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サッカー小説「蹴り屋」



      
第一章 場当たり的、その場しのぎ、手探りの介護



       「わたしを、ころすつもりやろー!」茶の間、(番外)


  2005/6/26(日) 午後 0:00 
 某月某日 介護しなければならない時と、看護しなければならない時があることを、私は母から教わった。この辺を見極めるまで、私も随分と時間がかかった。まだ見極めてないことを、後で知ることになるのだが。そろそろ寝る時間だ。

「もう、かえろうー?」と母。

「うん、どこへ、帰るん?」

「00やんかー?、わたしのイエやっ!」

「お袋ちゃんの家、此処やで~」

「こんなとこ、ちがうわー!」

「なに言うてんのん、ず~っと、此処で、僕と一緒に暮らしてるやんか~」

「へぇー、わたし、こんなとこでねるんかー?、ねたことないで」ここで、私は、10年前に阪神淡路大震災で、我が家が被災し、ここに移って来た経緯をゆっくり母に聞かせる。何度も何度もだ。だが、母は。

「あんたっ、わたしにはなー、00にイエがあるんやでー、もうかえりたいねん、それも、わからんのんかー!」

「そやからな~、お袋ちゃん、よ~聞きや~」と、私は、同じ話を繰り返すのだ。

「へー、しらんでー、わたしは、こんなとこで、ねられへん、ねたことないっ!」

「お袋ちゃん、今日学校(デイ施設)行ったやろ~、何時もな、此処から、通ってるねんで~」

「がっこう!、そんなとこ、しらん、いってへんわー、!」こんな、やり取りがしばらく続く。

「なあ、そやから、お袋ちゃんと息子の僕と、此処で、こうして、一緒に暮らしてるねんで~」

「あんたぁー、むすこっ!、しらん、あんた、よそのひとやろー!」母の顔が険しくなる。こうなると、もう、介護ではなく、看護しなければならない。

「分かった、お袋ちゃん、ご免な~、明日、一緒に、家に帰るから、今日はもう、遅いし布団も敷いてあるし、ここで泊まろう」

「なにが、かえろーや、わたしを、ころすつもりやろー、てぇーはなしんかいなー」行こうとする母を両手で止める私。

「ご免な~、明日、絶対に00の家に帰るから今日は遅いから、此処で、辛抱して~な」

「うそついたら、あかんねんでー!」と母が私を睨む。介護と看護。どう、違うのかは、かなり難しい。表情を見るのが一番だと、私は思っているのだが。



ト書き:介護と看護、私は、この両方が、必要なのだと、することを、母の表情や、茶の間での、会話から、教わることになったのだ。