矯正開始後約半年

 

鏡の前に立つたび、最近ちょっと嬉しい。
下の前歯が、ちゃんと正面を向いてきたのだ。

長い間、どこかぎこちなくねじれていた二本が、今は正面を向き、光を正しく受け止めている驚き驚き
ようやく「よろしく」と並んでいる!


それだけのことなのに、顔全体の印象が違う。
ほんの数ミリの違いで、「きちんと感」が作り出された。
しかもまだこれは下の小さな歯の話。

本命の出っ歯はいまだ全く手つかずだというのに、なんというか清涼感のようなものが私の口から放たれている様な気がした笑い泣き
 

しかし人は欲深い生きものだ。
整ったと思った途端に、
――一本だけちょっと長い?
――高さが微妙にずれてる?
なんて、新しい欠点を探し始める
気にしないようにと思っても、心は勝手にルーペを持ち出してしまう。
あぁ、これが美容整形を繰り返す人の気持ちか。
完璧の前で立ち止まれないのは、きっと人の性なのだろう。

よく見ると右の奥では親知らずが密かに存在感を出し、気づけば前歯の中心がほんの少しずれていた。
今までは、そんなこと全く気にしてなかったのに
「歯が揃う」ということのインパクトの大きさよ!

少しでも前進して嬉しいことには変わらないが、まだまだ長い道のり。
それにワイヤーが裏切る日がある。
ほんの少し飛び出して、舌を刺す。
その瞬間から、食べるのも話すのも痛くてたまらない。
ひとつの口内炎が、人生の質を地に落とす。
週末まで歯医者に行けない時は、まるで無人島に取り残された気分だ。


だからしばらく歯医者に行けないことがわかっているときは念には念を入れて、
「Capカバーをもりもりでお願いします!!」とお願いした。
そうすると針金の反乱は起きなかった。
だがもりもりに盛られた樹脂と、例のパラタルアーチで口内は異物だらけ
噛むたびに食べ物はあらゆる異物の隙間に挟まり、思うように飲み込めない。
食事の楽しみは、80%減。

たぶん、これが「変わる」ということの代償。
静かに、でも確かに歯は動いている!
歯の並びに、春の知らせが来るのをひたすら待っている。

転職してからというもの、私は“新しい職場の期待の星”――ではなく、“毎日なにかをやらかす異星人”として輝きを放っている。
朝の挨拶より先に「すみません」が口から出る毎日だ。

 

マニュアルに忠実に実践しているつもりが、なぜかうまくいかない。
たぶん、私の中の「理解」と「実行」の間にブラックホールがある。
 

「すみません、なんだかおかしいので見て貰いたいのですが」

教育係の彼女は、まるで壊れた家電を診断する技師のような顔で言う。
「見せてください……ここはちゃんとやりました?」
「はい、こっちも、ちゃんとできてるはずなのですが……」
「うーん、なんだろう?こちらは?入れました?」
「はい、入れました」
「じゃあ、あ、もしや、最初にこれやらずに始めてないですか?」
「……あ!すみません。やってませんでした!」

――はい、また最初から。

こうして私と教育係の“終わらないループ作業”が続く。
 

そして、ある日気づいた。
彼女、私のトラブル対応をした翌日、会社を休むことが多い真顔
ミスの規模が大きいほど、その確率は上がる。
 

「え……もしかして私、人に危害を加えている……?」
 

次の日、彼女はけろっと元気に出社する。
だがまた私がやらかすと、翌日には再び“休業”の札が立つ。

やばい、これは完全に呪いのミスループ

毎日のミスと申し訳なさで自分も精神的にかなりやられていたが

犠牲者が出ている
 

このままではいけない。

そう思った私は、ついに決心した。


病院へ行こう。


この“ミス製造機”の中に、どんなバグがあるのか診てもらおう。

そして――それでもダメなら、会社を辞めよう。
少なくとも、誰かを壊さないうちに。

会社には、ルールがある。

そして私は、そのルールの森に迷い込んだADHD持ちの冒険者である。


 

「うちのやり方、マニュアルに全部書いてあるので!」

そう言って、教育係の先輩(ぴちぴちの20代)が笑顔で見せてくれたのは、神々しいほど丁寧に作られたエクセル、パワーポイント、PDFの山。

手順、注意点、例外、FAQ、参考URL……すべてが網羅された完璧な知識の書。

完璧すぎて、まったく頭に入らない。

 

ざっと内容を説明してくれ、細かいところは目を通して下さい、と。
ADHDへの「目を通しておいてくださいね」は、危険。本当に「目を通す」だけなので。

顔は真剣そのもの。

舐めるように資料に食い入って、読んだ気にはなっている。

でも中身は、脳内をすり抜けていく春の風
文字情報は、ふわっと漂って、消えてゆく……。
脳内メモリが、ちいさいのだ。

どれが大事な情報で、どれが今気にしなくていいものなのかわからず、全て均一な重みで受け止めるため、情報量が膨大になる。
 


「じゃあ、今やってみましょうか!」

という、恐怖の合図が来る。

やってみる。やってみるけど……

「うまくいきません……」
「えーっと……あ、ここの数値、入力しました? この赤字で書いてあるとこ」
「……あっ、す、すみません、見落としました……」

そう、マニュアルは読んだ。理解はしていない。

 

