“恋スル”五行歌-pier
剥き出しになった

かかとが 淋しそうに

見えたから

人ふたり分

擦り寄った

“恋スル”五行歌-teary
雪で濡れるのは

平気 でも

雨に降られるのは嫌い

流されてしまいそう

だから

“恋スル”五行歌-counter
泣くだけが

能じゃないから

恋をして強くなる

なんて 精一杯

強がってみせた

“恋スル”五行歌-library
遠すぎると

見えなくて

近すぎると

苦しくて

距離を置けば恋しくて

“恋スル”五行歌-orange
三度再起動した後に

エラー画面がまた出ると

そういうところが

嫌いだ と誰かを

真似た口調で言う

“恋スル”五行歌-stomp
後ろ姿を見送ると

止みそうにない

雪を蹴って

霞む景色を

ごまかした

“恋スル”五行歌-deck
滴るような雨の後で

濡れた毛先を

絞りながら

もっと降れ と

君は叫んだ


“恋スル”五行歌-cell
引き返せない

はずなのに

エレベーターを

見送ると何度も

携帯を眺めた

“恋スル”五行歌-st.
ふたりの声が

消え入ると

次の言葉を待つ間

そっと

指先を重ねた


“恋スル”五行歌-camp
寒い と言えば

楽なのに 何度も

鼻を啜りながら

こんなもんだろ

と君は言う