• 30 May
    • 婚姻の取消し

      民法第743条 婚姻は、次条から第747条までの規定によらなければ、取り消すことができない。   本条は、婚姻の取消しについて、第744条以下の規定のみによるべきものとし、民法総則の意思表示の取消しに関する規定の適用を、排除したものです。   婚姻の取消原因は、2つの類型に大別されます。   第1の類型は、婚姻の実質的要件のうち、婚姻意思の合致および父母の同意の要件を欠く場合を除く、4つの要件違反の場合です。 具体的には、不適齢婚・重婚・再婚禁止期間の婚姻・近親婚を、原因とする取消しです。   第2の類型は、詐欺・強迫を原因とする取消しです。   第1の類型は、公益的取消しと呼ばれます。 不適法な婚姻届が誤って受理された場合につき、反社会的な婚姻(父母の同意の要件違反は、反社会的に乏しいので取消原因とならない)を、公益的な観点から取り消すものです。   したがって、取消権は、婚姻当事者以外にも、親族などや公益代表者である検察官にも、幅広く与えられます。そして、追認などによる取消権の消滅は、認められていません(第745条・746条は例外規定です)。   第2の類型は、私益的取消しと呼ばれます。 詐欺・強迫を受けた当事者を保護する私益的な観点からの取消しであるので、取消権は、詐欺・強迫を受けた当事者に限定されるとともに、追認などによる取消権の消滅(第747条2項)が、認められます。   婚姻取消しの相手方は、婚姻当事者の一方が提起するときは、配偶者です。 第三者が提起するときは、夫婦(一方が死亡したときは、生存配偶者のみ)です。 相手方となるべき者の死亡後は、検察官です。

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  • 28 May
    • 婚姻の無効(その2)

      婚姻意思がないときは、婚姻は無効ですが、婚姻意思は届出との関係でいつ存在すればよいのでしょうか。   判例は、事実上の夫婦関係にある者や、将来婚姻することを目的に、性的交渉を続けてきた者が、婚姻意思を有し、その意思に基づいて婚姻届出を作成したときは、届出の受理時に意識を喪失していたとしても、受理前に翻意したなど特段の事情がない限り、婚姻は有効に成立するとしています(最高裁判例昭和44年)。   これは、届出の受理後に、短時間で死亡した事例ですが、受理時に当事者の一方または双方が死亡していたときは、届出が受理されても、効力は生じません(大審院判例昭和16年)。   ただし、生存中に郵送した届書が、死亡後に到達したときは、死亡時に届出があったものとみなされます(戸籍法第47条)。   なお、届出作成時には意思があったが、届出受理前に翻意した場合について、協議離婚届に関するものですが、戸籍係員に対する翻意の意思表示があったとして、協議離婚を無効とした事例があります(最高裁判例昭和34年)。   第742条1号が、意思欠缺の例としてあげる「人違い」については、相手についての同一性を誤ることです。相手の性質ないし属性について誤ることを意味しません。 相手の性質などに関する錯誤は、詐欺に基づくときに取消しが問題になるにとどまります。   第742条2号の届出のない婚姻を、有効無効を争う余地がない(追認の余地もない)ものとして、「不成立」と解しています。   通説の立場からは、本条2号は、ただし書を導くための規定であり、第739条2項の要件を欠く不完全な届出であっても、受理されれば有効になるという、ただし書にのみ意味があるということになります。   第739条2項は、「婚姻の届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない」と、規定しています。 したがって、この方式を欠くだけでは、婚姻は有効ということになります。   例えば、証人が成年でない場合や、届出人の署名が代署によってなされたが、代署事由の記載を欠いている場合も、受理されれば有効になります。

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  • 24 May
    • 婚姻の無効(その1)