 

マニュアルが悪いわけじゃない。むしろ、素晴らしい。社員たちが試行錯誤の末に作り上げた、英知の結晶。細部まで注意が行き届いている。

だけど問題は、「それが脳に入らない私の頭」。

 

メモを取ればいいじゃないか、って?
その通り。でも私はメモを取っても、すぐにそのメモを見失うタイプである。

社内フォルダに保存されているマニュアルの場所も、記憶できない。ブックマークしても、ブックマークがカオス。

そしてメモ帳は、何かの儀式かってくらい書き殴られていて、検索性ゼロ。

 

教育係の先輩は、はじめこそ優しく教えてくれていたが、
毎日のように繰り返される、

「すみません、もう一度いいですか……」
「これ、やっぱりうまくいかなくて……」
「……あっ、ちゃんと書いてありました……」

に、だんだん目にうっすらクマができてきた


 

そして私は、徐々に社内でのポジションを確立していく。
その名も──

「教育係を困らせる係」


 

でも、これでも本人は必死なのだ。

昔は、自分のペースで時間をかけて、失敗して覚えて、夜中まで残って、休日も使ってどうにかこうにかやってきた。

だけど今は、持ち帰りが許されず限られた時間内で完璧を求められる世界

 

皆が定時で帰る中、新人のくせに2,3時間は残業して予習・復習の日々。
しかし、年のせいで体力は衰え、「時間で解決」も通用しなくなってきている!

この残業+通勤+常に人と一緒に仕事をするストレスで、心も体も疲労気味で、終業後の残業では頭に霧がかかったようになってしまう。
 

「何かわからないことありますか?」って言われても、
わからないことがわからない

もはや哲学。

 


40代、正社員。
やっとつかんだ新天地で、私は毎日、やらかしては謝り、謝ってはやらかす日々を生きている。

だが、どこかで思う。

これ、いつか笑い話になるのかな?
いや、今ちょっと笑ってる自分がいるかも。

40代での就職活動──それは、メンタルにじわじわ効いてくる地獄のスープである。
 

「年収は、今より下げたくないんです」
そう転職エージェントに言い放ったとき、電話の向こうの女性(お姉さんか、おばさんか、年齢不詳)は、数秒の沈黙の後に、こう言った。
「……Kさんの歳で地域指定希望って時点で、難しいんですよ」

 

声は優しげなのに、言葉はアサシン。うん、根はいい人なの、きっと。でも今、心に突き刺さってる。

 

たしかに彼女の言うことは、正しい。痛いほど正しい。だから私も反論はしない。

「すみません、でもできれば東京から通える範囲で…」と、毎回小声でお願いし続けた。

だってもう、次の転職はない。さすがにこの歳で。

だから、これから通い続ける場所は重要なのよ。

 

エージェント数社に登録してみたものの、最終的に手を差し伸べてくれたのは、直接Webページの公募を見て応募した小さな会社だった。

 

提示した希望年収は、現状よりちょっとだけ上。+50万円。贅沢は言ってない、はず。
ところが最終面接で、副社長(多分私よりもちょっとだけ上の世代)が私の希望年収の額を見て笑いながらこう聞いてきた。

 

「同じ年代のお友達が、どれくらい稼いでるかご存知ないですか?」

 

は? そんな話、友達としないし! 
てか、じゃあもっとくれるの!?ねぇ!? と心の中でツッコミながら、いや~聞いたことないですねと営業スマイルでやり過ごした。

 

……つまり、それだけ今までの年収が低かったってことなのね。なんだか急に、背筋が寒くなる。
ていうか、エージェントの人、年収の希望をあげられないって、なんだったの!?

 

でも、採用された。
長年の非正規ジプシー生活に終止符を打つ、歴史的瞬間だ

 

──そして迎えた初出社。

ドアが開いた瞬間、私は一瞬たじろいだ。

 

え、ここ……めっちゃきれいなオフィスじゃん!?

 

床は絨毯。新しいパソコン。ひとりずつに広いパーソナルスペース。

これまで転々とした大学や国の研究機関の昭和感たっぷりの研究室とはまるで別世界。

心の中で何度も叫んだ。

 

「ここで働くの!?わたしが!?やばっ!こういう場所にあった洋服を新調せねば!」

……しかし、そのテンションのピークは、開始15分で終わった。

 

初日のオリエンテーション。出てくる出てくる、ADHDにとっての大敵たち。
・書類の山
・パソコンの初期設定(多要素認証とかなんとかも、、、)
・社内システムの説明
・ルールと手順の大洪水

 

「これ全部……半日で終わらせるってマジで?」

 

いやいや、今まで私は、そういうのは家で、夜中に、途中でお菓子食べながら、何日もかけてやってたのよ!? 

