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小説、椿姫の主人公マリー・デュプレシーの職業ははっきりいえば高級娼婦です。命短いマリーの最後の恋の相手は音楽の天才、フランツ・リストでした。


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(23歳の若さで死んだマリー・デュプレシー)

この高級娼婦という職業は、通りに立って身を売るようなことはせず、豪華な邸宅をかまえ、時に貴婦人以上の生活を送り、上流階級の男性客から金銭を得ていました。

その金銭のやりとりも1ダースのオレンジやチョコレートを高額紙幣で包む、という粋な計らいをしていました。


(フランツ・リスト)

リストは1845年パリで新しいスタイルの演奏会を開きました。舞台にはピアノが2台置いてあり、リストは演奏に熱中するあまりピアノを叩きつぶしてしまうからでした。しかもピアノ曲だけで7つ。



オーケストラの伴奏すら一切ないという無謀な演奏会を開きますが、演奏会は大成功



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(マリーが愛した帽子  19世紀半ば)

リストはとにかくモテた人で、貴婦人からマリーのような職業の女性まであらゆる女性を虜にする魅力を持っていました

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リストは超絶的な技巧を持つ当時最高のピアニストで「ピアノの魔術師」と呼ばました。

どんな曲でも初見で弾きこなしたと言われ、彼の死後100年以上経っている現在においても、いまだに彼を超えるピアニストは現れていないと言われています。

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(ピアノの王者とも呼ばれたフランツ・リスト)


リストは、7歳で初めて人前で演奏して以来、天才の名を欲しいままにしましたが
16歳の時に父を亡くし、その若さでそれ以後母と二人での生活の経済的負担や責任の一切を背負って生きることになった苦労人でもありました。




リストの愛人として最も有名なのはマリー・ダグー伯爵夫人という人物です。



(マリー・ダグー伯爵夫人)

リストは、少年時代の辛さや寂しさを取り戻そうとでもするかのように、数多くの恋愛沙汰を引き起こしていきます。。びっくり

リストの方はどうだったかわかりませんが、マリー・デュプレシーにとって最も愛した男性であり、最後の恋となりました。


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リストは金髪の美男子で、名声は、ドレスデンからサンクトペテルブルクまでとどろき、当時のヨーロッパ中のアイドル的存在でもありました。

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デハ紙の有名コラムニストで批評家ジャナンによるとマリーとリストが初めて会った日、

マリーがロビーに入ってくると、みないっせいに振り返り道を開きました。





マリーはガーネット色のビロードのドレスを着ていて、肩には黒いレースのショール、ルビーのイヤリングも付けていました。そして胸元にはいつものように椿を一本挿して


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ジャナンはマリーのことをこう評しています。
彼女は物腰と言葉使いがよくマッチしていた。さらにその思考と眼差しが、その化粧と人となりが実によくマッチしていた。

この世のいかなる頂きを極めても、これほど美しい、これほど完全な調和のもとに化粧と衣装と言葉を自分のものにした女性は探し出せないだろう。

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マリーは、声を明るく響かせ、舌を滑らかに動かすことで魅惑的な声をだしていました。

リストはマリーにピアノのレッスンを授けたと言われています。マリーは「舞踏会への勧誘」の難しくて弾けないところをリストに教えてもらうほど2人の中は進展していましたニコニコ




リストはマリーを〝マリエット″と呼んで愛していましたが、マリーのような職業の人物をパリはともかく、ウィーンやプラハのコンサートを行う場所には出すことはできませんでした。


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マリーはリストへ
あなたなしでは生きていけません。わたしは変な娼婦です。自分では変えることのできない、しかしどうしても耐えることのできないこの生活が嫌いです。私はあなたのものです。どうかお好きな場所に連れていってください。昼間は寝ています。そして夜は私を好きにしてください!


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この可憐な申し出を断れないリストでしたが、イスタンブールにだったら連れていけるだろう、と答えます。しかしこの時すでにマリーの病状は進み叶わぬ夢となりました。