      民法第742条 婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。 一、人違いその他の事由によって、当事者間に婚姻をする意思がないとき。 二、当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第739条第2項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。   婚姻も、当事者の意思に基づく法律行為である以上、無効・取消しの問題が生じます。 しかし、婚姻の効力を否定することは、当事者や子はもちろん、第三者との関係においても、一般の法律行為とは異なる重大な影響を与えます。   そこで、民法は、婚姻の無効を、意思欠缺(一号)と届出の欠缺(二号)に限定しました。 民法総則の無効の規定は、適用されません。   そして、その他の瑕疵ある婚姻を、取り消し得るものにとどめました(取消しの効果は、遡及しません)。   本条一号は、婚姻意思のない婚姻は、無効としていますが、婚姻意思とは、何でしょうか。 学説の伝統的通説は、身分行為意思について実質的意思説をとり、婚姻意思については、社会通念上の婚姻関係を形成する意思である、としています。   判例も、子に嫡出性を与えるための婚姻を、「当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思」を、有しないものとして無効としました(最高裁判例昭和44年)。   しかし、一方でこれと異なる判例もあります。 それは、死後の相続権などを付与する目的でなされた「臨終婚」について、婚姻意思の内容を、特に問題とせずに有効としています(最高裁判例昭和45年)。

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  • 23 May
    • 外国に在る日本人間の婚姻の方式

      民法第741条 外国に在る日本人間で婚姻をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる。この場合においては、前二条の規定を準用する。   本条は、外国にいる日本人間で、婚姻を行う方式について規定したものです。   外国にいる日本人が、その国に駐在する日本の大使、公使または領事に婚姻の届出をなした場合、大使、公使または領事が受理し、外務大臣経由で本人の本籍地に送付(戸籍法42条)した後に、戸籍に記載される。   受理手続きには、第739条および740条が準用されることから、婚姻の成立は、大使、公使または領事による受理の時です。   なお、本条によらない在外日本人間の婚姻も考えられます。   第一に、外国にいる日本人間で、当事者のどちらかの本籍地の市町村長に対し、届書を送付した場合、婚姻挙行地いかんにかかわらず、有効な届出となります。 この場合、本籍地で受理された時に、婚姻は成立します。   第二に、外国にいる日本人が、その国の方式で婚姻を挙行した場合、その際に作成された婚姻証書の謄本を、3ヶ月以内に、その国に駐在する日本の大使、公使、または領事に、提出しなければなりません(戸籍法第41条1項)。   もしも、その国に大使などの駐在官がいない場合は、この謄本を3ヶ月以内に、本籍地の市町村長に、送付しなければなりません(戸籍法第41条2項)。   大使などが、婚姻証書の謄本を受理するにあたっては、実質的要件を欠いて当然無効の場合、および挙行地の方式に違反している場合には、受理できません。   書類を受理した大使、公使または領事は、本条適用の場合と同様、遅滞なく外務大臣を経由して、本人の本籍地の市町村長に送付し(戸籍法42条)、戸籍に記載されます。 この場合の婚姻の成立は、外国の方式による婚姻証書に記載された年月日です。

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  • 21 May
    • 婚姻の届出の受理(その2)

      婚姻届書は、要件具備を確認したうえでなければ、受理し得ない届書ですが、誤って受理した場合でも、婚姻意思がある限り、無効とはなりません。   民法第739条2項の届出方式に違反する場合は、効力は妨げられません(第742条2項)。 実質的要件を欠く場合(第731条~736条)には、取消自由となります(第744条)。   そして、その効果は、遡及しません(第748条1項)。 したがって、取消自由が消滅すれば、確定的に有効となります。   さらに、未成年者の婚姻につき、父母の同意を欠く場合については、取消事由ともされていませんから、受理によって、婚姻は有効に成立します。   受理要件を満たした届書が提出された場合、戸籍吏は、受理しなければなりません。 正当な理由なくこれを受理しない場合、当事者は家庭裁判所に対し、不服申立てができます。   そして、不服の申立てに理由があると判断された場合、市町村長は、この届出を受理しなければなりません。   届出は、受理により効力を生じますから、受理以前にこれを取り下げることは可能ですが、一旦受理された以上は、撤回し得ないとするのが、実務の先例です。   婚姻の届出が受理された場合、夫婦の新戸籍が編製されます(戸籍法第16条1項本文)。その場合、自己の氏を夫婦の氏として称する方が、戸籍の筆頭者となります(民法第750条、戸籍法第74条)。   ただし、自己の氏を称する夫または妻が、すでに戸籍筆頭者であるときは、他方がその戸籍に入籍します(戸籍法第16条1項ただし書・2項)。   夫婦の一方が、外国人の場合は、日本人について新戸籍を編製するが、その者が戸籍筆頭者である場合は、当該外国人が配偶者となる旨、その戸籍に記載されます(戸籍法第16条3項・6条)。