一気にとか、無理ゲー。

 

しかも、教えてくれる人たち、みんな若い・・・魂が抜ける
フレッシュっで、肌も髪も艶々してて、もはや私の子どもでもおかしくない世代。

彼らの目が物語っていた。


「え、この人……どう接したらいいの……?」

 

私もわからないよ……私自身が、どうすればいいのか!

 

「すみません、もう一度お願いします」
「ここ、もう一回だけ教えてもらっても…?」

 

これらを言い過ぎて、途中からは「わかったふり」という奥義を解禁。それから、
ADHDあるあるの思い込み。「理解していないのに、してる気になってる」やつも

 

その日の帰り道、私は駅のホームでうなだれた。

「結局、今日の説明、何割わかってたんだろう……いや、むしろゼロなのでは……?」

 

何かメモを書き殴ったが、持ち帰ることは許されない。

明日、見返している時間はあるだろうか?
明日もまた、新しい仕事やルールを理解できないまま終わるのではないだろうか。

不安は、どこまでも膨らむ。

 

──そして、私のその予感は、のちに見事なまでに的中するのであった。

ADHDという言葉が世の中にでてきたのは、私が30代になってから。今から10年以上前。
 

小・中・高・大、社会にでてもなお「天然ボケ凝視」という可愛い言葉で呼ばれつづけ、そこにこめられた皮肉な意味に気づかずに「不思議ちゃん」で押し通してきた私の人生。

ネットには「大人のADHDは社会に出てから気づくことも多い」とあるじゃないか。ええ、私もまさにその一人ですとも。

 

ただし、私のケースは……ちょっとばかり、いや、だいぶ“こじらせ”気味だった。

 

というのも、普通の人が社会人になる年齢をとうに過ぎても、私はまだ大学の片隅で実験してた。学生生活が長引き、気がつけば非正規研究職の世界へ突入。そのまま大学や研究所で、ふらふらと非正規ジプシー生活を続けていたのだ。

 

ようやく「完全におばさん」と自他共に認める年齢になってから──ドカン!と社会の壁にぶつかった。

ADHDという看板を思いっきり顔面に貼られた瞬間である。

 

もちろん、それまでにも「生きづらいな〜」と感じることは山ほどあった。

集中できない。ケアレスミスの常習犯。タスクの優先順位は常に迷子魂が抜ける

だから夜中まで働いても終わらず、土日も研究室にこもっていた。けれど大学では長時間労働がデフォルト。誰も私が“苦しんでる”とは思わない。

 

「あの人、頑張ってるんだけど、結果がついてこないよね〜」


そう言われるのがオチ。残念な人認定されるだけで済んだ。

そして数年ごとに契約が終われば、私はそっと消える運命。誰にも迷惑をかけず(たぶん教授には少し迷惑)、ただ「机の上が魔界」と評されながら、2〜3日徹夜で片付けて次へ行く。悲しき漂流者である昇天

 

そもそも、就職氷河期という名の荒波に青春を沈めた身としては、「正社員」なんて都市伝説に等しかった。雲の上の成功者の称号。自分には関係ないと思っていた。

 

……が、ついに気づいてしまったのだ。

「研究、私に向いてなくない!? てか次に行く場所なくない!? このままだと普通に淘汰されるんじゃ…真顔

 

40歳目前にして初めて本気の焦燥感。もはやギリギリ更新されていた契約も打ち止め感が漂っている。

そんな絶望の中、私はついに動き出した──(いやなぜ、ここまで放置した真顔)就職活動、開始である!

 

そして数ヶ月後。人生最大の幸運に恵まれ、小さな会社が私を拾ってくれたのだ!

「これで、私の不安定すぎる非正規漂流生活にも終止符を打てる……!」

 

人生の折り返し地点に立ち、私はようやく光を見た気がした。

──まさかこの先、ADHD特性がさらに火を噴くとは、まだ知らずに。

矯正開始後約半年

 

なんだか肌の調子がおかしい。

肌の乾燥が異常だったのだ。
「歳なんだから乾燥するのは当たり前でしょ?」と言われたら、反論できそうでできない。
でも、数ヶ月前とちょっとレベルが違った。特に――目の周り。

 

カラスの足跡のような細かいシワ、ちりめんじわが数え切れないほど浮かび上がっている
「え、これ……いつからいた?」と問い詰めたくなるレベル。


ある夕方、職場のトイレでたまたま同僚と出くわし、笑った瞬間に気づいた。
鏡の中でにっこり笑う自分の目元に、びっしり刻まれた線たちネガティブネガティブ

 

「……え、誰この老け顔!?……あ、私か。」

 

普段、鏡に向かって笑うことなんてないから、まったく気づいていなかった。
だが、それ以来、トイレに行くたびに鏡で目元のシワをチェックする習慣がついてしまった。
チェックしたところで、消えるわけではないのに。

 

久しぶりに会った母からも一言。

「アンタ、アイクリーム塗りなさいよ!」

……アイクリーム?
え、そんなの、もっと年上の人が使うやつじゃないの?
私はまだ若――……いや、ミドフォーでしたね!すみません!
でも、今まで目元にシワなんてなかったのに!

