久しぶりの更新です。
今まで紹介してきた反転機や面取り機では無く、全く畑違いなジャンルのレーシングシミュレーターの開発&製作をしてみました。
事の始まりは2016年の7月に今回の製作依頼主及び今後の販売元となりK-ReguLus社 代表 田中莞士氏より、モーションシミュレーターの製作をして欲しいという話があり、2017年1月から製作を開始し、11月頃に依頼主の元へ納入、その後パラメータ調整を積み重ね、ここ最近はこの筐体でサーキット走行のトレーニングに活用しているようです。

よくあるシミュレーターは3画面のマルチモニタ環境が多いのですが、ドライバーの視角や距離感が掴み難い事と省スペース性を兼ね備えた、最近流行のVR仕様の筐体です。

VR自体、まだまだ左右の視界の狭さや解像度、画像処理の演算等まだまだ発展途上なのですが、使ってみるとHMD内では人の眼がきちんと実物と同じ大きさで認識でき、立体視になっているので、本物と間違えてしまいそうな位の臨場感が出ています。
特に自動車の運転ととても相性が良く、コース上のブレーキングポイントやコーナーの位置や方角距離感や車幅等、実物と同じ感覚でドライブできるので初めて体験される方でも比較的コースアウトする事が少ないようです。
モニター式だとどうしても実際と見え方が違う事と車幅が把握し難いので慣れないとまともに走れない事が多かったです。

ステアリングコントローラーは米国製、SIM EXPERIENCE社製ACCUFORCEコントローラーを採用し、コスト低減を狙ってステアリングユニットはMOMO社のステアリングにパドルスイッチを自社で製作したものの、却ってコストが跳ね上がってしまうという結果になってしまいましたが、オリジナルの製品よりもステアリング支持部の剛性が上がり微細なフィードバックの再現に繋がっているようです。

おそらく、市販仕様では価格が跳ね上がるので特注仕様になるかと。

ペダルはイチから製作。
クラッチペダル付の3ペダル仕様です。
クラッチペダルにはカム機構を使って実車と同じクラッチフィールを実現、使用者はよくヒールトゥの練習に持って来いと頻繁にクラッチ操作に勤しんでいる方もいるそうな。

ブレーキは実車と同じ油圧ブレーキ。
市販のペダルユニットで油圧システムも存在していますが、ブレーキ側は油圧シリンダーにゴムを潰す事で実車に近いフィーリングを出すのがセオリーのようですが、弊社は敢えてあまり採用されない実車のブレーキキャリパーをそのまま使用する事に。
しかもブレーキで挟む部分もオール金属で実車と全く同じフィーリングを出す事に成功。
実は、開発期間中モーションシステムよりも苦労した部分でした。

納品後にペダルフィードバックシステムの製作方法が判ったので、後日引き渡し。
この写真は動作チェックで仮ブラケットでモーターを固定していたのですが、今はしっかりとしたブラケットでガッチリと固定し、ホイールスピンやホイールロックの瞬間をしっかりと足裏に伝えるマッサージ機能を有したペダルになっております。
既存のモーション筐体とはかなり違う構造で製作しました。
イチから作るなら他所とは全然違うものをという設計理念が込められています。
若手レーシングドライバーにも体験しもらい中々好評のようです。
この筐体は東京バーチャルサーキット大阪店に設置しております。
現在はこの筐体でのトレーニングや練習走行などの体験が可能です。
販売や問い合わせにつきましてはK-ReguLusにて扱っております。