夫との出会いは、私の勤め先の外注さんでした。

夫は、秀でて容姿が良かったんです。

物腰も軟らかで、会話も途切れない人でした。

独身の時でしたので、私も、すぐに交際を承諾しました。

デートも完璧なプランでした。

ただ、気紛れな人でした。

だらだらと2年程続いた後に、もう、別れようかと、別れ話を持ち掛けている最中。

妊娠がわかりました。


夫に告げると、そんなつもりはなかった。
諦めて欲しい。

そう言ったのです。

なんで、私が諦めなければならないのか。

私は産む意思を曲げませんでした。


最終的に、夫は腹を括ると言い婚姻届けを出したのです。


あの時から、夫は軽率な人でした。

夫の本来の一面が見えた私は、結婚したにも関わらず急速に冷めていきました。

一緒に生活すると、本当に噛み合わない噛み合わない。

悲劇でした。

妊娠中、育児中は、私の人生の地獄だったと思います。

私達は噛み合わないまま、子供は成長し、今に至る訳です。

向き合う事を諦め、互いを無視し、生活していました。

今回の事があり、全てが理解出来ました。

この人は、義務感だけでこの場所に居て、私が子供を産んだのはイヤでイヤで、今でもずっと辛いんだ、と。

そう理解出来た時に、ようやく涙が流れました。

ずっと泣かなかったんです。



そして、私は、悔しいけれど、夫をずっと愛しているし、それは、これからも続くのだと。