カノジョは嘘を愛しすぎてる | p・rhyth・m~映画を語る~

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監督:小泉徳宏
キャスト:佐藤健/三浦翔平/窪田正孝
配給:東宝
公開:2013年12月
時間:117分




歌声を聴いて背筋に電流が走る,そんな経験が何度かある。上手いだけでなく,その声が体内の琴線に共鳴する。次の瞬間に,自然と涙が溢れる。

リアルでしかあり得ないと思っていたそんな感覚を,映画の中で味わうことなんて,自分でもないと思っていた。ほんのワンフレーズなのに,惹かれてしまった歌声の持ち主は“小枝理子”。音響技術の巧みさによるものなのか? あえて“大原櫻子”とは言わない。この作品の中での理子の声は,何度見直してもたまらなく惹かれてしまうのだ。

そんな“小枝理子”を生み出した作品を今夜は紹介。原作は,数多くの人気作品を生み出した女性漫画家・青木琴美による,累計300万部を誇る大ヒットコミック。音楽プロデューサーには東京事変の亀田誠治。監督は,後に『ちはやふる』シリーズを大ヒットさせる小泉徳宏。

高校の同級生だった坂口瞬(三浦翔平),大野薫(水田航生),小笠原秋(佐藤健),矢崎哲平(浅香航大)の4人で結成されたバンド“CRUDE PLAY(クリプレ)”は,高校卒業と同時にメジャーデビューを果たすが,デビュー直前に突如,秋が脱退,新メンバーとして1年下の篠原心也(窪田正孝)が加入し,現在の音楽シーンでは大人気を誇っている。一方,“CRUDE PLAY”脱退後,サウンドクリエイターとして活躍する秋は,今もクリプレへの楽曲提供を続けているものの,ビジネスとしての音楽の世界に嫌気がさし,自分の現状にもつまらなさを感じていた。

そんなある日,たまたま知り合った女子高生の小枝理子(大原櫻子)に声をかけ,自分の正体を隠したまま付き合い始める秋。軽い気持ちで付き合い始めたが,やがて純真な理子に惹かれるようになっていった。“CRUDE PLAY”の大ファンでもある理子は,クラスメイトの祐一(吉沢亮),蒼太(森永悠希)とバンドを組んでいたが,“CRUDE PLAY”をデビューさせた音楽プロデューサー・高樹(反町隆史)が,理子の魅力的な歌声に惚れ,彼女をスカウトする。こうして理子の夢の実現が近づくにつれ,秋と理子の嘘から始まった恋が大きく動き出していくのだったが…。

音楽プロデューサーとして椎名林檎を育てた亀田誠治が,劇中バンド“CRUDE PLAY”と“MUSH&Co.”の曲を中心に6曲を提供しているのだが,安易に“音楽劇”にせず,むしろ終盤までほとんど歌わせないという“焦らし”の構成にハメられる。そんな,甘くて,苦くて,切なくて,なのに心地よいラブストーリーだ。

登場していた若手俳優たちが着実に成長し,活躍している,公開から7年以上となる現在。音楽班の大原櫻子にも,もうひと頑張りしてほしいと思ったりする。


映画クタ評:★★★★


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