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第二章 母の日常生活
「あんたもしてみぃー」母の日常、その(30)
2005/10/4(火) 午後 0:35
某月某日 生活のリズムを保つための基本中の基本は、睡眠と食事、そして気持ちよく「排泄」をさせてあげることである(ベテランのヘルパーさんから懇切丁寧に教わった)。朝の排泄。
「ぬくいわっー!」便座に座ると、母が言う。
「そうやでぇ、ちゃ~んと、温めてあんねんでぇ」
「だれがー?」
「うん、このトイレな、そうなってんねん」母には馴染めない、ウオッシュレットの洋式トイレだ。
「へぇ、かしこいな~」便座に座った母と私が、向き合いながらのやりとりである。
「あー、でたわ~、ふふ~ん」と母が。
「ほんまや、ちょろちょろ~て、ゆ~てるわ」
「わかったーっ!」と母が笑顔で聞く。
「にいちゃん、なんで、そんな、ハー(歯)してんのん?」と母が私の前歯を指差した。実は、鬼歯である。目聡い。
「うん、これな~、鬼歯やねん」
「おにば!、はいしゃいきんかいなー」(行きたいのは、やまやまなれど、なにせ行く時間がないねん、とは、母には言えない)。
「行ったけど、あかんねん、治れへんねんてぇ」と、嘘をつく私。
「うんち、でそうやけど、え~かな?」
「うん、出したらえ~やん、元気な証拠やで~」
「わて、げんきかー?」
「そらそうや、おしっこも、うんちも出~へんかったら、病気になるで~」
「え~のんしてるなぁ(私のネクタイを母が手に取る)、いつこ~たん?」と、今度は私の服装を見て。
「え~色やろ、だいぶ前や!」
「におうてるわ~、たかいのん?」
「そうか、お~気に、お袋ちゃんもこの色好きやもんな~」
「そうやねん、にいちゃん、よ~しってるな~」
「お尻、洗たるわなっ、ちょっと待ってや~」
「なにするん?あらわな、あかんのん?」
「綺麗になるでぇ、気持ちえ~やろ」お尻洗浄のボタンを押した。
「わー、ほんまや、あんたもしてみぃ」何の邪気もないのだ。おトイレ無事終了。母はニコヤカに、学校(デイ施設)へ。
ト書き:排泄介助、私が、母の介護で、一番最初に、教わったのが、これである。今でも、特訓を受けた、当時の事を、思い出す。