和訳『Stairway to Heaven / 天国への階段』(Led Zeppelin) | タブンダブン

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流浪のライター、かげぎすのブログ。書評、映画感想、洋楽の和訳などいろいろとやっています。

今回の和訳はこれまた偉大なイギリスのロックバンドLed Zeppelin

『Stairway to Heaven』(1971)。

 

 

 

ツェッペリンは、ブリティッシュハードロックの神様みたいな存在です。

 

ハードロックは基本的に好き嫌いが分かれますが(じつは僕もそんなに好みではない)、ツェッペリンはその独特な世界観と幅広い音楽的センスを併せもつので、非ハードロックファンでも思わず聴き入ってしまう曲が多々あります。

 

そんななかでも、『天国への階段』として知られる『Stairway to Heaven』は珠玉の名作。

 

曲調が一転し、“パーシー”ことロバート・プラントが凄まじい音域で歌い上げるクライマックス間近の怒涛の展開。

 

 

「なんて声してんだこのオッサン!」と思わずにはいられません。もはや伝説です。

 

じっさい、プラントは喉をかなり酷使していたようで、最終的にあの美しい金切り声は永久に封印されることとなったのです。

 

 

なににもまして、今日でも依然としてファンを虜にするのが、『Stairway to Heaven』のあまりに難解な歌詞。

 

哲学的・文学的な趣があるのは確かなのですが、その解釈の困難さは、英語圏の人々にさえ“よくわからん”、“なにを言っているのかさっぱりだ”と言わしめてしまうほど。

 

そんなわけだから、とうぜん和訳もすっごくタイヘン。以前和訳したProcol Harum『A Whiter Shade Of Pale』の比ではない。あっちもあっちで曖昧でしたが、曲がりなりにもセンテンスごとの連続性のようなものは見出せました。

 

語や文のカタマリを川面に顔をだす石に例えるなら、『A Whiter Shade Of Pale』のばあいは、石と石の“間隔”がわりと狭いので、なんとか足場を確保して渡ることができる(=意味があるように文と文を接続できる)……と考えることができます。

 

けれどもそれにくらべて『Stairway to Heaven』は、石と石の“間隔”があまりに離れすぎていて(文と文のあいだの意味の繋がりがあまりに雑然としていて、突飛もない)、解釈にほんとうに苦労するのです。

 

意訳で補っても、ほんとうにこれでいいのか……とどこか釈然としません。曲の痛快さとは裏腹に、歌詞にはつねに薄い膜が張ったようなモヤモヤ感が残ってしまいます。

 

 

 

いや~~まじでキツかったっす(真顔)

 

 

 

他の和訳サイトをみたりしていろいろと参考にしましたが、それぞれ解釈が多様で、むしろ混乱してしまいました。

 

解釈についてなのですが、しばしば見かけるわりとポピュラーなものは、「彼女は天国への階段を買うつもりなのだ」という歌詞は、つまり「世の中は金がすべてだと思っている女」への揶揄だというものです。

 

まあ、たしかにこれはわかりやすいと思います。僕も高校生の頃は、素直にそう思っていました。

 

もうひとつ有名な解釈は、クスリ(薬物)について歌っているんだ、というもの。

 

これもまあ、わからなくはない。

 

「In my thoughts I have seen rings of smoke through the trees And the voices of those who stand looking.」っていうあたりから、ちょっとアヤシイ雰囲気が漂い始めますからね。謎の「笛吹 Piper」が登場してどこかに誘おうとする描写は、いかにもという感じ。

 

 

でも、結論なんてないのです。国語のテストじゃないんだから、そもそも解答など用意されていません。

 

しかしそれでもやはり、歌詞の内容がなにを意図されたのかというのは、おそらく誰しもが気になるところでありましょう。

 

だから、作詞した本人に真相を聞けばいいじゃない!と思うのも至極当然の成り行きです。

 

しかし、作詞したプラントは、ほとんどなにも言及してくれません。「解釈なんてそれを聴く人の自由だし、実際の内容なんてどうでもいいことだ」なんて考えているのです。しまいには、「そもそも歌詞なんてたいした意味はないよ」とか言い出す始末。

 

しかも面白いことに、「おれだって聴いた日によって受け取る意味が違ってくるんだよ」なんてことも言っています。

 

 

僕も、作詞した本人が“解説”するなんて野暮なこと、ぜったいに必要ないと思います。感性こそすべての世界で、それを鋳型にはめてそれ以上の変化を望めなくしてしまうなんて、ナンセンスだと思うからです。

 

 

そんな『Stairway to Heaven』。ぜひプラントの美声に酔いしれながら聴いてみてください。

 

 

 

There's a lady who's sure all that glitters is gold

ある美しい淑女は きらめくものすべてが黄金だと信じていた

 

And she's buying a stairway to heaven.