突然現れたこの変化に、心の準備が追いつかない魂が抜ける

慌てて楽天でお試し価格のアイクリームを何種類か注文。


届くまでの間、ほうれい線対策として購入していたボルフィリンを目元にも塗るという応急処置に走った。

が、当然ながら即効性はなく、ほうれい線同様、効果はまったく見えず


クリームが届いたあとも、寝る前に塗る分にはしっとりして良い感じだけど、朝は化粧が崩れるため、日中は使えず。

 

「どうすればいいの……?」と戸惑ううちに、肌の乾燥は日に日に進行し、顔面は午後から砂漠と化していった。

 

午後になると毎日、ファンデーションやコンシーラーが浮いてきて、頬は粉を吹いたよう。
なんなら皮がむけているようにも見える始末。

 

もともとメイクに無頓着だったはずの私が

気づけばYouTubeで「大人のツヤ肌メイク」、「ほうれい線消しベース」などを検索する日々。
スキンケアって、こんなに奥深かったのか……!
そして、これまでの自分の肌、どれだけ恵まれていたのか……!

 

でも、なんで?
なぜ、突然、肌が砂漠化した!?


犯人は――たぶん、いや絶対「食生活」だった

ふと振り返ると、思い当たる節が一つあった。
――食生活が、終わっている。

矯正を始めて以来、噛むのがつらくて、食べやすいものばかりを選ぶ生活になっていた。

  • 朝:パン(山崎のふんわり食パン。これは大好物だから譲れないよだれ

  • 昼:菓子パンと野菜ジュース

  • おやつ:ドーナツとグミ(柔らかいから)

  • 夜:豆腐・納豆・ハンバーグ(またはシュウマイ、餃子、ソーセージ、、子供がよろこびそうな噛みやすい加工肉大歓迎)、鍋、ときどきヨーグルト

  • 休日は丼もの、TKG、ラーメン(硬めの麺はかみ切れないため、のびたやつ)

……これはほぼ炭水化物+添加物

これで肌に栄養が届くわけがない。
なんなら最近、体力まで落ちてきた気がする。風邪をひかないのが奇跡。


コラーゲン、召喚。

「これはいけない!」と、Amazonでコラーゲンペプチドの粉末を即購入。
ビタミンCだけは毎日飲んでいたけれど、朝1回だったのを昼にも追加。
(コラーゲンの吸収に必要だと知ったので)

 

しかし、歯が痛いし、いちいち矯正器具に絡まるので食事を変えるのは無理
 

アボカドが良いのは知ってるけど、やたら高いから、続けるのつらい。
いや、健康のことを考えたらむしろ安いのか……?

も意識的に取り入れたい。でもめんどくさい。


せめて休日だけでもちゃんとしよう。
平日は食事の時間すらもったいないので、サプリと休日の挽回戦に賭ける。


美容液・レチノール・サプリメントのフル装備

  • コラーゲンパウダー

  • ビタミンC(1日2回)

  • アイクリーム各種

  • 無印の導入美容液

  • レチノール

あれこれ買い足して、「今さらスキンケア実験」を始めることにした。
いままで最低限しかしてこなかったんだから魂が抜ける、どうか効果出てくれ!と祈るような気持ちで。


そして悟った、“継続”の恐怖

今回つくづく思ったのは、
「継続の力」は、良い意味でも悪い意味でも強烈だということ。

食べやすいものだけを選び続けた結果、
体の中身はスカスカになり、肌はガサガサに
しかも、悪習ほど楽で止めにくい。

気づけば私は、

  • しわだらけの目元

  • 砂漠のような頬

  • 痩けてたるんだ顔の輪郭

  • くっきり刻まれたほうれい線

美のための矯正が、老化の加速装置になっていた。

後半2つは食べ物だけでなく、「噛む」こと自体をしなくなったことも大きい。


それでも、まだ遅くないと信じたい

大人の歯列矯正。
見た目の変化だけじゃない、体全体への影響も考えてこそ本当の“美しさ”になる。

「もう遅いかも」と思いながら、
それでも私は粉末コラーゲンをコーヒーにまぜては、アイクリームを塗る

 

半年後は、つやつやの肌で笑いたい。
私の肌よ、どうか、目を覚ましてくれ。

矯正開始5ヶ月目

 

シャインマスカット狩りに行ったときのこと。
「いや〜、行くタイミング完璧だったな」
今となっても心から、こういう食を楽しむイベントのスケジューリングは慎重にした方が良いと思う。
なぜなら──

次回の調整、史上最悪の痛みだったから。

 

