密度濃すぎ26話、道長の決意 | 華月洞からのたより

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『光る君へ』 第26話 「生け贄の姫」の感想です。

 

 

サブタイトルどおり、本題は道長の状況でした。

まさに道長のターン(turn:ゲームにおいてプレイヤーが自分の取る手を選択する、カードを切る、サイコロを振るなどの順番が回ってきた局面)。

 

「出家した中宮定子を寵愛し続け、政務をおろそかにする帝のご乱心を正し、天変地異を鎮めるため、朝廷を背負って立つ宿命を持った彰子さまが、天下万民のため入内すべし。」

天災の対応に、にっちもさっちも行かなくなって憔悴した道長に対して、安倍晴明の進言はこうですわよ。

 

大水が引いたと思ったら日食と地震が同日に起きる・・・。

科学は未発達だし末法思想全盛の平安時代において、その恐怖は計り知れません。

天がお怒りだと誰もが感じたことでしょう。

平安朝とオカルト思想は切っても切れない、セットです。

 

 

道長は長女の彰子入内を安部晴明に押され、姉の詮子(あきこ・女院)にも押されます。「お前も血を流すときが来たということよ」・・・入内は女子にとって幸せとは限らないと身をもって知っている詮子が言い放つ言葉が刺さるも「彰子はまだ子供。むごいことを。」と父親としての本音がこぼれます。

 

娘の入内に最初からノリノリだったわけではないどころか、苦悩する道長が新鮮でした。

内気で口数も極端に少なく、才気など感じられないおとなしい彰子を、困ったなーと思いつつも穏やかに見守ってきた父そのもの。良かったです。

道長、ここ数回かなりやつれて見えます。メイクかな。

 

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「これは生け贄だ。大切に慈しんだ姫であればこそ、生け贄として価値がある。」

とうとう彰子を入内させる決心をする道長。

 

天災続きの流れを断とうと「長保」と改元した新年、「帝はひそかに中宮を内裏に入れ、そのおり中宮は懐妊した。11月に皇子が生まれる。」と安倍晴明は告げます。

 

「皇子が生まれるその月に彰子の入内をぶつけよう」と思いつく道長。

 

一条帝を支え、中宮定子のこともそれなりに便宜を図ってきたのに、どこまで調子に乗るんだよ・・・スイッチ入りましたね。

 

 

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第26話のMVPは源倫子さま(黒木華(はる)さん)

「彰子をまつりごとの道具となさるなら、私を殺してからにしてください」と入内に猛反対するも、母から「入内して不幸になるとは限らない。やってみなければわからない。」と諭されると次第に態度を軟化。

・・・からの「殿、中宮様のお腹の子を呪詛し奉ってくださいませ。」(これは道長が「必要ない、彰子が帝も内裏もお浄めいたす」とお断り)

「殿の栄華のためではなく、帝と朝廷をお浄めするための彰子の入内なら、わたくしも腹をくくります。中宮様の邪気を払いのけ、あでやかな彰子の後宮をつくりましょう。」

母としての葛藤からの決意、お見事でした。

 

・・・倫子さまがMVPなんだけど、入内を告げられた彰子ちゃんの「仰せのままに」のあまりの無気力っぷりは破壊力絶大だった。

道長ならずとも「ん・・・んぐぐ・・・」と前のめりになっちゃった。

 

壮麗で支配的なパイプオルガンの響きに乗せた「裳着の儀」。

豪華絢爛な画も素晴らしかったです。

 

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まひろちゃんと佐々木酒造宣孝さんのバカップルぶりからの痴話げんか灰投げと石山寺のきらきら銀粉までと、並行してこれ。

本編40分+αによくこれだけ密度濃く納められるものだわ。

どこもはしょった感なく、そこに至るまでの流れに不自然さがない。見応え満点を超えてます。