ビックリマーク中東・北アフリカで民主化要求デモや反政府デモの動きが強まっています。中にはリビアのように内戦状態にまで陥っている国もありますが、人口構成から内戦が起きやすい国や地域を予見できるという仮説があります。それが「ユースバルジ(youth bulge, 若者急増)」仮説です。


この仮説は、ドイツのブレーメン大学の社会学教授、グナル・ハインゾーン氏がその著書『自爆する若者たち』(2003年)の中で提唱したものです。

 

 具体的には、男性人口全体に占める1529歳の青年男性の比率を計算し、それが30%を超えると、革命や内戦、テロなどが起こりやすくなるというものです。実際、ハインゾーン氏が過去のデータを詳細に検討したところ、青年男性比率が30%を超えた国では革命や内戦、テロ事件が起こっているそうです。

 

 では、なぜ青年人口比率が30%を超えると、革命・内戦・テロ事件などが起こるのでしょうか。そのメカニズムは次のようなものです。


社会の中で、青年男性の割合が一定の限度を超えると、若者たちの雇用機会は自分の親の世代に比べてかなり限定されることになるでしょう。


つまり、既存の社会体制のもとでは社会に出ても生き残っていけない若者が多数出てくるということです。その結果、若者たちは社会そのものの変革を目指すようになるのです。一般に1529歳の若者たちは理想主義に燃え、活力に満ち溢れているので、そうした気質の面からも社会変革を起こしやすくなります。

 

この仮説は、現在、MENA(中東・北アフリカ)で相次ぐ政変をどの程度説明できるのでしょうか。


meが、 各国の人口統計をもとに、実際に男性の青年人口比率(05年)を計算してみたところ、政変が起こったエジプトは30.4%、チュニジアは30.5%となり、ユースバルジの水準に達していました。内戦状態となっているリビアも31.3%でやはりユースバルジに達していました。


原油の国際価格との関係で懸念されるのはサウジアラビアの動向ですが、サウジの場合、青年人口比率は27.6%となっており、まだユースバルジには達していません。ですから「ユースバルジ」の仮説だけに依拠すれば、今回の反政府デモの波はサウジにまでは及ばないということになります。


BRICs経済研究所 代表 門倉貴史