ハード・コア | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:山下敦弘
キャスト:山田孝之/佐藤健/荒川良々
配給:KADOKAWA
公開:2018年11月
時間:124分




作=狩撫麻礼,画=いましろたかし,による伝説的コミックス『ハード・コア 平成地獄ブラザーズ』を『味園ユニバース』(2015年・ギャガ)『ぼくのおじさん』(2016年・東映)の山下敦弘監督が実写映画化した異色コメディを今夜は紹介。

人間同士の交流が希薄になり,打算的な生き方をする人々が増えた現代日本。その都会の片隅で,あまりにも純粋で信念を曲げることができず,世間からはみ出してしまった権藤右近(山田孝之)。間違いを正そうとする自らの信念をいつも暴力に転嫁させてしまうため,仕事も居場所も失ってきたのだった。今は怪しげな活動家・金城銀次郎(首くくり栲象)と,その番頭・水沼(康すおん)の下で埋蔵金探しを手伝う日々。唯一の友は一緒に働く牛山(荒川良々)だけ。2人を見守るのは,右近の弟・権藤左近(佐藤健)。一流商社に勤務するエリートだが,腐った世の中にうんざりし,希望を失っていた。

そんなある日,牛山が住処にする廃工場で謎の古びたロボットを発見する。不格好なロボットに“ロボオ”と名付けて奇妙な友情を育み始める彼ら。やがてAIの知識もある左近が,ロボオが見た目とは違い,現代科学の水準を遥かに凌駕する高性能であることを突き止める。「ロボオの人工知能があれば、埋蔵金の発掘なんてちょろいぜ!」と主張する左近に導かれ,群馬の山奥へと向かった3人と1体は,まんまと100憶を超える埋蔵金を見つけてしまうのだったが…。

“山田孝之×佐藤健×荒川良々”というクレジットが,期待通りに“今の鬱積”を“今までにないモノ”に変換して魅せてくれる。埋蔵金の行方,悲しい牛山の過去,水沼の娘・多恵子(石橋けい)と右近の禁断の恋,会頭・金城の失踪など,様々な要素を膨らませながら,“腐れきった世の中で,腐っているモノとは何か?”をライトに問いかける1本。

エピローグには原作コミックにない映画版オリジナルのシークエンスが追加されている。「最下層の男たちとの世間とのギクシャク,それに尽きます。山下敦弘は良き映像作家である,と思います」と期待を寄せていた原作者の狩撫麻礼は,映画の完成を前に急逝。ラストには「狩撫麻礼に捧ぐ」というテロップが刻まれている。


映画クタ評:★★★★


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