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    • 婚姻の届出の受理(その1)

      民法第740条 婚姻の届出は、その婚姻が第731条から第737条まで及び前条第2項の規定その他の法令の規定に違反しないことを認めた後でなければ、受理することができない。   婚姻の届出は、受理された時に効力を発します(第739条)。 その際には、実質的要件と形式的要件を必要とします。   実質的要件として、婚姻適齢(731条)、重婚禁止(732条)、再婚禁止期間(733条)、直系血族・直系姻族・法定血族間の婚姻禁止(734条~736条)、父母の同意のない未成年者の婚姻(737条)の、規定があります。   そして、届出方式に関する形式的要件(739条2項)、その他の法令に違反していないかを審査しなければ、受理できません。   提出された婚姻届書は、戸籍事務管掌者(市町村長)が、本条に定める違法な点がないかを審査(形式的審査)した後に受理し、はじめて効力を発します。戸籍への記載が、効力発生要件とはなりません(大審院判例昭和16年)。   受理した場合は、届書、その他の書類および戸籍に、届出の年月日を記載し、受附帳に記入しますが、何らかの事情で受理を拒否する場合は、この記入を行いません。 口頭による届出の場合は、届出人が、署名・押印したときに、受理されると解されています。   本条に規定する審査は、届出事項が真実であるか否かの実質的審査を含まないと解されており、判例の立場も、また同様です。   受理の際には、婚姻の実質的要件を具備している必要があります。 したがって、受理の際に死亡している場合は、受理し得ないはずです。   しかし、生存中に届書を郵送した場合は、特則があります。 すなわち、それは死亡後であっても、受理しなければならず、受理された場合には、届出人の死亡の時に、届出があったものとみなされます(戸籍法47条)。

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  • 14 May
    • 婚姻の届出(その2)

      民法第739条によって、婚姻は、届出をすることで効力を生じます。 本条にいう届出とは、当事者間での合意が成立したことを、戸籍吏に示し、これによって婚姻を成立させる行為です。   届出は、戸籍吏に受理されれば完了し、戸籍簿に記入されなくても、婚姻は成立します(大審院判例昭和16年)。   ところで、法文には、「届け出ることによって、その効力を生ずる」と、あることから、届出は、単なる効力発生要件であるかのように、読むこともできます。   通説的見解は、届出によって婚姻意思が表示され、婚姻が成立すると解釈しています。 この説によれば、届出時に意思能力を有していることは当然、婚姻意思も存在していなければ、婚姻は、無効となります。   判例法理は、どのように解しているのでしょうか。 届書作成時には、婚姻意思があったものの、届出の前に意識を喪失し、そのまま死亡したが、死亡前に、他人によって届けられていた場合の、婚姻届の効力について、次のように判示されました。   すなわち、「届出受理以前に、翻意するなど婚姻意思を失う特段の事情のない限り、届出の受理によって、婚姻は有効に成立する」と、しました(最高裁判例昭和44年)。   この判決以前の判例の立場は、旧法下のものですが、成立要件説に依拠するものが多かったようです。本判決が、成立要件説をとったとすれば、届出時に、意識喪失している以上、効力は生じないはずです。   しかし、「届書作成当時に婚姻意思があり、この意思を失ったことがなく、事実上婚姻共同生活が、存続しているにもかかわらず、受理の瞬間に一時的に意識不明に陥ったことがある以上、再び意識を回復しても、婚姻が有効に成立しないとするのは、不合理」(前記最高裁判例昭和44年)であるとして、有効にする理論構成をしています。

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  • 07 May
    • 婚姻の届出(その1)

