最近は便利なもので民放で期間限定ながら公式で見逃し配信が行われているけれど、NHKでも同じように期間限定の見逃し配信が行われていてそれで以前よりも自分はちょこちょこと作品を観ている。
 こういった見逃し配信は視聴率にカウントされないそうでモヤモヤするけれど、録画器のない自分は便利だな世の中になったと思う。

 そういったものでちょこちょこと観ているのが子供の頃に観ていて好きだった「六番目の小夜子」である(公式配信で第一話は2021年8月7日まで)SNSやツイッターでも書いたけれど友人から教えられてありがたいな~と思うと同時に色々とやりとりをしていてもう21年も前なのかと驚いた。
 出演者の名前をみていて山崎育三郎さんに「あの山崎育三郎さん?」と思って調べたら本人で若すぎてわからなかった。古尾谷雅人さんも亡くなってだいぶ経つなとちょっと出演者の名前で検索を掛けていたら主人公の弟役の方など学生を演じていた方でも亡くなった方がいてそれだけもう時間が経っているのかと切なくなった。

 自分が1987年生まれだから13才頃で図書館から本を借りてそのときは改訂版ハードカバーで読んだのだけどあまりに内容が違いすぎて驚いた。
 この作品にかぎらずこの枠の映像化は原作から改変されまくっていて今思うとすごいなと思う。双子探偵ははやみねかおるさんの原作では三つ子だったし今や大人気の東野圭吾さん原作の浪花少年探偵団はこちらのドラマ版では思いっきり子供向けだったけれど、原作は大人向けというか普通のミステリーで何となくそういったあたりで自分は観なくなった記憶がある。
 今回調べていてちょっと驚いたのが同じくNHKで放送された「クラインの壺」はこの枠だと思ったらジュニアドラマとして少年ドラマシリーズの復活を目指してそのあとがつづかず、少年ドラマシリーズの方に入れられることもあるという文章を見つけた。
 少年ドラマシリーズに関しては子供の頃に図書館でSFベストセラーズの本を読んでいて好きで「次々と少年ドラマシリーズでドラマ化」といったような文章に観たいと思っていたら映像がほとんど現存しないと知り、そういったあたりで映像が残されているというのは実はすごいことだと思うようになった。そのあたりはまた別の話で長くなるので、次の機会にでも…
 ただ「クラインの壺」はまた観たいと思う。子供心に怖かった記憶があり後に原作を読むとあの結末、現実と虚構のあいまが崩壊するのが恐ろしく後に再読したとき前半でちらっと出てくる看護婦の事故死ももしかしたら主人公と同じだったのでは?と新しい発見もあったりと…

 「六番目の小夜子」が放送された枠はドラマ・愛の詩というものだけど原作あとがきを読んでいると少年ドラマシリーズを意識したそうで、そのせいか何となく当時リアルタイムで観ていて子供心に大人っぽい物語に感じてだんだんとシリーズを重ねるごとに子供っぽくなっているように当時感じた(特に浪花少年探偵団の原作を知ったあたり)この辺はまた今観ると違った印象になるのかもしれないけれど、それだけ自分も変わっていったのかなと思う。
 自分が読んだのは原作改訂版だけど未だに最初に発売されたバージョンが気になる。恩田陸さんのあとがきを読むと大幅に加筆とあり最後の文章に「あれ」と思うかもしれないと読むと少し変わった部分があるのかなと思ったのである。同じく新潮社から出た「星虫」も2000年版の改訂版のあとにオリジナルを読むと結構削られたり科学的な部分が違ったりしていたから(最新版は未読)

 改めて思うとドラマ版はまだ途中までしか見返していないけれど原作もドラマ版も結末はすっきりしないというか謎をすべて明かさずそれが余韻になっているように思った。
 ドラマ版の結末は自分の記憶では結局あの小夜子はもしかして、と含みのある終わり方だったような気がするのだけどこのあたりで今の風潮的に不満に思う人がいそうだなと思った。自分はどちらかといえば物語くらいすべてすっきり解決してほしいと思うタイプなのだけど、それと同時に六番目の小夜子はそのすっきりしない部分がそれこそ未だに妙に心に残っている部分だったりする。
 作者としても勢いで書いたそうで今となってはなんで書いたのかわからないというようなことを書いていたけれど、そのときの勢いや空気といったものが物語に織り込まれているのかなとちょっと思ったりした。
 空気感といえばドラマ版を観ていてふとこの頃、高校生あたりまでは自分の趣味に関する熱意は高かったなと思う。今は色々とあって怠けぎみで積ん読がすごいことになっているけれど、この頃はとにかく本を読んでいたなと思う。それでもその道の人に比べたらまだまだ少ない方だけど、とにかく今と比べると自分の熱意も落ちているなと苦笑いをしてしまう。今回観ていてそういった部分を改めて突きつけられて色々とつらいところがあるのだけど、作品を観ていると切なくなるも懐かしい気持ちで単純に面白いというのと、つづきはどうなるのというワクワク感があってそういった部分を改めて思い出した。

