当センターは、木更津市民だけが利用できる地域密着の認知症対応型通所介護施設です。定員は12名。送迎、入浴、お食事、健康チェック、機能訓練などのサービスを実施しています。月曜から金曜までの9時半から15時半までをデイルームを中心にゆったり過ごしていただきます。木更津市から建物に補助金をいただいた委託事業です。朝は8時半から9時半までの間にご自宅へお迎えにうかがい、9時半までにセンターに到着します。看護師等による健康チェックから始まり、午前中は、お風呂を楽しんでいただいたり、個々の趣味などに合わせたレクリエーションを行います。当苑、手造りの昼食を美味しく召し上がっていただき、午後からは、リハビリ体操や脳内体操、カラオケ等で過ごしていただきます。リアリ
ティオリエンテーションや回想法を自然に織り交ぜながら、ご利用者は自由な時間をゆっくり、ゆったりと過ごしています。カラオケには、東北福祉大学がソフト開発した第一興商のフリーダムを導入しています。3時に手作りおやつを食べていただき、ご自宅にお送りするようなスケジュールになっています。
 当センターのケアの一番の特徴は、幼老統合ケアです。では、そもそも、幼老統合ケアとは、どのような発想なのでしょうか?たとえば、保育園の園児や学童保育の児童たちは、施設のなかでは保育士や指導員からケアを受ける対象、すなわち、ケアの受け手です。デイサービスやグループホームのお年寄りのご利用者も、介護職員からサービスを提供されるケアの受け手となります。ところが、お年寄りと子どもたちを同じエリアで、日常的かつ意図的に交流させるとどうなったでしょうか?子どもたちは、高齢者の乗った車イスが段差で止まると、押し手として、当然のように集まり、自然と介助者になります。子どもたちがハロウィーンに仮装して、回ってきたらどうなるでしょう?子どもたちに、「お菓子
をプレゼントしたい」とか、「一緒に昔遊びを教えてあげたい」というような気持になります。これは、単なるケアの受け手でしかなかった認知症などの高齢者が、ケアの受け手から担い手へと変化したことにほかなりません。
 木更津みらい学舎の児童たちは、地域包括支援センターの方々による認知症サポーター講座も受講し、オレンジリングを取得しています。夏休みには、日本認知症ケア学会による認知症についての作文コンクールにも積極的に取り組み出品しました。請西苑デイサービスセンターでは、昔、教員や千葉県庁職員をしていた私の叔母や、君津保健所や木更津市保健センターで管理栄養士をしていた私の母も楽しく通ってきています。身内なので、詳しくモニタリングできるのですが、母も叔母も役割意識をもってデイサービスに参加しているような気もいたします。
 そのような請西苑デイサービスセンター、ならびに、併設の特養とグループホーム、そして、学童保育をぜひ、ご見学いただき、認知症専門ケアへの背伸びをしない自然体の取り組みの様子を知っていただきたいと思います。また、2013年10月に木更津市および周辺地域の介護力向上や介護のプロとしての専門性の向上、会員相互交流を目的とした「介護福祉チーム・ラボ木更津」が立ち上がりましたので、この場にご出席の方でまだ登録のない事業所さんがございましたら、ぜひ、一緒にご参加いただきたいと願っています。

      請西苑起案者(介護支援専門員・日本認知症ケア学会所属・木更津商工会議所会員・教育学研究者)
                                 社会福祉法人天祐会 森田 恵