シャインマスカットは、皮ごといけるお手軽フルーツ。
調整後時間が経ったときなら、パリッとした薄皮がかみ切れる!
「さすが高級品、矯正民にもやさしい…」と感動しながら、夢中で頬張った。
だが、その隣に並ぶ皮厚めのブドウたち。お前らは無理だ。かみ切れん。
クインニーナという、とても美味で有名なブドウも欲張って収穫したが、皮をかみ切れるのは唯一シャインマスカットだけだった。
 

つぎの歯医者さんでは、装置の追加などはなし
ただ、ワイヤーとゴムを変えただけ──のはず、だった。


💥まさかの激痛デイ

調整が終わって1時間後。
「なんか…いつもより…痛…!?いや、待って、普通に痛い、てか、今回一番痛い

歯の根元がずきずき...すぐさまロキソニンに手が伸びる。
その日のうちに2錠、翌日にも追加。
ここまで耐えられず薬に頼ったのは初めてかもしれない。

このときに初めて気が付いた。

ワイヤーを変えるということの意味。

もちろん何を変えるって、ワイヤーの太さを一段階上げることだ。

つまり、引っ張る力がパワーアップする事。

 

さらに襲いかかるのは、顎関節症っぽいアゴの痛み
そして歯の痛みのせいで頭痛まで。

 

「一石三鳥!」とロキソニンでまとめて撃退を狙うも、
効き目は弱く、痛みはじわじわと居座る。
 

今回の痛み、固形物など食せるはずもなく
昼・夜・翌昼と3食連続で「卵かけご飯」を丸呑み。

「なんて便利な食べ物なんだ……」
おいしいし、飲めるし、噛まなくていいし、正直これがなかったら飢え死にしてたかもしれない。

おかゆは食べた気がしないし、雑炊はご飯がばらばらになりすぎて口の中の装置とワイヤーとパラタルアーチに次々と粒がトラップされる悲劇が起こる。

卵かけご飯はごはんがまとまる上に、つるんと喉をとおってくれて丸呑み可能。

 

たまたま調整次の日が休日で良かった~

職場で卵ご飯はさすがに無理なので。

 


🛡️未来の私よ、Capはできるだけつけてもらえ

歯医者で「Capつけますか?」と問われた今回。
いつの間にかそれも“選択制”になっていたとは。

 

確かに、以前程舌が負傷しにくくなったような?

もしや、慣れてきた?

いやいや、口内炎は突然来るんだって!

 

「右側だけ、なんか突っかかる気がするんで、右だけで…」と控えめにお願い。


後で「どうせなら両方やっときゃよかった!?」と一瞬後悔したが、
翌日になっても左側は快適だったので、一応結果オーライ。

だが、こんな賭けはせずに、Capつけといてもらえばいいじゃん。

 

👅パラタルアーチだけはいまだにムリ

慣れという言葉が通じない唯一の存在、それがパラタルアーチ

  • 喋ると舌っ足らずでバカっぽい

  • 食べるとすぐ物が挟まる

  • 金属の味で料理の感動ゼロ

もう“アーチ”じゃなくて“パラタル罠”に改名してほしい。
とはいえ、これがなければ後ろの歯が内側に向かって動いてしまうらしいから、仕方ない。もちろん、重要な仕事をしてくれている
罠とか言ってないで、感謝しなければ。
 

でも、疑問が自然と出てくる。

「じゃあ、下の奥歯は、何もしてないけど大丈夫...?」
 

よく見ると、舌の奥から2番目の歯は、内側に傾いてきてるようなネガティブネガティブ? 

はじめからこんなんだったかもしれない??

 


🌈今回の小さな「良かった」

抜いた歯の間の大きな隙間が気になっていたけど、
 →「ここから後ろに下げて、隙間を埋めますからね」と聞いて安心。

歯医者さんの一言がここまで安心感を与えてくれるとは。

 

ただし、新たな疑問も爆誕。
「抜いた歯2本分の隙間を埋めると、前歯が下がったとしても、場所が余るのでは??どうするの??」
不安は次から次へと絶えずうまれる。


😱今回の「モヤモヤ」

  • 後ろから2番目と1番奥の歯の間に謎の隙間を見つけて報告すると、
     →「歯の向きの問題ですね~」と、なんかふんわりした返答。
     

  • そして今さら告げられる事実。

「奥から3番目の歯を抜いたことで、4番目を抜くより治療に時間かかるんですよね〜」


それ、最初に言ってくれません?
治療期間=お金、なんですけど!?

とはいえ、抜いた3番目のあの歯、ちょっと虫歯だったし、そもそも(無知の)私が提案したんだし、、、もう考えても仕方ない!

 

極めつけは、歯科医からの何気ないひとこと。

「なんか、口の周り、痩せてきましたね〜」

それ、どっちの意味?
「歯が動いて順調ですよ」って言いたいのかもしれないけど、
私はずっと気になってたんだよ……!

  • 頬のこけ、ひどくない?

  • ほうれい線、めっちゃ濃くなってない!?

