“恋スル”五行歌 -2ページ目
剥き出しになった
かかとが 淋しそうに
見えたから
人ふたり分
擦り寄った
雪で濡れるのは
平気 でも
雨に降られるのは嫌い
流されてしまいそう
だから
泣くだけが
能じゃないから
恋をして強くなる
なんて 精一杯
強がってみせた
遠すぎると
見えなくて
近すぎると
苦しくて
距離を置けば恋しくて
三度再起動した後に
エラー画面がまた出ると
そういうところが
嫌いだ と誰かを
真似た口調で言う
後ろ姿を見送ると
止みそうにない
雪を蹴って
霞む景色を
ごまかした
滴るような雨の後で
濡れた毛先を
絞りながら
もっと降れ と
君は叫んだ
引き返せない
はずなのに
エレベーターを
見送ると何度も
携帯を眺めた
ふたりの声が
消え入ると
次の言葉を待つ間
そっと
指先を重ねた
寒い と言えば
楽なのに 何度も
鼻を啜りながら
こんなもんだろ
と君は言う