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                   第二章 母の日常生活

                 

 

 

  

 

    

  

           「にいちゃん、で~へん、なんでかな~」母の日常、その(17)


   2005/9/12(月) 午後 1:14
  某月某日 どのような事が起こっても、決して慌てない。言動、行動、を否定しないで、とにかくまず、そのまま受け入れることである。デイ施設から送迎の電話が鳴った。

「りり~ん、りり~ん」

「はい、00です」

「00です、お早うございます、もう00分で参りますから」

「はい、分かりました、今日もよろしくお願いします」何時ものやり取りである。

「だれやー!」と、母。これも何時ものことだ。物音には敏感なのだ。

「学校(デイ施設を母はこう呼ぶ)から電話やでぇ、行く用意しよな~」

「きょう、がっこうかー?」

「そうやで、今日はカラオケ大会やで~」

「うたうたうんか~?」

「うん、お袋ちゃんの好きな歌だけ、唄ってきたらえ~ねん」

「それやったら、いくわー!」

「ほんだら、はい、行こうか~」準備は出来ている。母を玄関へ。エレベーターへ急ぎ、1階に降りるボタンを押しにダッシュする。

「どこいってんのん?」

「エレベーターのボタン押しに行ってたんやん」

「へぇ、こんなんのんのん?」

「そうやで、何時もこれに乗って、下へ降りて、学校のバスに乗るねんやん」

「しらんかった、にいちゃん、トイレいきたいねん?」

「うん、、、、、、、」10分ほど前に、おトイレに行ったばかりだ。急いで玄関の鍵を開けとりあえず、母をおトイレへ。こんなことは、しょっちゅうで当たり前の事だが。便座に座った母が。

「にいちゃん、で~へん、なんでかな~?」

「そうか、ほな、また出そうな時に、こうか~?」

「うん」と頷く母。流れる侭に、その流れには逆らわず。母はこうして、私を教育してくれるのだ。

 

 

 

ト書き:流れる侭に、私流の、介護術だが、試行錯誤で、失敗も、多かったのだ。私は、母を、怒らした事は一度もなかった。