内心、ダメージ100 魂が抜ける
もうこれはずっとさぼっていた“いーうー運動”再開するしかない。

 


⏳どんどん湧き上がる疑問

歯医者さんにききたいけど、なんとなく聞きにくい質問がどんどんでてくる。

  • あと何ヶ月で出っ歯に装置がつきますか?(毎回、次回こそ、、と期待するのに疲れた)

  • パラタルアーチ、いつ取れるんですか?

  • 痩せた顔、戻りますか???(切実)

いやそんなこと聞かれてもって質問ばかりですよね、はい。

 


矯正って、歯の話だけじゃない。
食生活・痛み・顔面・お財布・会話(&仕事!)……すべてが試される、人生の大イベント。

でも、こうして一歩一歩記録していくことで、痛みさえもネタになる。

 

今はやわらかいご飯を糧にして、強く歩んでいこう。

矯正生活も、4ヶ月目。


だが、どうしても納得いかないのが──

出っ歯の裏、いまだ装置ナシ問題。

「いや、そこが一番直したいところなんですけど...」
心の中で叫んでも、歯たちは黙して語らず。

どうやら、両隣の歯がもっと動いてスペースが空かないと、装置はつけられないらしい。
一番気になるところに一番後回しの治療。これぞ矯正の理不尽ロジック。


🪢地獄の針金アタック

今回の調整では、動かぬ下の前歯にとうとうワイヤーが通された!!
下の前歯も現在酷い状態で、右の歯が完全に縦方向に向いていて、底の裏にブラケットを装着するために隣の歯を動かし、スッカスカの状態。
前回かろうじてブラケット装着するも、ワイヤーを通す程のスペースはまだ無かったようで、ゴムで引っ張るだけ。

そして今回、まだ狭いが頑張ってワイヤーを通すことに!

しかし、これがもう……
ぐいぐいグリグリ、力技の極み。

歯が抜けるんじゃないかという力で、細いぐらぐらの歯につけられたブラケットにワイヤーを押し込む。
冷や汗をかきながら、口を開けて耐えること数分間。
いや、無意識に歯医者さんの手を噛みそうな自分が怖い!
(でも、どこかで「この歯、早く動いて欲しい!」と願っていたのも事実)

結果、無理やり通した針金には、ほんのり達成感すら感じた。

多少の痛み? かまうもんか。目的のためなら多少の強行突破はやむなし。

でも、歯が抜けたら元も子もないから!

(←いや、歯医者さんがいちばんよくわかってるとは思うけど、どれくらい痛いかは私にしかわかりようがないから。。。)

 


⏳動いた?動いてない?ドキドキの一週間後

そして──1週間経過。

結論:そんなに動いてない。
でも、ゴムよりは絶対マシ!!(と、信じたい)

 

前回、歯科医からは「(別の場所で)抜いた歯の隣の歯がよく動いてるよ」とのお言葉をいただいた。
これは果たして、本心か、それとも年を取ってからの矯正では歯が動くのに時間がかかると心配している私に対して“希望という名の飴玉”なのか……
 


👻歯の根っこが歯茎からちらり。またまたホラー、開幕

そんな折。
ふと鏡を見ていて、ゾクリと背筋が凍る出来事が──

歯の根っこ?骨?が……見えてる真顔真顔

そう、歯茎の一番下、しかも回転中の前歯の根っこが、くっきりと白く透けているではないか。

しかも右側だけ。

これは…ホラー映画の序章か何か?

しかもその歯、痛みを我慢しながら無理やりワイヤーをねじ込んだ例の細長い前歯。
あのときの力業の副作用なのか、それとも以前からこうだったのか驚き


はっきりしているのは、明らかに白いものが縦に一本“見えて”いるという事実。

この歯の歯茎は、見た目にも痩せ細って下がっており、歯が異様に長く見えてしまっている。

ついに私も検索魔モードに突入。

「歯茎 透ける 骨」
「歯茎 下がる 戻らない」
「歯の根っこ 見える やばい」

ヒットするページの見出しは、“戻らない”、“進行する”、“取り返しがつかない”のオンパレード!
心がもたん。

 

原因としてよく挙げられるのは

「歯の磨きすぎ」


いやいや、私は下の前歯の前側、そんなに熱心に磨いてないんですけど……?

 

これはもう、

無理やり歯を動かした反動で、歯の根が飛び出てきた

としか思えない。
今度の診察で、絶対に聞こう。しっかり聞こう。


🍞そして相変わらずパン民の日々

さて、今回の調整後、意外なことにあまり痛くなかった
※ただし、なにもしなければの話。


前歯で何かをかみ切るなんて、もってのほか。考えただけで震える。

結果、今週も食事はほぼパン縛り。
蒸しパンと豆腐、ポテトサラダという、やわらか界のエリートたちと共に、静かに過ごす日々。

そんな中、飲み会も開催されたのだが、
メニュー選びで気を遣ってもらえるという神展開に。

私でも食べられる料理を用意してもらえて、結果、半分くらいはちゃんと食べられた!
しかも今回はちゃんと学習して、お酒も控えめにしたから、悪酔いゼロ!


