読み聞かせをするときは、あまり感情を入れず、声色を使い分けたりしないで、聴いている人の想像力に任せた方がいいと言うけれど。

前半の風間アンディはまさに淡々と手紙を読んでいく。

対する咲妃メリッサは身振り手振りも付けて終始表情豊か。

けれどお互いの演技に違和感はない。アンディが感情を表し始めるのは前半も終わる頃。

 

後半は物語が進むに連れ、感情を露わにしていくアンディ。

特に最後の手紙を読むシーンは思いを爆発させ、まるで前半とは別の舞台を見ているよう。

その変化に戸惑い、物語の進行が早いこともあって、浸れないままに終演を迎えてしまった。

最後の彼は一見物語の世界に入り込み、いわゆるアンディが憑依した演技に見える。

けれど常からプランを立てて演じていると言っている彼、序盤は押さえ、徐々に高めていってラストにクライマックスを持って行く、これもプランの内だったのだろうか。

それは見事にはまり、会場のあちこちからアンディにもらい泣きするのが聞こえ、けれど私は戸惑ったまま。

いつもはお話しの世界にさっと連れて行ってくれる彼に、今回は連れて行って貰えなかった。

彼の演技を見る、考える、物語のあれこれを考える、事になってしまった。

もし再演があり、ふたたび観劇する事が出来たら、もう少し消化できるだろうか。

 

こうしてあれこれ考えるのも、芸術に触れる楽しみではある。

とりあえずラブ・レターズの本を図書館に予約中。