こなもんや三度笠 -6ページ目

こなもんや三度笠

そば、うどん、パスタなどの粉モノが大好き‼

 11月7日午前11時。目黒区役所の食堂に1日だけのカレー店が出店をしました。

出店したのは、祐天寺と学芸大学の中間。駒沢通りから目黒通りの方へ少し入った、目黒区中央町にある創業65年の町中華『平和軒』。70種類のメニューの大半は中華ですが、一番人気はカレー。そしてこのお店は、青木区長も大ファン。区長が職権で開かせたのではなく(笑)、今月末に閉店する当店が長い間利用してくださった多くの職員に感謝の意味での一日限り。用意された150食に長い行列が出来、あっという間の完売でした。

 

 創業した1957年と言えば、昭和32年。戦争の傷跡が少し癒えて、岩戸景気の高度成長がスタートする前年です。開店する2年前、創業者夫婦に男の子が誕生。現在の店主の石田隆(65歳)さん。お店を切盛りするのは隆さんと今年92歳になるお母さんの照子さん。そして隆さんの奥さまの愛子さん。実は、隆さんが20歳の時に愛子さんと運命的な出会いをします。美人の愛子さんは平和軒のすぐ近く目黒区役所の旧庁舎の看板受付嬢でした。自動遠心クラッチとロータリー式変速機構採用のホンダ・スーパーカブの出前機付きスクーターを右手片手運転で恰好良く乗りこなす平和軒2代目の好青年に惚れた愛子さん。ふたりは恋に落ち、愛子さんは若女将として長い間頑張って来ました。

 

 閉店まであと9日。町中華として地域一番店だった平和軒の閉店を惜しむ常連さんたちの行列が日増しに長くなります。平日12時開店。開店前から並んだ行列で最初に入店できるのは10数人。あとは第2陣として再び行列を作ります。着席をして注文を終わっても直ぐに料理は出て来ません。開店前から電話での注文を受けて3人は必死で調理しています。電話での注文の料理が全部出来上がるのは12時15分過ぎ。出来上がると隆さんは2台の岡持ちに目いっぱい収納して愛車に乗って出前に出かけてしまいます。それから店内の注文の調理が順番に照子さんと愛子さんによって作られます。配膳されるのは入店から30分後の12時30分。その頃には隆さんが出前から戻り、調理スピードは格段にアップ。平和軒の地域重点指向を理解している常連さんは長く待たされても誰一人文句は言いません。このやり方で55年間やって来たのですから・・・。

 

 平和軒の廃業危機は16年前にもありました。隆さんの胃に癌が見つかったからです。それが治り、再び営業が続けられたのは地元常連さんにはとてもラッキーなことでした。今回遂に、平和軒の暖簾は永久に下されます。創業者の亡き後、3人の誰一人欠けても存続出来ませんでした。ありがとう平和軒。最後に、懐かしいお料理を記録しておきたいと思います。