矯正期間中のQOLを挙げるコツは、「楽しもうとしない」ことだ。


期待すると落胆が待っている!
おいしそう~って、こんがり焼けたお肉や、おしゃれサラダに手を伸ばしてはダメ。
その後口の中パニックになり、味わうどころではないから。

安全安心なやわらかい食べ物だけにして。

そして、お酒は控えめに。

 

がまん、がまん、、、

矯正を始めてから、早くも3ヶ月とちょっとが経過。

 

パラタルアーチとも、ようやく少しずつ共存関係を築けるようになってきた。
ほんとうに、少しずつ。


だがしかし、喋るたびに現れるしたったらず問題は健全真顔

 

言葉を発するたびに舌がもたつき、頭の回転まで鈍くなったような気がしてくる。
上司や同僚と話していても、なんだか“見下されてる感”を勝手に察知。

自尊心にヒビ魂が抜けるが入る。

 

そして、さらなる恥ずかしみがこれ。

「唾泡」であるオエー

下の歯の隙間から、会話中に泡立った唾液がぷくぷくと湧き上がってくる。
まるで口内がミニ洗濯機。


もはやマスクなしでは人と話せない。いや、話す勇気が出ない。


🍴食事の城壁、崩れず

それだけじゃない。食事の難易度が、異様に高い!

 

矯正器具のあらゆるスキマに、食べたものがズブズブとはまり込む。
抜歯したところの穴、ワイヤーの下、パラタルアーチの隙間──すべてが食べ物の落とし穴。

特に厄介なのが、奥から2番目の歯
ここには金属が被せられているのだが、こいつがやけに背が高く、口を閉じたままじゃうまく噛めない。

「私、今、犬なのか猫なのか?」と錯覚するほど、上を向いて口をガバッと開けては、食べ物を奥に送り込み、なんとか噛もうとする日々。


でも噛めば噛むほど、装置に食べ物が詰まり、舌がそれを無意識に取り除こうとしてゴリゴリ傷ついていく。自滅ループ完成。

 

そして、ご飯のあとにうがいをすれば──

出るわ出るわ、排水溝に流れ込む食べ物の残骸たち。


パンはまだ水に溶けるからよしとして、ご飯粒とミンチ肉の破片はしぶとく排水溝に居座り続ける。

そのうち、うちのシンクが詰まって、業者を呼ぶ羽目になる気がしてならない真顔


🪞口元のたるみ、迫る!

そして──恐れていた“あれ”が、ついにやってきた!

顔のたるみ、開幕。

パンと豆腐と加工肉ばかりという、”やさしい食生活”の影響か、口まわりの筋肉が明らかにサボり始めている。

ほっぺたはシュンとこけ、頬骨だけがやたらと前に出てくる。

そして、口の両側に、くっきりと浮かび上がる線
鏡を見れば、知らない人の顔がそこにあった。

 

実は、出っ歯矯正を開始する前になかなか踏み出せなかった大きな理由の一つに、ほうれい線の心配があった。

 

私は44歳。
にもかかわらず、これまで奇跡的にほうれい線が薄かった
これはたぶん、出っ歯が常に唇をグイッと引っ張って、口まわりの皮膚がピンと張っていたおかげなのだと思った。

 

ネットで「出っ歯 矯正 老け顔」と検索すると、記事という記事が次々に顔の老化を報告してくる。

ネット上の歯科医は言う。
「これは矯正による副作用ではなく、皮膚が元の位置に戻っただけです。どちらを取るかは、患者次第」

……ごもっとも。
その上で、自分を納得させてスタートした矯正だった。

 

でも……
まだ前歯が全然引っ込んでもいないこの段階で、このほうれい線!?
これが本格的に引っ込んだら、どれだけ深くなるんだ……? 想像するだけで怖い。


 

歯並びをきれいにすることには賛成だけど、抜歯は余計だったと思う。

正直、スペースが余っている。
これ、絶対抜かなくてもよかったのでは?という疑念が消えない。

まあ、唯一の利点は、歯が少なくなった分、今ある歯を丁寧にケアできることくらいだろうか。
そう考えないと、心がもたない。

 

抜歯の精神的ダメージは、今も私の中に根深く残っている。


いったい私は、いつこの傷から回復できるのか。
「時が癒してくれる」と、自分に言い聞かせる日々。

 

さらに、最近の悩みは睡眠中の噛み締め問題

起きた瞬間から、顎が疲れている。


以前から軽い歯ぎしりの癖はあったが、今はもう本気モードで噛み締めている気がする。

特に“エラ”の部分。
押すとゴリッとして、ぐりぐりマッサージするとめちゃくちゃ気持ちいい。
でもやりすぎると、皮膚が伸びて余計にたるむという情報をSNSで見てしまい、今はマッサージにも慎重になっている。


💄そして、ボルフィリンとの邂逅

そんなこんなで、今夜も私は検索魔になった。

キーワードは、「口元 リフトアップ ほうれい線」

そして、出会ったのが──

「ボルフィリン」

なんとこの成分、胸を大きくする効果があり、脂肪を生み出してハリを出すのだという。
つまり顔にも応用できるってことでは?!