 そして今夜はシャーロック・ホームズに関するドキュメンタリーがNHKBSで放送されるけれど、この作品は以前ミステリチャンネルで放送されたものなのかなと気になっている。ただミステリチャンネル放送では字幕だったのが今回は吹替があるみたいでこのあたり予算の違いを感じた。
 そういえば昔何かで読んだのだけど吹替製作はお金が掛かりそういった関係でミステリチャンネルで日本初放送されるものは字幕が多いそうだけど、BBC製作の近年のアガサ・クリスティードラマ(最新作の感想を書いていないあたりでも自分の怠け具合がわかる)もミステリチャンネルで初放送されたものは字幕、だいぶあとにNHKBSで放送されたときには(そして誰もいなくなったとABC殺人事件はNHKが初放送で後者に関してはやっぱりポワロということで権利を取ったりしたのだろうか?)吹替が全作製作されて予算の差を感じた部分だったりする。
 このドキュメンタリーの放送は今度NHKBSとNHK4Kチャンネルで同時にジェレミー・ブレット版の「シャーロック・ホームズの冒険」放送を記念したものだけど、NHKでの放送は久しぶりのような気がする。
 作品自体はそれこそミステリチャンネルなどでよく放送されていたけれど、そういった専門チャンネルとBSとはいえNHKでの放送では観る人の差がかなりあると刑事コロンボの件で思った部分がある。
 とりあえず自分は日記(SNSとブログ)で刑事コロンボシリーズに関しては全作の簡単な感想を書いているけれどCS放送では特に動きがないのに、まずはNHK4Kそして今回のNHKBSで放送されたとき該当するエピソードの日記のブログの閲覧数が大幅に跳ね上がっていてそれで「あ、今日はこれが放送されたのか」とわかるくらいだった。
 こういったあたりでやっぱりテレビを観る人やNHKでの放送という強さを感じたのである。
 そういったあたりで今回の放送はジェレミー・ブレット版の新しいファンを増やす機会なのではとわりと真面目に思う部分がある。ホームズの映像化は今も様々な目線からのものが作られていて楽しいのだけど、どうしても古いというだけで観ない人もいるから…
 何となく思うのは近年の自由な映像化は、ジェレミー・ブレット氏が亡くなったため未完になったけれど後半は諸事情で改変が多いとはいえ一度きっちりと原作に忠実なものが作られたからこそなのではと思う部分がある。
 自分は子供の頃に観ていた記憶がありワトソンの印象は誠実でホームズと変わらぬ勇敢な印象を抱いていたから古いもの…間抜けでホームズの引き立て役という決まりきったワトソン像に面白いとおもいつつも驚いたからこのドラマ版はかなりその後の個性的なワトソン、射撃の腕前が暗殺者なみで利き腕を傷つき逆の腕で犯人の頭を撃ち抜いたり女性だったり、以前もちらっと書いたけれどネットの動画で独自に目線で解釈語りなおすゆっくり文庫があり、それらなどなかったかもしれないと詳しくはない自分でも思ってしまうのである…