天国への階段は彼女のためにあった 
 

When she gets there she knows, if the stores are all closed
手に入らなければ 彼女はやがてあの場所にたどり着く

 

With a word she can get what she came for.
求めていたものがそこにある

 

Ooh, ooh, and she's buying a stairway to heaven.
そして ああ そして彼女は 天国への階段を買うつもりなのだ
 

There's a sign on the wall but she wants to be sure
壁には何かが書かれている しかし淑女は疑った

 

'Cause you know sometimes words have two meanings.
なぜなら言葉には二つの意味があるからだ 

 

In a tree by the brook, there's a songbird who sings,
小川のほとり たたずむ木 そこには歌を奏でる鳥がいた

 

Sometimes all of our thoughts are misgiven.
そんな時でさえぼくたちは 底知れない恐怖を抱いてしまう
 

Ooh, it makes me wonder,
ああ それはどうしてなのだろう

 

Ooh, it makes me wonder.
ああ それはどうしてなのだろう

 


There's a feeling I get when I look to the west,
西側を向くと なぜだかぼくの感覚が研ぎ澄まされる

 

And my spirit is crying for leaving.
旅立ちのために魂がむせび泣くのだ

 

In my thoughts I have seen rings of smoke through the trees,
ぼくの理性は 木々のまにまに煙の輪をみている

 

And the voices of those who stand looking.
ぼんやりとそれを眺める人々の声も聞こえる
 

Ooh, it makes me wonder,

ああ それはどうしてなのだろう
 

Ooh, it really makes me wonder.
ああ それはどうしてなのだろう
 

 

And it's whispered that soon, if we all call the tune,
どこからともなく 囁き声も聞こえる 〝笛吹に一曲頼んでみてごらん

 

Then the piper will lead us to reason.

理性ある世界にきみたちを導いてくれるはずだ
 

And a new day will dawn for those who stand long,
新たな日の夜明けは きみのために

 

And the forests will echo with laughter.
やがて森には笑いが響きわたるだろう
 

 

If there's a bustle in your hedgerow, don't be alarmed now,
草木がざわついても おびえることはないよ

 

It's just a spring clean for the May queen.
春の使者メイクイーンを招くために こうして清めているだけなのだから

 

Yes, there are two paths you can go by, but in the long run
そう いま目の前には きみがこれから向かうべき二つの行く手がある 長い道のりではあるが 

 

There's still time to change the road you're on.

まだ猶予は残されている どちらかを選ぶといい″
 

And it makes me wonder.
――ぼくは戸惑うだけだった
 

Your head is humming and it won't go, in case you don't know,

きみの頭のなかで 耳障りな音がどうしても鳴りやまないのなら それはね  

 

The piper's calling you to join him,

笛吹がきみを誘っているからに違いないんだ

 

Dear lady, can you hear the wind blow, and did you know
麗しの淑女よ 嵐が聞こえるか あの階段はざわめく風に


Your stairway lies on the whispering wind?
横たえてあるのを きみは知っていたか
 

And as we wind on down the road
まがりくねりながら道を下ってゆくと

 

Our shadows taller than our soul.
ぼくたちから伸びる影は ぼくたちの魂をも越えてしまった

 

There walks a lady we all know

道の途中で ぼくたちはあの淑女に出会った
 

Who shines white light and wants to show
白くまばゆい輝きを放っていた どうすればすべてのものが

 

How everything still turns to gold.
黄金に変わるのか 彼女は僕たちに見せようとしていた

 

And if you listen very hard
彼女の言葉がうまく聞こえないのなら

 

The tune will come to you at last.
ようやくあの笛吹の音色がきみに届いたということだ

 

When all are one and one is all

全が一 一が全ならば

 

To be a rock and not to roll.
それはつまり 一切が静止した世界
 

And she's buying a stairway to heaven.

そして彼女は天国への階段を手に入れる