 

……気づけば、私はQoo10でポチっていた。

口元の老化と戦うため、ボルフィリンという名の希望を手に。

矯正を始めて、気づけばもうすぐ3ヶ月。


そして、前回の調整から1週間。

今回も、裏側矯正器具の奥につけられた樹脂キャップというヒーローが、とがったワイヤーの先から舌をしっかりガードしてくれている!
これがなかなかの働き者で、これまで何度も私の舌を切りつけてきたワイヤーの先を、つるんとした樹脂の壁で見事にシャットアウト。
 

ただし、油断はできない。


裏側矯正のブラケットのゴツゴツした出っ張りとパラタルアーチは、依然として存在感を放っており、特に喋ったり、食べたりするたびに、舌はその凹凸にゴリゴリと擦りつけられる。

一回当たるくらいでは大丈夫。

しかしそれが、10回、20回と繰り返されると、、、
 

特にダメージが大きいのが、英語の練習と食事
Rを発音する時って、舌の奥を左右の奥歯にぎゅっと押しつけるじゃないですか?
(え?わたしだけ?)

あとTとかDとか、上顎に舌をはじくし

(実際にはパラタルアーチにこすりつけられるだけ)

Lは前歯の裏側ブラケットに舌を押しつける形。

 

え、アメリカ人って、裏側矯正したらどうなるの?
 

結局、パラタルアーチを装着してからは、オンライン英会話もほとんど受講できずじまい。
月謝を支払いつつ、受け放題のはずのレッスンを受けることなく時間だけが過ぎていき、「これってお金をドブに捨ててない?」という冷静な自問の末、退会を決意魂が抜ける

 

今は、英語のYouTubeを聞きながら、ひとりごとのようにブツブツ喋る程度。
でもそれすら、舌の炎症を悪化させるのだから恐ろしい。

 

そして、食事。

 

朝と昼は、ほぼ“噛まずに食べるパン生活”。
でもその反動か、夜になると欲望が爆発して、つい大食いに
食べ物を口に入れるたびに、舌は口内を激しく動き回り食べ物をいろんな歯の元へ動かそうと頑張る。

そのたびに裏側装置やパラタルアーチにこすりつけられる舌。
 

歯の動きによる“噛んだときの痛み”は、調整後数日で収まるけれど、
抜歯痕や装置の隙間に、食べ物が詰まる現象は相変わらず続いていて、かなり不快。
そして、詰まりを押し出そうとさらに舌が勝手に動き回ることで、さらに炎症が悪化する。

気づけば、舌の両サイドと先端が真っ赤に腫れ上がり、朝までひりひりと痛む。
そんなわけで、ここ最近はイブかロキソニンを夜と朝に一錠ずつ、欠かせない。

 

これからさらに歯が動けば、

ワイヤーがまた伸びてキャップを突き破ってくるんじゃないか?真顔

と考えると、気が重い。


👅謎の白い呪い「舌苔」との出会い

そんなある日、ふと鏡をのぞき込んだときのこと。
「え……なにこれ?」

舌の奥の方が真っ白で、その中に赤いポツポツが点在していた。
もう、見た瞬間に「ぎゃああああ」と叫びたい気持ち。

 

検索魔と化した私は、すぐさまネットへ。
すると出てくる出てくる、恐怖のワードたち──

「舌苔のある人は口臭がひどくなる」
「免疫が下がり、コロナが重症化しやすい」などなど。

 

さすがにコロナの流行は落ち着いていたけれど、
職場では突如として小規模ブームがやってくることもある。

この口のなか大工事&炎症状態で呼吸器系のウイルスにやられたら……と思うと、心がざわついた驚き

 

というわけで、急遽、舌クリーナーを購入。
こんもりとした白いものを物理的に除去すべく、いざ出陣。

……しかし。

奥の方をこすった瞬間、「オエッ」発動。

予想以上の不快感と、えづき反応。


その日以降、舌クリーナーは引き出しの奥にそっと封印された。
白い舌苔は、今日もそのまま。


🧠突然舞い降りた舌がんの恐怖

さらにネットを深掘りしていくと、今度は「舌がん」という言葉が飛び込んできた。
 

「慢性的な物理刺激が舌がんのリスクになる」

 

という記事に冷や汗が止まらない。

毎日ガシガシとパラタルアーチに擦れてるうちの舌は、大丈夫なのか?

 

歯科医に尋ねたいが、診察のときは本当に痛いところを訴えるだけで精一杯。

「先生、これって舌がんになりますか?」なんて聞く余裕は、1ミリもない。

 

それに、世の中の“パラタルアーチ民”は、みんな無事に矯正を終えているはず
この不安はたぶん私のただの考えすぎ。

 

しかし、一度入ったマイナス思考のスパイラルから抜け出すには、暫く時間がかかるのだった。