銀河鉄道の父 | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:成島出
キャスト:役所広司/菅田将暉/森七菜
配給:キノフィルムズ
公開:2023年5月
時間:128分




宮沢賢治については『グスコーブドリの伝記』で概略を記したが,今夜紹介するのはタイトルの通り,宮沢賢治の父・宮沢政次郎の目を通して,息子をはじめとする家族を描いたもの。原作は門井慶喜の直木賞受賞作。監督は『八日目の蟬』『グッドバイ/嘘からはじまる人生喜劇』の成島出。宮沢賢治没後90年となる昨年5月に公開された。

岩手県で質屋を営む裕福な政次郎(役所広司)の長男に生まれた賢治(菅田将暉)は,跡取りとして大事に育てられるが,家業を「弱い者いじめ」だと断固として拒み,農業や人造宝石に夢中になり,父・政次郎と母・イチ(坂井真紀)を振り回す。さらに,宗教に身を捧げると東京へ家出してしまうのだった。

そんな中,賢治の一番の理解者である妹のトシ(森七菜)が,当時は不治の病だった結核に倒れる。賢治はトシを励まそうと,一心不乱に物語を書き続け,病床のトシに読み聞かせる。だが,願いは叶わず,みぞれの降る日にトシは旅立ってしまう。「トシがいなければ何も書けない」と,悲しみに泣き叫ぶ賢治に,「私が宮沢賢治の一番の読者になる!」と,再び筆を執らせた政次郎だったが…。

宮沢賢治という“超有名人”の無名時代がモチーフなので,菅田将暉にばかり目がいきそうになるが,ベースにあるのは“親子の物語”。親バカ全開の父親と真面目なバカ息子がコミカルに掛け合い,そこに,しっかり者の妹がツッ込むという,ユーモラスな展開。だからこそ,後半の悲劇と愛が,見る者の心をえぐる。この3人の演技力と存在感が,多くの人の知らなかった宮沢家の愛のカタチを時を超えて伝え,感動へと誘う1本だ。


映画クタ評:★★★★


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