ひと月ぶりの更新になってしまいました。

 コロナがいよいよ先が見えなくなって来ましたが、みんなが無事で終息することを願うしかありません。

 

 さて、今回は、『宍粟総合病院の現状と建て替え問題』について、この間調べたことを百人一歩通信にまとめました。

 その記事を転載させてもらいます。

 

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1.   今の宍粟総合病院の経営状況

 ① 2019年度は黒字になるかも~
 「毎年赤字がふくらんで経営が大変なのではないか~」そんなウワサをよく聞きますが、実際はそうでもありません。
 2018年度の決算は、収益37.0億円、経費38.4億円。計1.4億円の赤字でしたが、減価償却費を除くとほとんどトントン。

 この3月の2019年度決算では、どうやら黒字決算になりそうということです。
 もちろん、国・県・市から6.3億円補填してもらっての話です。

 でも、それは、公立病院としてやっていくために認められているもの(救急医療、高度医療、小児科や産科等をするならば採算は難しいだろうから一般会計から補填しなさいというもの)や医師確保対策費、それに、建物等の長期負債返済のための国からの交付金分等です。実際、県下30ある公立病院の中で、この補填がなくても黒字なのは1つだけで、あとは、どんな都市部の病院でも皆補填をもらっています。

 ② 借金総額は?
 2019年3月での負債は、一時借入で5.2億円。長期の負債で、建物の返済残高が約17億円、建物改良費や器械備品の更新費残高が約6.7億円、計約24億円。負債合計は約29億円です。
 この一時借入5.2億円が、今年の黒字決算で3億円に減額できるのではないか、来年3月には2億円に…といわれています。
 また、長期借入は、毎年3億円余りの支払をきちっとしており、2028年には支払がだいたい終わります。

 ③ 改善して来た理由
 ここ数年の取り組みの成果が出てきたのではといわれています。

  地域包括ケア病棟のキャパを増やした(回復期の入院患者を多く診れるようになった)
  医師の数が増えた(県・大学病院との連携がうまくいっている)
  ●夜間、救急体制を充実させ多く診れるようになった。
  午後診察を始めた。
  訪問診療も始めた。

 

 他にもあるでしょうが、この結果、市民の皆様がより多く利用されるようになったということでしょう。医師・看護師・技師・事務方、また市長・行政当局等の大いなる努力と市民の皆様のご理解の賜だと思います。

 

 

(中央の更地が東亜林業跡地・新病院建設予定地 山崎・国見の森展望台から

 右上の山の向こうに薄く見えるのは家島です。)


2.  新病院建設に関して
 さて、現総合病院に関しては、このような状況ですが、いよいよ、それでは新病院について検討してみます。

 

 昨年一月の臨時議会で、山崎町中比地の東亜林業跡地が新病院建設候補地として6.6億円で購入決定されました。その後、解体・整地され、3.9haの広大な敷地が広がっているのは皆さんご存じのことと思います。その後、有識者等による検討委員会が開かれ、現在、新病院の基本構想について検討されている段階です。

 

 本当に、今、病院建設が必要なのか? あの土地でいいのか?財政は?等々、私なりに疑問があったので、その後、様々に検討してみました。その結果としては、『新病院建設は今の候補地で今から進めるのがベター』と今は考えています。その理由の概要を以下に書いてみます。

① なぜ今、病院建設にかからないといけないのか?
 ㋐ 国・県との関係
 市立病院は各市が勝手に建てることはできません。県の許可が必要。

 県は、共倒れにならないよう、地域の患者数を予測して、どこにどのような病院・診療科が必要かの計画を立てます。

 今、2025年を目標にした計画を立てている時で、今なら、その計画にちょうど乗れ、国・県の医師派遣等の協力がスムーズに得られます。

 

 ㋑ 現病院の老朽化
 現病院の建築は、大きいところで、南館は1984年(築36年)、北館は1998年(築22年)です。
 雨漏り、ひび割れ等、かなりありますが、建物自体は補修すればまだ使えるようです。

 しかし、配管関係が増築増築で天井裏に詰め込んであり、補修が難しい状況。

 冷暖房、電気、医療ガス、…等の配管にすでに穴が空き始めています。

 

 ㋒ 機能的耐用年数
 一般的に病院の「機能的耐用年数」は31年といわれています。つまり、建物はまだ使えても、機材や技術・状況の変化にともなう構造の作り替えが必要になってくるということです。
 例えば、現病院ならば、待合室が一箇所でプライバシーがない、診察室が増やせない(若い医師に魅力がなくなる)、等、新しいニーズに合った取り組みを考えても、建物に全く余裕がないので、魅力ある病院が作れない状況です。

② 土地は適しているのか?
 ㋐ 面積が広すぎ?
 おそらく新病院はヘリポートとかバスターミナルを作ったとしても、約半分くらいの土地を使うだけでしょう。

 ならば、3.9ha全部を使わなければできないようなことに使う方が有効なのでは? 

