東南アジアのジャングルに咲く
世界最大級の花、ラフレシア。



ぼってりとした血のような
巨大な花びらに
虫を誘う悪臭…。

一度見たら忘れられない、が
花以外はどんな植物でしたか?

大きな木でしたか?
根はたっぷり張っていましたか?

はて、花以外は聞いたことないですね。

そうなんです、
ラフレシアは、
「花しかない植物」なのです。

葉もなく根もなく茎もない。
光合成のための遺伝子もない、
植物に分類してもいいのかと
いうような状態。

ラフレシアは、寄生植物なのです。
ブドウ科のミツバカズラの根に
点滴管のような細い寄生根を
食い込ませて生きています。

子孫を残すために
必要な器官は、花のみ。

究極の合理性を持った、
進化した花かもしれません。

一点集中型。

そして、寄生主を殺さないように
増えすぎないように
しているのです。

見た目は派手でも、
ミツバカズラに頼って
ひっそりと生きている、

ラフレシアはそんな花。

もうひとつ、こちらは名前から
想像できる寄生植物、
ヤドリギ。

古代から冬でも青々としている
ヤドリギは、
永遠を象徴している
神聖なる樹として
大切にされています。

平和を表すとして旅の
お守りにされたり、

日本でも長寿のおまじないと
されたり。

ギリシャ神話では、ヤドリギで 
亡くなったミノス王の息子が
蘇ったり。

中でも有名なのは、
クリスマスの夜にヤドリギの下で
キスをしたカップルは
幸せになれる、という
言い伝えで、
映画や小説に何度も描かれています。

冬でも緑色で、美しい実をつける
神聖な植物…と
崇めるのは良いのですが。

ヤドリギは宿り木。





つまり、ラフレシアのように
他の植物の養分を頂いて
生きているもの。

根を他の植物の幹に食い込ませ、
その木が葉を落としていても
自らは青々としている…。

ラフレシアと違うのは、
自らも光合成はできるということ。

必要な養分はしっかり
寄生主から頂いて、
自分が輝くエネルギーは
自分でなんとかします。

だからここでわたしは
輝いているのです。

実を食べた鳥が種を運んで
くれますしね。

植物たちの智恵の張り巡らされた
この世界、

自分自身で生き抜いていくのも
素晴らしいけれど、

そこに寄り添って、
エネルギーを分けてもらって、
多様な仲間が増えていく。

なあんだ、ヤドリギって
結局寄生なのか、と見るもよし、

うまいことやってるよねえ、と、
見直すのもあり。

見た目だけでは判断つかない、
それが植物たちの世界かも。