      民法第739条 ①.婚姻は、戸籍法(昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。 ②.前項の届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。   本条は、婚姻が届出によって成立すること、すなわち、わが国の婚姻方式は、届出婚主義であることを、宣言したものです。   届出地は、本籍地または所在地です。 書面による届出についての記載事項は、戸籍法および戸籍法施行規則により定められています。必要事項を記載し、届出人および証人が、署名押印をしなければなりません。   婚姻届では、代書ができるかが問題です。 判例は、養子縁組につき適用を肯定しています(最高裁判所判決昭和31年)。したがって、同じ創設的届出の婚姻届も、代書ができると解されています。   実務の取扱いも、理由を附記すれば、代書を認めています。 なお、原則が自署である以上、ゴム印、機器によるプリントなどは、認められないと解すべきです。   提出方法は、本人が作成した届出書は、他人が代わって提出することや、郵送することも可能です。   郵送については、特に規定があります。 それは、生存中に郵送した届書は、死亡後であっても受理しなければならず、受理されたときは、死亡の時に届出があったものと、みなされます(戸籍法47条)。   届出は、やむを得ない事情がある場合を除き、法定様式の書面で、届けなければなりませんが、例外的に、口頭ですることもできます。   口頭で届出をする場合は、当事者および証人の全員が、市役所または町村役場に出頭し、記載事項を陳述しなければなりません。市町村長は、これを筆記し、届出年月日を記載して、これを届出人に読み聞かせ、かつ届出人に、その書面に署名押印させます(戸籍法37条2項)。   当事者および証人の1人が書面で、他の者が口頭での届出はできません。 また、口頭での届出を、代理人が行うことはできません。

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  • 06 May
    • 成年被後見人の婚姻

      民法第738条 成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。   本条は、平成12年4月1日に施行された成年後見制度により、従来の「禁治産者が婚姻をするには、その後見人の同意を要しない」との、文言が廃止され、禁治産者を成年被後見人に、後見人を成年後見人と、変えて規定したものです。   成年後見人の同意・取消権は、基本的に日常生活に及びません(民法第9条)。 また、成年後見制度は、画一的能力制限を廃止し、本人の意思尊重が明文化されています(858条)。   これらのことから、成年被後見人が意思能力を有している限り、単独で身分行為を行い得ることは、当然と考えられます。   なお、改正前は、禁治産者の婚姻の届出には、医師の診断書の添付が義務付けられていました(旧戸籍法32条)。   しかし、成年被後見人であることは、後見登記ファイルに記録されるため、戸籍の記載からは確認できないので、戸籍法32条2項は、削除されました。 実務の取扱いも、届出人に不審な点がない限り、診断書を求めてはいません。   成年被後見人となるのは、比較的高齢者が多く、高齢者の婚姻に伴う特殊性が問題になることがあります。 死亡直前の婚姻の場合に、婚姻意思の問題で、争われることも多いようです。   該当事例として、名古屋高裁判決昭和55年は、次のようなものです。 成年被後見人甲は、死期が近づいた頃に、長年親身の世話をしてくれた乙を妻として、自分の死後に、遺族年金を受けさせたいと考えました。   そこで、甲は、乙の承諾を得て、婚姻届出を行いました。 ところが、甲死亡後に、亡き先妻の親族により、婚姻意思なしとして婚姻無効が争われましたが、判決は、両者の婚姻意思を肯定し、婚姻の有効性を認めました。

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  • 04 Apr
    • 未成年者の婚姻についての父母の同意

      民法第737条 ①.未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。 ②.父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足りる。父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときも、同様とする。   本条の意義が、もっぱら未成年者の保護にあり、その限りで憲法第24条1項(婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し)に、反しないとされています。   親権喪失者である父または母(第834条)、あるいはやむを得ない事由によって、親権を辞退している父または母(第837条)であっても、同意権を持つと解されており、実務も同様に扱っています。   未成年者に、実父母と養父母がある場合、いかに解すべきでしょうか。 「父母」とのみ規定されていることから、双方の同意を要するとの説もありますが、実務は、養子縁組制度の趣旨から、養父母による保護を優先させて、養父母の同意が必要としています。   父母が離婚している場合は、どうでしょうか。 法文が単に「父母」と規定していることから、離婚した父母の場合も、氏の異同にかかわらず、同意権があると解されています。   父母の一方が同意しないとき、知れないとき、死亡したときは、他方の同意で足ります。 「知れないとき」とは、父の認知を受けていない嫡出でない子などです。「死亡」の中には、失踪宣告もふくまれます。   正当な理由のない拒否は、法文の規定がありません。 しかし、同意が得られないときには、戸籍吏に実質審査権がないことより、事情のいかんにかかわらず、受理されません。   父母の双方が知れないとき、死亡したとき、意思表示ができないときは、明文規定がありません。実務上は、後見人の同意を得る必要もなく、婚姻することができるとされています。   同意の方法ですが、婚姻届に、証人として少なくても父母の一方の署名押印があれば、黙示の同意と認めることができます。また、口頭による届出の際に、父母も出頭し、同意の旨を陳述することでも、足りるとされています。   未成年者の婚姻で、父母の同意のないものは、受理することはできません(第740条)。 しかし、受理されてしまえば、その婚姻は有効に成立し、取消原因となっていないので、取り消すことができません(最高裁判所判決昭和30年)。