 とも思いますが、現実は、工場誘致、特に従業員を多く雇う企業の誘致は難しく、他に今すぐに当てがあるわけではありません。

 それで、県の計画に乗り遅れてしまうリスクは大きいです。

 また、3.9haといっても、変形していて、また、真ん中にナナメに水路が入っているので、それを考えるとそこまで広いとも言えません。

 

 ㋑ 場所が宍粟市の南の端
 確かに、特に北部の者にとっては「もっと北に作って欲しい」という思いは強いでしょう。

 私もそう思います。

 ただ、では今すぐ土地があるかといえば、なかなか難しい。

 少なくとも2haくらいは必要なので、それをもし、どこかの田んぼを買って・・となっても、地権者が20人くらいになれば、なかなか話が進むのは難しいのが現実でしょう。 

 また、宍粟市だけでなく近隣の医療の中核地と考えるならば、この場所でも意味があるかもしれません。

 

 ㋒ 災害は大丈夫?
 この場所はハザードマップで0.5~3mの浸水想定区域です。昨今の気象を考えると危険です。
 しかし、ならば他にどこがあるのか。

 実際、山崎中心部で建設可能と考えられる所はほとんどが浸水想定区域や、土砂災害警戒区域です。

 土砂災害に比べれば、浸水想定の方がまだ対応可能。

 (盛り土、重要機材は2階以上に、止水板で建物の中には水が入らないようにする、等)

 

 ㋓ 現在地や旧山崎役場跡地は? 
 現在地での建て替えは、面積や入院患者さんがいるので無理だと思います。

 旧山崎役場跡地も狭いし高層建築も難しいでしょう。


③ 財政的に大丈夫?
 ここが一番心配です。

 

 ㋐ 現総合病院の負債は終わっている
 まず、現総合病院に関しての負債は、新病院の返済が始まるときには概ね終わっています。

 新病院は早くて2026年開業。建物の返済開始は2031年です。

 

 ㋑ 仮に70億円で建てたら返済はどうなる?
 5年猶予であとは25年返済。

 今の決まりでは25%を国が見てくれるので、残り52.5億円を病院の営業(原則半額35億)と市の補填(17.5億)で支払うことになります。国の補填も含めて、毎年約2.8億円。

 今、それに当たる金額として、毎年約3.1億円支払っているので、機材更新費や建物改修費等で前後しますが、今と同じくらいか少し少なくなる計算です。

 

 ㋒ 人口減少なのに払っていけるのか?
 最大の問題はココです。
 まず、今後20年の予測として、高齢者人口はそんなに減りません。

 病院利用の多くは高齢者なので、その意味では最初の10年はなんとか大丈夫。

 その意味でも、建てるなら早く建てて、支払いをできるだけ早く始める方がいいです。
 問題はその後の15年。

 急激に人口減少が進みます。高齢者人口も減少します。

 今と同じだけの支払ができるのか。残った者に過度な負担を強いるのでは、と心配されます。


 ㋓ 20~30年後、他にどれだけの医療機関があるだろうか
 では、20~30年後、個人医院や民間病院も含めて、どれだけの医療機関が残っているでしょう。

 公立病院も経営難になりますが、民間はもっと厳しいかもしれません。

 周辺自治体も同じです。

 そう考えるならば、西播磨北部全域がカバーする対象の人口となっている可能性も大きいのではと思います。

 

 ㋔ 回復期病棟を慢性期病棟にかえる
 救急が終わったあとの入院病棟を「回復期病棟(地域包括ケア病棟)」といいます。

 もっと長期の入院の方の病棟を「慢性期病棟」といいます。

 今、救急(急性期病棟)と慢性期病棟は過剰で今以上は許可が出ません。

 しかし、その頃になると、また状況は変わっている可能性も大きく、そうなれば、慢性期病棟に変えれば、需要はまだあるかもしれません。

 

 ㋕ ならば、病院は要らないか?
 究極の選択です。

 今、厳しいのであれば、20年後はもっと厳しいでしょう。

 ということは、今の病院を使えるだけ使って、その後は宍粟市に公立病院はなし。

 これも選択肢の1つです。

④ 地方の中核の町に公立病院1つ維持できないような国が「先進国」といえるのか~
 私は、究極、そう思っています。地方を守り、農地や山を守り、国土を守ろうとする者に、自己責任で病院を建てろ。それがそもそも無理な話だと私は思っています。30年後、もし病院経営がダメになるならば、どのみち、北部は人が住んでない所になっています。
 国が、国民が、農地や国土を守ろうとしないならば、そこにおカネを入れようとしないならば、病院だけでなく、その地域自体が成り立たなくなっているでしょう。
 でも、そうなれば、日本は終わってしまうと私は思っています。食料はコメも含めてほとんど外国産、農薬・遺伝子組換まみれ。日本人は病人だらけ。主権は全くなし。外国の言いなり。… そんな国を子どもたちに残すのですか?
 人口は減るけど地域や農地・山はきちんと残さなければならないのです。何度も言いますが、おカネはあるところにはあるのです。回ってないだけ。あるとこからとってないだけ。


 そんな日本に作り変えなければという思いも含めて、私は、宍粟市に公立病院を残すのならば、建て替えるのは今がベストで、あの土地での建設がベターだと思います。
 播磨・姫路圏域の特定中核病院にも指定されているのですから、将来負担の少ない規模、運営形態を研究しながら、また、可能な限り夢のある機能をみんなで出していき、宍粟市民がみんな利用しようという気になる新病院を考えましょう。
 そして、残った土地の有効利用もみんなで知恵を出して考えていきましょう。いずれにしても、あの広大な土地は市民の大きな財産です。ムダにならないよう、有効利用を考えましょう。

 

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 以上が、現時点での私の思いです。違うご意見ももちろんあるかと思います。まだまだ、私の知らないことも一杯あると思います。また、ご意見等いただければありがたいです。これも1つの意見として、また皆さんで議論を深めていただければと思います。