめでとう。




  

    


  
 



  


  



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2014-07-12

2014マリリンカップ

テーマ:サバニレース




私は10年以上参加し続けていた座間味レースに昨年だけは出場しなかった。 
この年、友人が思いがけない事故で突然亡くなった。(今も行方不明だ)

レース参加に当たって、全ては準備にある。と私は思っている。 
その準備に気が乗らなければ参加の意味がない。そんな訳で昨年の参加は取りやめた。

今年は私を加えた4艇(海想、女海想、やんばる、サバニトリップ)で参加すべく準備する。 
が、名護でのイベントや航海の準備が重なり、なかなか思うような準備ができなかった。

特に単舟の練習は海に出ればいいというものではない。 
舵取りのスキルを磨くためには、風と波が上がり、加えてそのタイミングで正規のクルーが揃う必要がある。
そんな日は貴重な時間を惜しむかのように海にでるが、今度は体がついていけない。

帆に強い風を受け止めるティンナーが手に食い込み、伸ばしては引きの繰り返しは私の軟な手の皮膚を豆だらけにして直ぐに剥ける。 
赤く滲んだ皮膚に潮に洗われてジンジンと痛む。握力と腕の筋肉は2時間で限界を超える。

10mを超える風は恐らく大会は行われないだろう。
それでもこの位の風でも涼しい顔で走れなければレースに参加する資格がない。 

隣を走るウインドサーフィンのように崩れ波をジャンプして、更には波の天辺でジャイブしてそのまま滑空できるようにならなければならない。

道は険しなのである。
 
殆どの場合、やんばるチームや女海想、人数が揃えばトリップも一緒に練習するが、風が上がり波が上がる日だけは私も練習に加えて貰う。

  

 


名護湾は比較的どの風が吹いても練習できるが、波が立つのは南混じりの風に限られる。
特に冬は風が回る僅かな時間しかこの波を利用できない。 
(名護湾の南、喜瀬方面は北でもいい波が入ってくる)

別な言い方をすれば、冬とても練習できそうもない強い北が吹いても、唯一名護湾だけは練習できる。 

夏は安定した南が吹くので、沖縄県内で帆かけサバニを練習する場所としては最も条件が揃っている場所と言っていい。 
近年の名護を中心としたチームの好成績は、名護湾という環境に支えられている。と言って差し支えないと思う。


6月16日
航海とレースのためのサバニ合わせて5隻、全ての準備を終えた。 
この先私がやることは何もない。考え得ることは可能な限りやった。

後はただただ流れに任せて時を刻んでいけばいい。
当初の計画では、名護から練習がてら座間味まで帆漕するつもりでいたが、天候が安定しないために搬送することにした。

加えて田舎に行っている間に悪い菌を貰ったようで風邪をひいてしまった。
17日に座間味に渡る予定が、天候悪化と風邪の悪化のダブルパンチで断念。
この日より更に悪化して結局3日間激しい咳に苦しめられ寝込んでしまった。 

金曜日座間味入り、咳は少し治まり何とか動けるまでに回復、座間味の高速船に乗ると見覚えにある面々、マスクをして小さくしている私を見つけ、「またまた小芝居を、だまされませんよ。」想像していた通りのリアクションに切り替えす元気もないまま、ただただ養生して体の回復を待つばかりだ。






6月21日
咳は何とか治まり、マリリンカップに出場することに。
風もいい感じに吹いているので、それぞれの場面のポテンシャルを図る上で最もいい条件が揃っている。  

あるチームは出場機会がないクルーにレースを味わわせる機会を与えたり、まだ那覇までのスキルがないチームはマリリンカップをその主戦場にしたりといろいろだが、私にとっては体ならしと他のチームとの差を図り自らのポテンシャルを実践で図ることで翌日の戦略が立てやすくなる。 
ベストメンバーを揃え、全ての風を帆に伝えるまたとない機会と捉えた。

