どこまでリアル?ゼロ・グラビティ
少し前の話なのだがゼログラビティを見てきた。
スペースシャトルでの船外活動やそこから見える地球の様子は息をのむほどで、まるで自分が宇宙に浮かんでいるようだ。
映画自体は面白いしテーマも分かるが、問題は物理的・技術的にそれはどうなの?とか可能なの?というところが散見されるところだった。
小さな所はまあしょうがないとしても見せ場でもそういうことがあるのでどうにも気になってしまう。
こういう疑問は大体自分だけ思ってるわけがないので、家に帰って早速検索。
するとアメリカのネットでゼログラビティの疑問に元宇宙飛行士が答えてくれているという記事があった。
ギガジンの記事
その元ネタ(要登録)
それと、Time誌のサイエンスライターの方の記事もあった。
結論としてはやはり映画的演出が優先されて、科学的におかしいとか機器の機能・能力的にありえないところは相当あるとのこと。
映像のリアルさ故に、他の部分の科学考証も同じくらいリアルなのかなと思ってしまうわけなのだ、その点だけはこれは娯楽映画だとあらかじめ了解しておく必要があったわけだ。
この映画を楽しむために肝心なのは、あたかも自分がそこに居合わせているかのように感じさせる演出や技術に素直に乗っかることなわけだが、その意味でもできるだけ大画面、映画館でやっているなら映画館で見るべき映画だと思う。
あと、字幕版でなく吹き替えの方がいい。
私はわざわざIMAXまで行ったのだが、結構でかい字幕が折角の画面に被さってくるため没入感半減なのが残念だった。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++
ギガジンとも被るがせっかく読んだので、下に一部訳したものを置いておく。(意訳有り)
映画をまだ見ていない方はネタバレを含むのでご用心を。
それと、ここだけ読むと映画を腐しているように見えるかもしれないが両者とも結論として映画としてよくできていると褒めていることを付記しておきたい。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++
Garrett Reisman, 元NASA宇宙飛行士
・周りから「Gravityをどう思う?」と聞かれまくるのでうんざりしている。宇宙飛行士の嫌いな質問「宇宙ではどうやってウンコするの?」を超えそうだ。
・自分の3度の宇宙遊泳の経験からして、登場人物がヘルメット越しに見る地球は(ちょっと実際よりはシャープでビビットだが)本物だ。
・サンドラ・ブロックがソユーズで酸素を切るためにひねるバルブは位置も形も本物と同じ。マニューバリングのエンジンを動かす時も正しいボタンを押している。
・ソユーズとISS(宇宙ステーション)の中身も、モジュールの位置が正しくないが、とてもリアルにできている。
・スペースデブリの脅威も、自分の経験からして身に迫る思いをする。
・スペースシャトルからISSまでの移動はそんなに簡単にできない。軌道を変えるには凄まじいエネルギーと緻密な軌道プランニングが必要だ。推進剤が満タンで、地上からのサポートを受けることができ、フライトコンピューターが使えたとしてもコロンビアからISSにに移動するのは無理だ。
・着陸用ジェットと消火器で他の宇宙機に乗り移ることはできない。
・ジョージ・クルーニーの自己犠牲も無意味だ。サンドラ・ブロックが彼を捕まえた時点で、彼はただそこに漂っているだけになった。ちょっと紐を引っ張れば彼はステーションに戻れた。
・クルーニー+船外服で何百ポンドもある。飛び去りそうなクルーニーを捕まえられるサンドラ・ブロックの握力は異常。
・サンドラ・ブロックが宇宙服の下にタンクトップと短パンしかつけていないのは変。まあ私が実際着ていたの(白い全身を覆う冷却服姿の宇宙飛行士の写真)よりセクシーなのは認める。
・私が中国の宇宙船に乗ったらどう操作して帰還したらいいかわからないだろう。
・低軌道のデブリが静止軌道の通信衛星を破壊することはない。
Jeffrey Kluger, Time誌サイエンスライター
・宇宙服を脱いだ時のサンドラ・ブロックのクロップトップ姿は目の保養になるが、普通宇宙服の下には91mものチューブが走る液体冷却・通気服をつける。おむつも。
・ハッブルの軌道傾斜角は28.5度。これはアメリカ本土上空をなるべく多くの時間通るため。ロシアの人工衛星の傾斜角は同じ理由でそれより高い。デブリがハッブルの軌道に差し掛かることはあってもすぐではないし、90分ごとに襲いかかってくることはない。
・ISSの軌道傾斜角は51.6度。ハッブルからは大分遠い。神舟は42.78度。これも遠い。
・衛星をミサイルで破壊しても破壊のチェーンリアクションは滅多に起きない。あなたもシミュレーションのプログラムを書けばわかる。
・MMU(クルーニーが背負っている機動ユニット)のスピートと機動力がありえない。燃料もすぐなくなるので、冒頭シーンでクルーニーがやっているような無意味な機動をNASAは許さない。
・サンドラブロックは付けていなかったが、船外活動をする宇宙飛行士なら SAFER(簡易型の船外活動マニューバーバックパック)を身につけていて、命綱が切れてもそれで戻れるはず。
・宇宙服の手袋は気圧でパンパンで物をつかむのも大変。映画で飛ばされそうになっては命綱やらレールやらを掴んでいたブロックとクルーニーの握力は異常。
