『歌舞伎のびっくり満喫図鑑』 君野倫子/著 市川染五郎/監修

小学館 1,680円 A5判 128ページ 2010年1月発行 ISBN9784093107686

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784093107686



歌舞伎見人(かぶきみるひと)


■出版社の案内文


前著『歌舞伎のかわいい衣裳図鑑』で好評を得た、著者・君野倫子氏のユニークな目線による歌舞伎案内・第2弾です。「演目や役者がわからなくても歌舞伎の魅力がわかる。どこから読んでも、眺めるだけでも楽しい」と支持を得た見せ方は第1弾を踏襲。そして、歌舞伎舞台を観て驚いたり不思議に思ったりする読者の心をつかむ要素を、さらにふんだんに盛り込んでいます。客席からは窺い知れない裏方さんの仕事にもスポットライトをあて、1枚の衣裳、1本のかんざしにこめられた意味や役割などについて、現場からの貴重なコメントもたくさんいただきました。
監修は、前著と同じ市川染五郎氏。衣裳、小道具、床山関係各社の協力のもと、撮り下ろし写真を舞台写真とともにふんだんに盛り込む、歌舞伎の魅力を見て味わえる1冊です。


■目次

はじめに


あ行 麻の葉/市松/色男の着物/海の仲間/うろこ/江戸の芝居 上方の芝居/演藝冩真帖/

    帯の結び方/おもしろ柄

か行 歌舞伎色/歌舞伎ミラクル/髪結道具/蚊帳/かんざし/きっかけアイテム/隈取/黒子/献上の色

    /口上

さ行 芝居ごころ/襦袢/そのまんま柄

た行 第一礼装/立役の鬘/チェック&ストライプ/対の柄/動物たち/殿の綸子

な行 生演奏/生着替え/肉襦袢/女房たちのヘアスタイル/のれん

は行 羽裏/火鉢/文房具/ホンモノ

ま行 紋

や行 四天

わ行 若衆の着物


裏方さんの仕事 立役の床山/鬘屋/大道具


コラム

 平打ちのかんざし

 あこがれのシンボル・小道具

 歌舞伎にちなんだ菓子

 附帳


■歌舞伎見人メモ (抜き書きの部分もあれば、まとめた部分もあります)

・鹿子絞りの麻の葉模様が大流行したのは、五代目岩井半四郎が「八百屋お七」を演じたのがきっかけ


・市柄は古くからの模様で、江戸時代以前は石畳と呼ばれていた。江戸時代の歌舞伎役者・佐野川市松が

 『心中万年草』で寺小姓、成田久米之助を演じた歳、白と紺色の石畳柄の袴を着たのがきっかけで大流行した


・江戸の花魁の髪飾りはすっきりとしているのに対し、上方の花魁はかんざし、髪飾りの数も多い。

 江戸の花魁のかんざしが耳かきタイプなのに対して、上方のは撥タイプで大ぶり


・『傾城反魂香』で又平が着ている着物の柄は、耳が整列している耳小紋


・引き抜きの衣装は、帯のところで着物が上下二部式に分かれている。後見さんが衣装に留めてある8つの玉を

 引き抜く。毎日、これを縫い直している。


・基本的に男性は毎日のように髪結に手入れをしてもらっていた。女性は遊女以外は自分で結うのが一般的。


・弁天小僧が呉服屋浜松屋の場面で頭につけているくす玉は、最初は房が短めのくす玉をつけているが、

 いつの間にか、房が長めのものに付け替えられ、役者が顔をあげる瞬間、くす玉の房に手をひっかけて

 落とせるようになっている


・歌舞伎に登場する小判百枚の包みは、手の中にすっぽり収まるサイズが一般的だが、小判百枚の包みが

 こんなにコンパクトなわけがなく、見た目の美しさを追求した結果の嘘。


・プロンプターは狂言作者の仕事


・「直侍」で直次郎が劇中に食べる蕎麦は、どんぶりは小道具さんが用意したもの、中身は劇場の中や近所の

 そば屋から毎日出前で届けられるもの


・「仮名手本忠臣蔵」の七段目で役者がおいしそうに食べる刺身は、実は羊羹。