■地方市場 企業相次ぎ上場廃止 海外でも撤退の流れ加速

(産経新聞朝刊 1024)

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投資のセオリーとして取引高の少ない銘柄は値動きが激しく

仕手筋などの影響も受けやすいため、

素人は手を出すべからず・・・と言われます。

地方市場の取引高が少ない銘柄もその一例かもしれません。

このようなトレンドも無理ないのでしょうね。

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ベンチャー企業の新規上場が相次ぐ一方、地方や海外の証券取引所の上場廃止に踏み切る企業が増えている。取引量が少ないことが主な理由だ。ただ、地方市場の上場廃止は東京証券取引所への「一極集中」と地方の空洞化を招きかねず、地方の証券取引所には地元企業の上場推進などに取り組む例もある。(原口和久) 

 最近、上場廃止を決定した主な企業は、その理由について「取引の少なさをはじめ総合的に判断した」(味の素)としている。取引の大半が東証と大証に集約されるため、情報開示の手間ひまといった上場に伴う「コスト」だけが膨らむほか、投資家への影響も小さいためとみられる。

 大和総研の宇野健司上席研究員は「地方三市場(名古屋、福岡、札幌)は単独での生き残りが厳しい。とはいえ東証一極集中では危機管理の面から好ましくない。大証が地方三市場を取り込む形で再編されるのが望ましい」と語る。平成十二年に新潟と広島の証券取引所が東証に、翌年には京都証券取引所が大証に、それぞれ吸収された例があるからだ。

 地方市場も手をこまねいているわけではない。新興市場のQボードを含め約百五十社が上場する福岡証券取引所は「上場企業の年間登録料は二十万-三十万円程度。数社が上場廃止しても経営基盤が揺らぐことはない」(小西雄二専務理事)とする一方、地元の行政、財界とタイアップし、市場の活性化策に余念がない。

 十年六月に設置された「福岡証券取引所活性化推進協議会」は市場取引の促進や九州・山口地区のベンチャー企業の掘り起こしを進め、近い将来の上場につなげている。小西専務理事は「ベンチャーの掘り起こしを三年前から本格化させ、成果が出始めた」として、新規上場の増加に期待を寄せる。

 単独上場企業三十七社で組織する「福証単独上場会社の会」はIR(投資家向け広報)活動を共同で実施。ネット証券を通じた取引が全体の半数近くを占めるため、東京での開催を検討中だ。

 一方、海外の証券市場では大和証券グループ本社(東証、大証、名証上場)がロンドン、フランクフルトなどの上場廃止を決定。かつて欧州七市場に上場した同社は海外での上場をすべて廃止する。三洋電機(国内五市場上場)もフランクフルト、パリなど四市場での上場廃止を決め、海外での上場は米ナスダック市場にとどまる。

 「認知度向上と資金調達」を狙って海外市場での上場を果たした日本企業。が、海外投資家が日本に進出し、「自社のIR活動を海外で行っている」(大和証券)現在、“目的達成”を理由とする撤退の流れは加速しそうだ。