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  • 02 Apr
    • 養親子等の間の婚姻の禁止

      民法第736条 養子若しくはその配偶者、又は養子の直系卑属若しくはその配偶者と、養親又はその直系尊属との間では、第729条の規定により親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。   本条は、養子縁組によって、法定の直系血族または直系姻族となった者の間では、離縁によって親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができないことを、規定したものです。   禁止される婚姻の一方の当事者は、「養子若しくはその配偶者、又は養子の直系卑属若しくはその配偶者」です。ただし、離縁後に配偶者となった者は、含まれません。   直系卑属は、養親の直系卑属であることが必要であるから、養子縁組前または離縁後に生まれた養子の子には、適用がありません。   同様に、直系卑属の配偶者についても、縁組後の養子の直系卑属の配偶者だけが、含まれます。縁組前あるいは離縁後の養子の直系卑属の配偶者には、適用がありません。   禁止される婚姻の他方当事者は、「養親又はその直系尊属」です。 この中に、配偶者という文言がありません。   そのため、「養親又はその直系尊属の配偶者」も、本条を類推適用して、婚姻禁止とする積極説と、明文のないことから「配偶者」は、婚姻禁止の適用がないとする消極説の、争いがあります。   本条違反の婚姻の届出は、受理することができません(第740条)。 しかし、戸籍上は、当事者の関係が明らかにならない場合は、受理されることもあり、その場合は、取り消し得ることになります(第744条)。

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  • 01 Apr
    • 直系姻族間の婚姻の禁止

      民法第735条 直系姻族の間では、婚姻をすることができない。第728条又は第817条の9の規定により、姻族関係が終了した後も、同様とする。   本条は、直系姻族間(自己の配偶者の親とか、婚姻前の配偶者の子)と、かって直系姻族であった者の間での婚姻を、禁止したものです。   本条の趣旨は、配偶者の直系血族は、自分の直系血族と類似して、親子同様の関係であり、そのような関係にあったものが夫婦になることは、社会倫理的に親子秩序を乱すことになるから、とされています。旧民法にも、同旨の規定がありました。   傍系姻族の婚姻は、禁止されていません。わが国では、古くから順縁婚(亡妻の姉妹との再婚)や、逆縁婚(亡夫の兄弟との再婚)が行われていたことから、民法上も禁止しなかったとされています。   本条後段は、姻族関係終了後の婚姻も、禁止しています。 これは、離婚による姻族関係の終了後、および配偶者死亡後に生存配偶者が、姻族関係終了の意思表示をした場合、があります。   婚姻の取消しによる姻族関係終了にも、本条が適用されるかは、学説が分かれています。 第一の説は、取消しも解消と同様に扱うべきだとして、適用を認めます。 第二の説は、取消しが明示されていない以上、制限的に解して適用を認めません。 第三の説は、詐欺強迫の場合を除いて、適用を認めます。   特別養子縁組の成立によって、実方の血族との親族関係が終了しますが(第817条の9)、それによる姻族関係の終了の場合にも、婚姻は禁止されます。   本条違反の婚姻の届出は、受理することができません(第740条)。 誤って受理された場合は、当然無効ではなく、取り消し得るにすぎません(第744条)。

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  • 31 Mar
    • 近親者間の婚姻の禁止(その2)

