美しき呪われし者 ゼルダ ・フィッツジェラルド

今日のことだけ考えて、明日のことを気にするのはやめましょう。ーゼルダ・フィッツジェラルド

（１７歳の時のゼルダ）

狂乱の１９２０年代、ニューヨークのスターだった作家のF・スコット・フィッツジェラルドの妻、ゼルダ・フィッツジェラルドです。

（ヒロイン、デイジーのモデルはゼルダです）

F・スコット・ジェラルドは、レオナルド・ディカプリオ主演の華麗なるギャッツビーの作者です

ゼルダは１９００年７月にアラバマ州モントゴメリーで裕福な名士のもとに生まれました

〝ゼルダ〟という名前は小説にでてくるジプシーの女王の名前です。


１６歳になったゼルダは、〝モントゴメリーの美女〟、〝アラバマ・ジョージアの２州に並ぶものなき美女〟

ともてはやされていましたが、甘やかされて育ちったため、他人の言う事を一切聞かず、自由奔放で傲慢でした

（父親が地元の名士だっため、これらのことは許されてしまっていました）

舞踏会が行われるとゼルダ目当ての青年が列をなした。

ゼルダはその青年たちを虜にし、翻弄した。禁じられていたチークダンスを平気で踊り、自車車で走りまわり、タバコも吸えば酒も飲んだ。

ゼルダが１８歳のとき運命の相手、スコット・フィッツジェラルドに出会います

（F・スコット・フィッツジェラルド 1896〜1940）

スコットは２１歳でプリンストン大学を中退した中尉で、背こそあまり高くなかったがブルックス・ブラザースの制服がよく似合う非常にハンサムな青年でした



さらに知的で陽気な性格と会話がうまく、スコットは若い女性の憧れの的でした

（華麗なるギャッツビーのデイジー役はキャリー・マリガン）



ゼルダとスコットはたちまち情熱的な恋に落ち、ゼルダは２０歳でスコットと結婚します。

この時アメリカは第一次世界大戦に勝利し、高度経済成長と大量消費の時代になり、古いモラルを捨て、長い髪が美人の証でしたが髪を短く切るのが流行する『狂乱の２０年代』、が始まります。

スコットとその妻ゼルダはニューヨークで高級ホテル住まいをし、日夜豪華なパーティに明け暮れ、いつしかアメリカの若者から絶大な人気を誇るスターとなった。

世間はスコットとゼルダが何をしても許してくれた。

それどころかスコットとゼルダがすることは小さなことでも伝説となり、ますますスターになった

（ドロシー・パーカー）

この時期についてドロシー・パーカーは、

『あの人たちの若さがまぶしくて、二人ともまるで太陽から出てきたかのように見えた。「誰もが」二人と会いたがった』

（スコットの書いた華麗なるギャッツビーは何度も映画化されました）



華やかで騒がしいニューヨークでゼルダとスコットはスター扱いされますが、スコットが後世に残る名作、”華麗なるギャッツビー”を発表してしまうと、いつも主役だったゼルダは、スター扱いされるのもスコットの妻だからだったことに気がつきます

２７歳になっていたゼルダは昔習っていたバレエダンサーになろうと決意しますが、一流のバレエダンサーを目指すには遅すぎました

（バルエをするゼルダ）

しかしゼルダは毎日なにかに取り憑かれたかのように厳しすぎるほどの練習を自らに課した。

練習は一日８時間にも及び、その後の肉体的、精神的な衰弱につながった。

（ミッドナイトインパリという映画にでてくるゼルダ）

そしてゼルダは自殺未遂をしたり、ゼルダの常軌を逸した行動が目につくようになった。

また酒に酔っ払ってはスコットと言い争い喧嘩が絶えなくなった。

ゼルダとスコットはアルコールを生きる燃料としていた

パーティに来る頃にはもうすでに酔っ払って、微睡んでいることも多々あった

スコットは、小説の中にゼルダに似た女性を登場させていますが華麗なるギャッツビーのヒロイン、デイジーもです



そしてスコットは冗談のつもりだったのか、

「次の小説の構想には男を破滅させたいとおもっている女の話を書こう。

なぜ破滅させたいかといえば、女はその男を愛していて、失うのが怖いからだ」

と友人に漏らしています。

もちろんその女とはゼルダのことでした

この頃には友人たちから見た二人のパーティーは洗練されたものからどこか破滅的なものになっていき、どちらとつきあった人間も不愉快な思いをするようになっていた







ゼルダは何度も自殺未遂をし、ついに精神を病んだゼルダは１９３０年精神病院に入ります。

そしてゼルダは統合失調症と診断された。

そしてゼルダは１９４７年入院していた精神病院が火事にあい、焼死しました。４７歳でした。



ゼルダはスコットのことをとても愛していて、スコットもゼルダのことを愛していましたが、同時にお互いを憎み合わずにはいれずゼルダはじわじわと精神を病んでしまったようです。

ただゼルダはスコットの妻としてではなく、スコットが成功したように自分もゼルダ・フィッツジェラルドとして世の中に認められ対等の立場で愛しあいたいと強く望んでいた故の悲劇でした。

さてゼルダと離れたスコットもまた疲れ果てていた。出す本はもうあまり売れなかった

いつのまにかスコットの時代は終わっていたのだ。

かつてアメリカの頂点にいたスコットだったがこの頃には愛人のゴシップコラムニスト、シーラ・グレアムに養ってもらっている状態だった。

（スコットの愛人  シーラ・グレアム）

スコットはアルコールが手放せなくなり、健康状態を悪化させ１９４０年１２月２１日愛人であるシーラ・グレアムのアパートで心臓麻痺をおこし、死亡した。

４４歳の若さだった。

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