『プロのデザインルール5(特殊印刷・加工編)』 | サンロフトの本とテレビの部屋

『プロのデザインルール5(特殊印刷・加工編)』

『プロのデザインルール5(特殊印刷・加工編)』ピエ・ブックス/3990円


「リッチブラック」という用語をご存知だろうか?
パソコンの画面上ではカラーをRGBで表すが、印刷ではCMYK。すなわち、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクの割合で表す。インクジェットプリンタの4色モデルを思い浮かべると分かりやすい。
ところが、印刷の世界はそう単純ではない。黒を印刷しようとしてK(黒インク)100%と指定しても漆黒にはならない。黒100%の上にCMYを各30~50%ぐらい重ねると、ちょうどいいのだそうだ。それを「リッチブラック」と呼ぶ。
インクジェットプリンタでは、黒=黒インクだから、素人ではリッチブラックなんて思いつかない。油絵の具に黒が無いことと似たような意外性である。


また、CMYKでは色再現領域が限られているので、画面上の色そのままには印刷できない。それを解消するため、グリーンとオレンジのインクを加えた6色のシステムもある。
インクジェットプリンタだと、2色加えるなら薄いシアンと薄いマゼンタになるところだが、印刷の場合、再現しにくいのはグリーンとオレンジなのだ。
今では感じないが、そういえば、昔はグリーンとオレンジの発色が悪かった気がするなぁ。特に、グリーン(緑)は、最も基本的で身近な色の一つなのに、扱いが難しい。
水彩絵の具には、グリーンの代わりにビリジアン(グリーンとは違う色だ)しかなく、パソコン画面のRGBのGは黄緑に近い。絵の具でも、画面でも、プリンタ印字でも、グリーンらしいグリーンはなかなか出せない。


とまあ、この本はそうした印刷の基礎から始まり、様々な特殊印刷について解説されている。
毛の生えたフロッキー印刷とか、和紙加工とか、使ってみたいものがたくさん出てくる。いつの間にか、印刷技術ってこんなに高くなっていたのだなぁ。