 これはSNSやツイッターなどでちょこちょこと書いているけれど自分は一般的に評判の悪いブレット版の後半もかなり好きだったりする。
 あの暗くて重い雰囲気は前半の明るさと比べると差があるのだけど、なんともいえない気持ちになるのである。特に日本版最終話(ハピネット版DVDの配列はNHK放送順のためこちらも最後)になった「マザランの宝石」はホームズが最初と最後にしか登場しない事情を知ると解説書でも触れられているように悲しいものを感じるし何というか全体的に漂う重さ…「犯人は二人」における原作の終わりの「だったらワトソンにそっくりだ」といったようなくだりがカットされていて不満ではあるのだけどそれゆえに全体を重い空気がたちこめて最後のホームズの「自由ですよ」が安らぎに感じるのである。
 ほめる人をみたことがない「サセックスの吸血鬼」にしても自分はかなり好きで、あのホームズが事件の前にただ困惑するだけで最終的にどうにもできない展開はホームズも完璧ではないと思った(そもそも原作のホームズは間違える探偵であり、未解決のものは名誉と面白くないからと公表しないとワトソンが書いているものがあったりする。ただしこのシリーズのすごいところが未解決でもそのうえでも興味深いと公表するとした作品があることである)し、あのラストの吸血鬼の飛行ははじめて観たときその衝撃的な顛末とふくめてかなりインパクトがあった。わりと真面目にあのエピソードは冒頭の屋敷の炎上からホラー色が濃厚でホームズが科学と理論の世界から、それとはかけ離れた怪奇の世界に迷い混んでしまったという見方をしてしまった。

 未だに今回放送されるのがNHK放送版なのかそれとも完全版なのかわからないのだけど(ただ名探偵ポワロや刑事コロンボの件を考えると完全版のような気がする)映像マスターにしてもどうなるのだろうと思う。今回4Kチャンネル同時ということで4Kリマスターだったりするのかなと思うのだけど、未だにそのあたりが出ないあたり違うのかなと思ったり(ただそれで4K放送の意味はあるのかとも思う)
 何度か書いているけれど自分はある程度のリマスターでいいやと思うしDVDを持っているからわざわざ新しいソフトを購入したりはしないけれど、ミステリチャンネルでそのときの最新のHDリマスターをいくつか観たときDVDとは色の違いがぼんやりとした部分がなくてはっきりくっきりと細部までわかる映像に驚いた(ただDVD版にしてもNHK版と完全版をみていると色調を調整しているのかNHK放送版の方が色が濃い印象を受けた)
 今回の放送はたぶん通常の吹替だと思うけれど、吹替に関して最近知って驚いたのは最初の数話で打ち切られてお蔵入りになったものの新録が製作されたということである。ものすごく気になるのだけど少し前にデアゴスティーニの地方でのテストリリースで最初の数号で打ち切られたDVDマガジンのホームズの冒険が新録だったそうで、たぶんこれがそのお蔵入りになったものだと思うけれどどいったものだったのか気になる。名探偵ポワロ新録が全国発売されただけにこちらが打ちきりなのは不思議に思ったけれど、考えると名探偵ポワロと違ってこちらは映像だけでいえばハピネット版は廉価版のさらに廉価版が出たり、字幕のみとはいえデジタルリマスターDVDが宝島社とキープからたしか前者は解説と対訳つきで出たり少し前にはそのときの最新リマスターによるブルーレイが発売されたりと廉価でも映像だけなら広く出回っていてそのあたりで不利な部分があったのかなと思う。
 このNHK版の吹替は魅力的で新録の必要はないと思うかもしれないけれど、時代的なものだったり(すでにジプシーという言葉が再放送で変更されている)
参照https://nico.ms/sm25203580?camp202103tw=17mxBYDSR4_1627963558545


 何よりも一部作品ではNHK的配慮…自転車のタイヤのあとから方向を推理する場面でオリジナルでは実在のメーカーを口にしていたのがNHK吹替では架空のメーカーになっていたり、ちょっと笑ってしまったのが基本的にNHK版ではホームズのコカインにかんするあたりはカット、一瞬注射器が写る場面すら切っているのだけど、基本的に自分は吹替+字幕同時で観ているのだけどそれですごかったのはあるエピソードでワトソンが知り合いを探し求めて阿片窟に行った際の支払いの役である。字幕では当時合法だったことから自分が支払うよ、が吹替では「君の破滅につながるものに支払うことはない」というようなNHK的なものになっていたのである。このあたり少し前に麻薬使用で出演者が変わり撮り直して封印されたことに批判もあったけれど、こういったあたりを知るとNHK的には一貫しているな~と思ったものである。

 気がつけば気まぐれに書いた日記も長くなったのでここまでにするけれど、ホームズに関してはまた別の機会にでも…
 ファンの方など様々な方が書いているから今さら自分が書いてもという気持ちはあるけれど、少し前の日記に書いたように開き直って好きなことは何度でも、の精神で。わりと真面目に特に宣伝もしていないし読む人も少ないというあたりで気楽な部分もある。