8月8日のカドベヤブログ「Big Draw!」

 

いきなりの英語のタイトルで申し訳ありませんでしたが、実は今回のこのワークショップタイトルは完全なパクリで、しかもどこかの国よりもひどいパクリです。あらかじめ言っておくけれど。

 

イギリスではコミュニティで一緒になにか創造的なこと、あるいはまちづくりに資することを行うときにBigであらわすことが多い。

Big とは一人じゃなくってみんなでビッグにやろうという意味がある。だから、Big Lunchもあれば、なんでもBigにできる。

 

それはそれでいいけれど、ここには若干政治的な匂いもする。

2010年にイギリスでキャメロン首相が就任した時、その旗印となったのが、Big Society.

つまり地域のみんなの力を高めよう、という政策だ。上からのトップダウンではなく、コミュニティで問題を見つけてコミュニティで解決していこうという考えは、よさそうだがその裏で福祉のお金や芸術支援のお金がカットされたという現実もあるから、手放しで万歳とたたえることもできない言葉がBig.

 

本当は一人ひとりで活動する芸術には大きな意味がある。芸術がコミュニティに入っていくのは大切だが、それ以外の個人的な芸術の意義もまた大切。Bigだけがすべてではない。政治と芸術の関係はいつも難しい・・・。日本も2012年のロンドン・オリンピックでイギリスが打ち出したカルチュラル・オリンピアードに倣って2020年のオリンピックに向けてやたらコミュニティ関係のアートに力を入れ始めたが、芸術の意義は何なのか、政治との関係は何なのか、をきちんと考えないと、絶対にいけない・・・・。

 

 

 

とはいえ実は一人でやることも楽しいが、やっぱり皆でやることも確かに楽しいよ。

 

絵を描くこともみんなでやってみたらどんなに楽しいか。そんなBig Drawの試みはイギリスでもう長いこと行われていて、一つの大きなイベントとなっている。

 

その裏にいるのがジョン・ラスキンだ。ラスキンは19世紀の美術評論家だけれども、絵を描くことは誰でもが身に着けるスキルだと信じて疑わなかった。とはいえ彼が唱えたことはコミュニティでみんな揃ってお絵かきしよう、といったたぐいのものじゃない。だれでも一人ひとりが正しく見て、正しく描くことを学ぶと、自分の周りのものが全く異なって見えてくる。生きることが本当に楽しくなってくる、ということを伝えたかったのだ。

 

ラスキンは労働者にも進んで描画を教えた。芸術家を育てるためじゃない、お金儲けのためでもない、自分の環境をきちんと見る目を誰でもが持つべき、育てるべきだからだ。ラスキンさんは自然の中のありとあらゆるものを人々の目の前に持ちこんでそのままの姿を描くことを推奨した。こうだという思い込みで描くんじゃない。よく見て描いているとと思い込んでいたものがどんな違った形であるのかもわかってくる・・・。アウトラインから皆描きがちだけれど、そうじゃなくって陰影から見てごらん…、云々。

 

 

 

とにかくまずこの目で見て描いてみること。

その気持ちを大切に、みんな揃って描くことで時間を共有するイベントがBig Drawなのです。

 

ということで、今回のWSはラスキンさんには「そりゃ、嘘だろ」と怒られてしまいそうです。今回は大勢で描く、ということだけじゃなく、大きな絵を皆で描くという意味でBig Draw(でっかい描画)のタイトルをいただいちゃいました。

 

 

 

 

おおきな紙を真ん中に置いて、まずは未来が一筆書きで大きな丸を描く。そこでみんなでよってたかっていろいろなものを書いていく。

 

最初はすみっこで個別のものを書いて始まった個人の絵に、誰かがいろいろなものをつけ足していく。

 

誰かの描いたクラゲに目が付いたと思ったら手と足が生えたり、大きな花火を描いたら、その下でその花火を見ているカップルが現れたり、金魚が急に金魚鉢に入ったかと思うと、そこに一緒に人魚が入ってきた、と思ったら人魚が自由の女神になっちゃったり・・・・。あれあれ、井上さんはいつもの破壊力で皆の絵をハートでどんどんつぶしていく。花火を見ているカップルだけはこの侵入から守ろうと囲われた・・・。シリュウさんの描いた抽象画は色とりどりのサブマリンに早変わり。曼荼羅のように一つの円の中に小さな細かい宇宙が生まれたり…。

 

未来の描いた大きな円は魚の群れの流れを作り出す役割を果たしている。最初はスカスカだった白い面がいつかの時点で急に埋め尽くされ、大きなすごい絵になりました。

 

 

 

四方八方から描いた絵をどのように見るのかも一つの面白い試みです。ここでは二つの貼り方をして、皆で語り合いました。

自分が描いたもの、それがどうなったのか。他人が書いた部分で気になるところは?

うれしい思いもあるものの、自分がせっかく書いた鳥の絵がみごとにつぶされた、という文句も出ました。

 

写真ではそのすごさを伝えられない。一度火曜日のカドベヤに見に来てください。

 

 

 

 

ご飯はちらし寿司。こちらも本当にすごい2枚の絵となりました。姫が下ごしらえを入念にしてくれて、美しいBig Draw Sushiです。何しろ、中には色とりどりの具材がたっぷりなんだもの。

副菜は小林先生の農園から頂いた大きなナスを素揚げして、ポン酢あえ。そして残ったナスはジャガイモと豆腐、油揚げ、切り干し大根、わかめの味噌汁に。

 

そして小林先生から頂いたおいしい桃はほっぺたが落ちそうな甘さでした。

 

ということで、Big ゆうめしの夕べも楽しく過ぎていきましたとさ。

 

今度はどんなビッグなことをみんなでやろうか。

 

(よこやま)

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