スペースシャトルでの船外活動やそこから見える地球の様子は息をのむほどで、まるで自分が宇宙に浮かんでいるようだ。
映画自体は面白いしテーマも分かるが、問題は物理的・技術的にそれはどうなの?とか可能なの?というところが散見されるところだった。
小さな所はまあしょうがないとしても見せ場でもそういうことがあるのでどうにも気になってしまう。
こういう疑問は大体自分だけ思ってるわけがないので、家に帰って早速検索。
するとアメリカのネットでゼログラビティの疑問に元宇宙飛行士が答えてくれているという記事があった。
ギガジンの記事
その元ネタ(要登録)
それと、Time誌のサイエンスライターの方の記事もあった。
結論としてはやはり映画的演出が優先されて、科学的におかしいとか機器の機能・能力的にありえないところは相当あるとのこと。
映像のリアルさ故に、他の部分の科学考証も同じくらいリアルなのかなと思ってしまうわけなのだ、その点だけはこれは娯楽映画だとあらかじめ了解しておく必要があったわけだ。
この映画を楽しむために肝心なのは、あたかも自分がそこに居合わせているかのように感じさせる演出や技術に素直に乗っかることなわけだが、その意味でもできるだけ大画面、映画館でやっているなら映画館で見るべき映画だと思う。
あと、字幕版でなく吹き替えの方がいい。
私はわざわざIMAXまで行ったのだが、結構でかい字幕が折角の画面に被さってくるため没入感半減なのが残念だった。
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ギガジンとも被るがせっかく読んだので、下に一部訳したものを置いておく。(意訳有り)
映画をまだ見ていない方はネタバレを含むのでご用心を。
それと、ここだけ読むと映画を腐しているように見えるかもしれないが両者とも結論として映画としてよくできていると褒めていることを付記しておきたい。
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Garrett Reisman, 元NASA宇宙飛行士
・周りから「Gravityをどう思う?」と聞かれまくるのでうんざりしている。宇宙飛行士の嫌いな質問「宇宙ではどうやってウンコするの?」を超えそうだ。
・自分の3度の宇宙遊泳の経験からして、登場人物がヘルメット越しに見る地球は(ちょっと実際よりはシャープでビビットだが)本物だ。
・サンドラ・ブロックがソユーズで酸素を切るためにひねるバルブは位置も形も本物と同じ。マニューバリングのエンジンを動かす時も正しいボタンを押している。
・ソユーズとISS(宇宙ステーション)の中身も、モジュールの位置が正しくないが、とてもリアルにできている。
・スペースデブリの脅威も、自分の経験からして身に迫る思いをする。
・スペースシャトルからISSまでの移動はそんなに簡単にできない。軌道を変えるには凄まじいエネルギーと緻密な軌道プランニングが必要だ。推進剤が満タンで、地上からのサポートを受けることができ、フライトコンピューターが使えたとしてもコロンビアからISSにに移動するのは無理だ。
・着陸用ジェットと消火器で他の宇宙機に乗り移ることはできない。
・ジョージ・クルーニーの自己犠牲も無意味だ。サンドラ・ブロックが彼を捕まえた時点で、彼はただそこに漂っているだけになった。ちょっと紐を引っ張れば彼はステーションに戻れた。
・クルーニー+船外服で何百ポンドもある。飛び去りそうなクルーニーを捕まえられるサンドラ・ブロックの握力は異常。
・サンドラ・ブロックが宇宙服の下にタンクトップと短パンしかつけていないのは変。まあ私が実際着ていたの(白い全身を覆う冷却服姿の宇宙飛行士の写真)よりセクシーなのは認める。
・私が中国の宇宙船に乗ったらどう操作して帰還したらいいかわからないだろう。
・低軌道のデブリが静止軌道の通信衛星を破壊することはない。
Jeffrey Kluger, Time誌サイエンスライター
・宇宙服を脱いだ時のサンドラ・ブロックのクロップトップ姿は目の保養になるが、普通宇宙服の下には91mものチューブが走る液体冷却・通気服をつける。おむつも。
・ハッブルの軌道傾斜角は28.5度。これはアメリカ本土上空をなるべく多くの時間通るため。ロシアの人工衛星の傾斜角は同じ理由でそれより高い。デブリがハッブルの軌道に差し掛かることはあってもすぐではないし、90分ごとに襲いかかってくることはない。
・ISSの軌道傾斜角は51.6度。ハッブルからは大分遠い。神舟は42.78度。これも遠い。
・衛星をミサイルで破壊しても破壊のチェーンリアクションは滅多に起きない。あなたもシミュレーションのプログラムを書けばわかる。
・MMU(クルーニーが背負っている機動ユニット)のスピートと機動力がありえない。燃料もすぐなくなるので、冒頭シーンでクルーニーがやっているような無意味な機動をNASAは許さない。
・サンドラブロックは付けていなかったが、船外活動をする宇宙飛行士なら SAFER(簡易型の船外活動マニューバーバックパック)を身につけていて、命綱が切れてもそれで戻れるはず。
・宇宙服の手袋は気圧でパンパンで物をつかむのも大変。映画で飛ばされそうになっては命綱やらレールやらを掴んでいたブロックとクルーニーの握力は異常。