スタート地点は嘉比島までの距離はあるが、風を拾える沖に向かって左側のコースにした。
戦略上どちらも大きな差はないだろう。
この場合、どちらのコースが正しい。ということはないと思う。
そのチームの持っている特性でどちらのコースにするかが決まるからだ。 
当然、左のコースを取ったチームは帆を上げたまま走ることになるだろう。 


スタートのホーンが鳴って暫くは抜きつ抜かれつの面白い展開になった。 
嘉比島と安慶名敷島の間から吹く風を拾ってなるべく帆走を中心に、嘉比島の壁に遮られてからはなるべくコーナーに向けて漕ぎで上る。
初めに描いていたような展開になった。

隣に競った舟がいないのを確かめて帆を下す。 嘉比島まではこのまま進む。
後ろを向くとやはり帆を下しているのが見えた。 
この時点で帆を下さないでそのまま進む。という選択はあるか。 

帆の上げ下げは漕ぎがその間一人分疎かになる。
それに伴い他のクルーも十分な漕ぎができずに影響してくる。

風が弱い時はこのロス分のメリットが無ければならない。 
私がここで下す。と選択したのは幾つかの理由がある。

・上げ下ろしはこのコース間で試すと決めていた。 
一番エークを握っていたのは女性の岩田、私を含めて後の4人は男。
帆の操作に慣れた男性クルーだと若干前荷重だったため、重心を後ろに持ってくる必要から体重の軽い順にすると彼女ということになる。
ところが帆の上げ下げの経験が浅い。 マリリンカップが、その最もいい練習機会と捉えた。

・嘉比島に近づくにつれ、島を回り込んだ風が本来の向きではなく向かい風となる。 
喧しい岬回りの三角波を乗り越えた先にも大きく聳える岩が乱流を起こし、帆に伝えるのは恐らく難しいだろう。
岩を回り込み嘉比島との間に流れる安定した風を確認し、少し舟を風に立てて帆を上げた。 

ここから先は何も考えずにゴールに向かう。 

後ろからやんばるチームが弥帆を上げて迫って来ていた。あの二本備えた帆には逆立ちしても適わない。
自作の帆に追い越される気分は悪いものではない。 行け、行けーと励ましたくもなる。

実はこのとき私は安慶名敷島の外側を通るコースだと勘違いしていた。
やんばるチームは私の下側から真っ直ぐに古座間味ビーチにコース取っている。
「アレアレ、どっちだった?」といっても誰も分からない。 


  


昨年ボートで追っかけてはいたが、サバニでこのコースに参加したのは初めてだった。

後ろを向いてもまだコースを取るところまでは来ていなかった。
そして直ぐにやんばるチームが正しい事に気付いた。

昨年、安慶名敷島にパラソルを掲げて応援してくれた人たちを思い出した。
それまでどっちつかずのコースを取っていたのをきっちりと古座間味に向けた。

島に寄った分、少し風が緩んだ。 
観光客にもレースの醍醐味を味わって欲しくて可能な限り島に近づき、真っ白なビーチをかすめるように抜ける。

安慶名敷島を超えた辺りから源丸が視界に入ってきた。 
重く大きいサバニと言えども、追い風はハンディーとはならない。 
リスクを避けて少し逃がし気味の帆に風を入れた。
これでグングン追いつかれ引き離されようとしていたのが取りあえず避けられた。
それでも源丸はグングン風上に上り、私たちにとって条件は更に不利になっていた。

更に西村さん率いる「かぎろひ」が横にピタリと並ばれた。
「早いねー」と声をかけた。西村さんは余裕の表情だった。 
帆走に関してはプロ中のプロだからさすが、というしかないが関心している場合ではない。 
とにかく精一杯やれるだけのことをしよう。


沈を覚悟で更にティンナーに力を込めた。
風上に持っていかれて、エークを持つ右とティンナーを引く左の腕はこの風だと限界に近い。 

左手にティンナーを二重に巻き付け両手でエークを握る。
こうすると左だけでの舵取りとは違いずいぶん楽になりスピードもグンと上がるが、ティンナーの微調整が疎かになるため翻弄された波に対処できない時がある。
そのリスクは、クルーの体重バランスに頼ることになる。 