      自然血族の三親等内の傍系血族、すなわち兄弟姉妹間、おじおば・おいめい間の婚姻は、禁止されます。兄弟姉妹の場合、全血であると半血であるとを、問いません。   養子と養方の傍系血族との間の婚姻は、禁止されていません。すなわち、養子と、養親の兄弟姉妹・子・孫との婚姻は、認められています。養子と実子との婚姻により、「家」を、承継させる慣習が行われていたことから、例外的に認めることにしたと、されています。   特別養子法成立により、養子と実方の親族関係は、終了することとなりましたが(第817条の9)、生理学上の血縁関係が消滅するわけではありません。よって、近親婚による制限は、なくなりません。   したがって、特別養子縁組成立前に、直系血族または三親等内の傍系血族の関係があった者の間での婚姻は、禁止されます。   近親者婚に該当する場合、戸籍吏は、婚姻届を受理することはできません(第740条)。 戸籍吏は、戸籍謄本などにより、禁止された婚姻の範囲か否かを審査したうえで、受理することになります。   おじ・めいの関係にある事実を隠蔽するため、他人と氏名を交換して婚姻届を出した妻から、夫死亡後に戸籍訂正を求めた事案で、戸籍訂正ではなく、婚姻無効の判決によるべきとあると、したものがあります(名古屋高裁金沢支部決定昭和60年)。   近親者婚が、誤って受理された場合は、家庭裁判所に取り消しを請求できます(第744条)。 なお、本条違反の婚姻が取消事由となる根拠は、優生学的配慮のほかに倫理上の要請でもあることから、時間の経過により、消滅するものではありません。   よって、婚姻適齢(第731条)や、再婚禁止期間(第733条)違反の場合とは異なり、当事者の一方の死亡後も、取消権が消滅することはありません(東京高裁判決平成3年)。

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  • 28 Mar
    • 近親者間の婚姻の禁止(その1)

      民法第734条 ①.直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。 ②.第817条の9の規定により、親族関係が終了した後も、前項と同様とする。   一定の近親間の婚姻を禁止した根拠は、第一次的には優生学的配慮ですが、他に社会的、倫理的理由も、考えられます。   直系血族間の婚姻とは、親子間、祖父母孫間が、想定できます。 直系血族には、自然血族のみならず法定血族もふくまれますから、直系の養方親族との婚姻も、本条の適用があります。   本条の直系血族は、法律上の親子である以上、嫡出であると非嫡出であるとを問いません。  しかし、認知されていない子については、問題があり学説が対立しています。   第一の説は、親子である以上、当然に婚姻は禁止されるとの考えです。 この考えは、本条の立法趣旨である優生学的根拠から、婚姻は当然に禁止されるべき関係であり、これを容認すると、親子間での婚姻を認めることになり、家族秩序の破壊になると、主張しています。   第二の説は、民法が、認知によりはじめて親子関係の発生がある(第784条)としていることより、法の規定している禁止の範囲には入らないとする考えです。 この考えは、認知がない以上、法的親子関係は表面化せず、したがって実質的審査権を持たない戸籍吏が、受理を拒否し得ないことを、根拠とします。   養子縁組前に生まれた子と、養親およびその血族との間には、親族関係は発生しませんから、婚姻も認められるとすることに、異説はありません。

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  • 24 Mar
    • 再婚禁止期間

      民法第733条 ①女は、前婚の解消又は取消しの日から、6ヶ月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。 ②女が、前婚の解消又は取消しの前から、懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。   本条は、女性に再婚の時期を制限することから、待婚期間とも称します。 その根拠は、父性推定の混乱、すなわち生まれた子が前夫の子か、後夫の子か、わからない事態となることを、避けることにあります。   再婚が禁止されるのは、前婚の解消または取消しの日から、6ヶ月を経過する日までです。 事実上の同居の解消の日ではなく、法的根拠に基づく日を、形式的に起算としています。   これは、父性推定規定(第772条)が、婚姻の成立、解消につき法律上の期間を、基準にしていることによります。   このことからも、本条が予定しているのは、法律上の婚姻のみでして、事実上の別離、同居は含みません。   本条の意義が、父性推定の混乱回避にあることから、混乱のおそれのない場合は、形式的には再婚禁止期間中といえども、再婚が可能です。   したがって、本条2項の出産には、早産、流産もふくまれます。 また、母体保護法に基づく不妊手術を受けた場合も、含むと解されています。   なお、2項は、再婚禁止期間を不要とする典型例の例示ですから、これに限りません。 戸籍の先例で、再婚禁止期間の適用がないとされたのに、次のようなのがあります。   (1).離婚した前夫と再婚する場合は、再婚に該当しません。 (2).夫の3年以上の生死不明や、失踪宣告がある場合は、懐胎の可能性があり得ません。 (3).離婚判決の中で、夫の3年以上の音信不通の事実が認定されている場合。 (4).明らかに、懐胎可能年齢を超えている場合。   再婚禁止期間以内に提出した婚姻届が、誤って受理された場合は、前婚および再婚の各当事者、その親族、前婚の配偶者または検察官から、取り消すことができます。   なお、子の父の推定が重複した場合は、父を定める訴えにより、父が定められます。 また、嫡出推定規定の趣旨に照らして、取消しの必要性がなくなった場合には、取消権は消滅します。

