★★★★☆

 イギリス有数の女学園であるメドウバンク校で起きた殺人事件と、中東ラマット国で起きた革命の中行方知れずになった王族所有の宝石を巡る謎がシンクロする作品。

 

 ポアロの学園もの。しかし、ポアロは終盤にならないと出てこない。

 ミステリとスパイ小説が合わさったような内容だけど、わりと軽めでライトかな。宝石の隠し場所とかわかりやすいし、学園内のスパイは誰かな~と思いつつ読む感じ。

 が、登場人物の名前が妙に似通っていて、これがまた誰が誰だか非常にわかりにくく、最後までしんどかった。電話帳かアドレス帳でも繰りながら登場人物の名前を決めたのかと勘ぐってしまうような。

 犯人探し・スパイ探しをするのにこれはきついな~。登場人物もけっこう多いのに。

 

 それでも、読む前に思っていたよりはおもしろかったです。学園ものっていうポアロ・シリーズでは珍しい舞台もいいし。

 女学園で複数の殺人事件と誘拐事件が起きてしまい、あげくスパイも潜んでいるかもしれないという、学園にとっての危機に、女校長が冷静さと機智と勇敢さを持って立ち向かう・・・そして苦難と悲しみを乗り越えての前向きなラストという、学園奮闘記としてとてもおもしろかったです。

 終盤のある人の最期がとても悲くて印象的だったけど、それを超えての学園の立て直しという希望の風が吹くような終わり方は本当に良かった。

 

 ポアロの出番が少なく、謎解きとトリックもそこまで凝っていないし、スパイ小説風味も合わせ持っているので、おもしろさでシリーズのメインを張れるような作品ではないかもしれないけど、これはこれでけっこう好きですよ。