皆に「風 入れるよ! バランス!」「バランス!」 
大きな声で二度叫び、賭けにでた。 

暫くして西村さん艇が視界から消えた。 
それでも源丸とは引きはされなくとも追い越すまでは行かない。 

座間味島と安室島の浅いイノーを超える時、浅瀬を避けて僅かに膨らんだ源丸の間を突き抜けることにした。

クルーの「浅いよー」の声に、「大丈夫!行ける!」
白いビーチの上は仮に底が着いたところで大したことはない。 

ちょうどイノーを超えたところで追い風を受けた源丸が目の前でコースを外れ左に大きく振れた。 

クルーの一人が「チャンス!」と叫んだ。 

後ろに付けていた私たちは結果として源丸の風を遮り風に乗った。 立て直すほんの一瞬の間で、約一艇身程離すことに成功した。 
だが、ビーチに立てかけたゴールの旗はまだ安心できる距離ではなかった。 

まだまだ源丸は諦めている訳ではなかった。源丸のリズミカルな気迫溢れる声が聞こえる。 
この時、真後ろに回り込み風を遮るだろうことを警戒して右側に寄りながら舵を切るが源丸はゴールに真っ直ぐに向かっている。 

ビーチに近づくにつれ、少し風も落ち互いの条件は同じになった。 
追い越される心配もなくなった時点でゴールに真っ直ぐに向かった。




本レースへ続く・・・

(コース写真:サバニ帆漕レースHPより)



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2014-06-17

座間味に向けて

テーマ:サバニレース



今日全ての準備を終えて、やんばるから四隻のサバニが座間味に向けて搬送された。

十分な準備ができたか?と言えば怪しいところだが、とりあえず、できるだけのことはやった。
ここより先、私がやることは何もない。
ただ時の流れに身を任せ楽しむだけだ。

15回目を迎えた座間味の帆かけサバニレース。
今年より幾つかルールの改正が計られた。
中でも二本マストと帆に化繊が認められた。

初めのルールでは二本マストは問題ない筈だったが、いつの間にかNGになった。
今年から新たなルールで復活した。

提案した以上、1艇の参加も無いとさみしいので、
やんばる(名護)からは、アウトリガー付きと単舟の二艇が二本マストの準備をしている。
(二本マストを上げるかは海況次第。
私は経験も自信もないので準備だけはしているが、おそらく上げることはないだろう。)

座間味の海に2つの帆を掲げたサバニが浮かぶのが今から楽しみだ。

また単舟の場合、帆の素材は綿でなければならなかったのが撤廃された。
私は以前から、このルールの問題を指摘していたので解禁されたことは本当に良かったと思っている。

帆かけサバニは優れた沖縄の文化だということに異論を挟む人はいないだろう。
文化とは例外なく時代のニーズに合わせ変わって行くべきもので、
『昔はこうだった。』として守るべきものではないはずだ。

帆に綿を使用していたのはその時代、手に入る最も優れたものが綿だったにすぎない。
仮に100年前、パラシュート生地が海人の手に入ったとしたら、何の躊躇もなく使用していただろう。

レースをきっかけに、帆かけサバニが更なる発展を遂げるには素材の進化は欠かせない。

帆かけサバニは、シーカヤックやアウトリガーカヌーのパドルボートと、
ヨットのようなセーリングの両方の機能を高いレベルで備えた比類なきユニークな存在だと思う。
世界の海で愛されているサーフィンしかり、シーカヤックやアウトリガーカヌーのように!

座間味のレースは歴史的にもその規模においても他のレースの基準となっている。

素材の撤廃は他のレースにも影響してくるだろう。
こうした流れは今後も続いて欲しい。
おそらく数年後どのチームも化繊に変わっているだろう。
その時に素材を限定していたことのナンセンスを思える日がきっとくると思う。

梅雨明けは微妙なところだが、梅雨前線が定まらなかったのがやっと夏らしくなってきた。


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