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  • 15 Mar
    • 重婚の禁止

      民法第732条 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。   本条は、同一人物に同時に、法的婚姻が重なってはならないという、一夫一婦制の宣言です。 この場合の婚姻とは、婚姻届を出した法律上の婚姻のみをいいます。   事実上の婚姻関係の併存は、重婚とはいいません。 なお、日本で挙行された婚姻については、一方が日本人である限り、外国人との婚姻にも適用されます。   本来、婚姻届の提出に際し、市区町村の戸籍担当者は、戸籍謄・抄本により、重婚でないことを確認してから、受理します。 したがって、重婚的婚姻届は、通常は受理されません。   例外的に、重婚が発生する場合として、次のような状況があり得ます。 第1に、離婚後再婚したが、前婚の離婚が無効または取り消された場合です。 第2に、配偶者が、失踪宣告を受けたことにより再婚し、その後、前配偶者が生還して失踪宣告が、取り消された場合です。   第3に、配偶者が、認定死亡したことにより再婚し、その後、前配偶者が生還した場合です。 第4に、配偶者のある者が、これを隠して外国で婚姻をし、または配偶者のある外国人と国内で婚姻した場合です。   なお、市区町村の戸籍担当者には、実質的審査権がないことから、前婚存在の事実も、前婚の有効性をめぐって係争中の事実も、戸籍に記載されていない場合には、重婚が発生する余地はあります。   重婚は、公益的な取消事由です。 したがって、前婚および後婚の当事者、その親族、前婚、後婚の配偶者、または検察官から、後婚を取り消すことができます。   前婚については、離婚原因となり得ます。 取消しの効果は、遡及しないので、重婚で生まれた子も、嫡出子の身分を失いません。 後婚が、取り消されるまでは、両婚とも有効とされています。

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  • 11 Mar
    • 婚姻適齢

      民法第731条 男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない。   本条は、精神的、肉体的に未熟な婚姻を阻止し、早すぎる婚姻から生じる弊害を防止するために、最低年齢を定めたものです。 旧法では、男性は17歳、女性は15歳でしたが、戦後の改正で、各1歳引き上げられました。   婚姻しようとする者の、少なくても一方が、婚姻適齢に達していない場合、その婚姻の届出は、受理されません(第740条)。   すなわち、第740条は、「婚姻の届出は、その婚姻が第731条----の規定、その他の法令の規定に、違反しないことを認めたのちでなければ、受理することができない」と、規定しています。   本籍地以外で受理する場合は、戸籍謄・抄本の添付を義務づけているので、本条違反の婚姻が発生することは、ほとんどありません。   ただし、万一受理された場合は、法定適齢違反の婚姻は、取消事由となります(民法第744条・745条)。ただし、取消しがあるまでは有効です。   民法第744条第1項は、「第731条----の規定に違反した婚姻は、各当時者、その親族又は検察官から、その取消しを家庭裁判所に請求することができる。ただし、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。」と、定めています。   また、第745条は、次のように規定しています。 ①第731条の規定に違反した婚姻は、不適齢者が適齢に達したときは、その取消しを請求することができない ②不適齢者は、適齢に達した後、なお3ヶ月間は、その婚姻の取消しを請求することができる。ただし、適齢に達した後に追認をしたときは、この限りでない。

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  • 26 Sep
    • 重婚的内縁(その5)

      年金・死亡退職金関係の立法においても、重婚的内縁の妻に受給権が認められる場合が、多々あります。   1.地方公務員の死亡退職金(最高裁判所判決昭和58年) 2.厚生年金保険の遺族年金(東京地方裁判所判決昭和63年) 3.私学教職員共済法の遺族共済年金(最高裁判所判決平成17年) 4.小規模企業共済法の共済金(東京地方裁判所判決平成3年)   その際、法律婚の実体喪失の判断は、「婚姻関係の実体がなくなったことの責任を問うものではないから」、婚姻関係の実体喪失に対する当事者の有責性の有無・程度は、問題にならないとする判決があります(東京地方裁判所判決昭和63年、前掲2)   法律婚破綻認定の重要な事実としては、 ①法律婚当事者間の離婚意思、②別居、③法律婚当事者間における経済的給付や音信・交流、子との関係が、取り上げらられています。   例えば、法律上の夫が、妻と、事実上婚姻関係を解消することに合意したうえで別居し、恩給の権利の付与や、子の養育費の仕送りなど事実上の離婚給付をし、以後、12年間関係を絶っていた事案で、法律婚の破綻が認定されています(最高裁判所判決昭和58年)。   これらの要素は、相互に関連するものです。 すなわち、①が明確であれば、②は長期であることは必要ありません。 また、③があっても、それは事実上の離婚給付として考えられて、破綻の認定ができます。   さらに、①が一方だけにあったり、双方ともに不明確であっても、②が長期化し、③が欠けていれば、破綻の認定ができるといえます。

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  • 25 Sep
    • 重婚的内縁(その4)

      重婚的内縁の夫が、事故死をした場合の損害賠償が、内縁の妻に認められるかは、客観的な法律婚の破綻が、基準になることが多いようです。   内縁の妻が、当初相手方に法律上の妻がいることを知らなかったが、当該内縁の成立によって夫が帰郷しなくなり、法律婚が破綻しました。それにもかかわらず、法律上の妻は、当該内縁のことを知らず、夫の帰郷を待ちわびながら暮らしていました。   その後、夫が事故死をした場合に、重婚的内縁の妻が、事故の加害者に損害賠償を請求しました。裁判所は、重婚的内縁配偶者に損害賠償を認めました(東京地方裁判所判決昭和43年)。法律婚の破綻を、基準にしたのです。   しかしながら、当事者の帰責性や、内縁としての実体の有無に疑問が持たれる事案では、内縁の夫が事故死の場合も、重婚的内縁配偶者の損害賠償が否定されています。 次の裁判例が、該当します。   ①.内縁の夫自らが、法律上の妻を遺棄して、内縁関係に入った事例(大阪高等裁判所判決昭和49年)。 ②.内縁当事者の年齢差(男性60歳、女性24歳)から、同棲の事実は、婚姻の意思のもとになされたものとは認められない、とされた事例(大阪地方裁判所判決昭和45年)。

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  • 21 Sep
    • 重婚的内縁(その3)

      重婚的内縁の場合も、当該関係が内縁と認定されれば、法的保護に値する関係ですから、内縁当事者間でなされた贈与・遺贈は、公序良俗に反さず有効となります(東京地方裁判所判例昭和41年)。   他方、贈与・遺贈の目的が、受贈者・受遺者の将来の生活を保障するためであり、不倫関係を維持するためでなければ、当該関係が、「半同棲」のようなものであっても、公序良俗に反しないとして有効とされています(最高裁判所判例昭和61年)。   ただし、その内容が、法律上の妻の生活の基盤を脅かすような場合は、無効とされます。   例えば、内縁の妻への贈与の目的物である建物が、婚姻生活を維持するために購入されており、法律上の妻は、高齢で財産も稼働能力もなく、この建物の賃料収入で生活している事案では、公序良俗違反として無効とされています(東京地方裁判所判例昭和63年)。   遺留分減殺請求権を行使しても、なおその生活が確保できない場合には、上記のような法的処理をして、法律上の妻を、保護しているのです。   重婚的内縁の居住に関しては、対立的関係にあった法律上の妻や子どもが相続人として、重婚的内縁の妻に対して、明渡請求をすることになるので、利害関係は激しくなります。   判例の事案では、当該関係を「妾関係」と認定しながら、家族に近い関係があり、長年、夫・父親の世話を委ね、自らも世話になっておきながら、高齢で行きどころのない者に対する明渡請求は、権利の濫用に当たるとして、否定しました(大阪地方裁判所判例昭和55年)。

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