ずば抜けた教科を作るには | お受験ブルーズ

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現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「Allegiance Reign」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 ずば抜けた教科をもっていれば、当然に受験は楽です。それどころか、それを基に現実の職業にも生かせるかもしれません。

 

 東大の友人たちの入試事情などを聴いていますと、本当の上位層とは

・問題が難しければ難しいほど有利と感じる

・そのうえで、どの教科でも最低限の基礎力を持つ

 という条件が揃っているようでした。

 

 自分は得意教科以外はあまりやりたくない、となってしまいますと、日本の受験ではなかなか厳しいです。

 

 あえて、たとえば数学が得意だから数学を軸にそれ以外はなるべく勉強したくない、とするなら、やはり東大を受験するのが全国で最も楽かつ有利だと思います。

 東大は1教科がゼロ点でも他でなんとかできる数少ない大学ですので。(センター、大学入学共通テストでの足切り最低点はクリアしなければならないですが)

 

 ただ、得意といっても、本当にずば抜けていないといけません。早慶や東大京大レベルで満点近くとれるくらいにはなってないと難しいです。

 それ以下の得意は、ただの「好き嫌い」のレベルでちょっと好きが高じた程度のものであり、僕に言わせれば何かを生むほどのものは何もないです。苦手を克服するほうに舵を取った方が良いと思います。

 

 勉強に関わらず、好き、得意だけで何かを突き動かしたいならば、相当の覚悟と鍛錬がいるのです。それは音楽業界や各種クリエイター、芸事の世界を本気で突き進む人間を多く見てきた僕だから感じることでもあります。

 

 また、僕個人的には、何かにずば抜けた偏った人間より、多くの苦手を克服してきた人間の方に価値を感じ、好むことも付け加えておきたいと思います。

 

 

 さて、受験に話を戻しますと、ではどれくらいやったらずば抜けられるのか、の具体例を挙げて皆さんの参考にしてほしく思います。

 

 ある男がいまして、その男は、別段得意教科はなかったのですが数学があまりにも苦手でした。でも、生物が好きで、将来は生物で天下を獲りたい、ノーベル賞をとりたいと本気で思っていました。

 バンドも本気でやりたいので、東京に行きたい。よって家の経済的にも東京大学しか行くところがないと思っていました。

 

 そこで、数学での失点を残り全教科で埋める作戦で高3までを過ごします。定期テストはどの教科も一切手を抜かず、数学の穴を埋めていきました。学年では大体10位前後にまではそれでも行けました。

 

 ただ、高3の夏休みを過ぎたころから、その男(まあ僕ですね)は自分に得意教科が育ちつつあるのを自覚します。それは好きな教科である生物と化学でした。

 

 高3冬の東大模試の生物で全国1位をとることになり、本番・東大の二次試験でもできなかった問題がなかったので「満点では?(最低でも55点はある)」と今でも思っています。化学の方も解けなかったと思えたものが2つだけで、「50点(60点中)では?」と今でも思っています。

 

 理科で115点(120点中)をとっているなら、東大なら数学は0点でも受かります。東大の英語は簡単で、どう考えても80点(120点満点)いくし、現国で半分(理系の場合40点)とれないことはまあないですので。少々センター試験で失敗していても大丈夫でしょう。

 

 ということで、いろいろはあったのですが、東大に受かることができました。東京にいく練習として受けた早稲田(教育)にも受かっています。

 

 ここまで一つでもずば抜けられると、本当にいろいろとなのです。

 

 東大合格者は、文系の方でも、社会はほぼ満点だったとか言う人も結構多いです。東大受験生平均でも60点中10点台から20点台前半のことが多いテストでです。

 

 この僕の例で、なぜ生物と化学が高3になってずば抜けられたのか、を多くの生徒を見てきた経験と照らし合わせて分析してみますと、いくつかの要素が見えてきます。

 

・絶対的な論述力

 ……これはたまたま東大の二次試験は論述が中心であり、僕がたまたま文章を書くのが好きで苦ではなかったこともあると思います。

 また、それとは別に、中2くらいから定期テストの(主に社会)ノートまとめを論述形式で遊び半分でまとめていたことも関係すると思います。

 

 さらに、東大の出題形式が、長いリード文を与えて新しい見解などを述べ、その流れの中での出題、というのが、どうにも好きな形式です。

 ですので、今でも中学受験の麻布や渋幕、武蔵の理社などは面白いです。

 

・その教科が好きすぎて、知識が深すぎる

 ……今から考えるとどう考えても思い込みなのですが、当時は生物を究めまくって、スーパー生物学者になることを夢見ていました。今はネットもあり、客観的な知識がもっと手に入るでしょうから、もっと冷静に将来の作戦を練れたと思うのですが。

 

 当時の僕は、「だったら生物くらい日本一なっとくか」程度の挑戦心で、定期テストから勉強し始めています。まあ、なかなか学校内でも1位になれはしませんでしたが。

 

 ただ、定期テストとは無関係に、長期的な視野で、興味ある生物学の本を読み始めるのも中3くらいからでした。下記のような本です。(全く同じではないが、似たような本)

 

 

 これに加えて、科学雑誌ニュートンを1年以上購読しています。今は日経サイエンスばかりをチェックしているのですが、高校当時の僕に日経サイエンスはちょっと高度すぎて厳しかったですね。(日経サイエンスは、昔今よりもカタい編集だった感じがします)

 

 ただ、これが思いの外大きかったです。

 

 これを通じて、その当時の最新科学のトピックスは大体知っていることになり(しかもまあまあアカデミックなレベルで)、その話題が東大模試や東大本試にも出たりして、僕には「普通」の知識なのに、他の受験生にとってはえぐい、という意味でのアドバンテージを得ることができました。

 

 今なら、NHKの番組『サイエンスゼロ』と、白熱授業シリーズは毎回見るでしょうね。今アツいそっち系の新しい見解は、やはりクリスバーキャスナインです。

 

 東大といっても、所詮は人間が問題を作っているのです。その叡智には時代的な限界があります。最新科学でもわからない、あやふやなことを出すはずがありません。だから、最新トピックを押さえておくことは大きいのです。

 

 また、あるデータや事実があって、それにどうアプローチし結論をだすか、を本を通じて本物の科学者の考えをたどることができたのも大きかったです。僕自身の思考力につながりました。

 

 理科の世界には有名な実験やデータがあって、それを用いてみんなで「思考する」ことをしてきたのです。

 

 では、その実験を知識としてあらかじめ知っていて、その経過など知り、自分なりに思考する習慣があればどうでしょうか。

 あの科学者はこう言っているが、その結果ならば、こうも考えられないだろうか? じゃあどういう実験をすればそれが確かめられるかな? など、どんどん考えてみます。

 

 これこそが本質的な勉強であり、思考力の本質です。それができる人間ならば、どこの大学でも欲しがってくれるはずなのです。

 

 どんな知識も、それを確かめるにいたったステップがあるのです。そのステップを本などで疑似体験し、自分も過去の学者と同じようにいろいろと考えてみれば良いのです。

 

 多くの勉強にあえいでいる人たちは、教科書に載っているような、整理された知識だけを読んで、その裏や発見過程(もしくはそれを研究してくれた人間に対する感謝)を知ろうともせずに丸暗記をしようとするから、本格的なところに行けないのだと思います。

 

 これは社会でも同じです。僕は今、中公文庫の「世界の歴史」シリーズを全部読もうとしているのですが、考古学的見解から時代背景を推測する様が描かれていて、東大の社会に近い感覚を受けます。(文系の社会は受験したことないけど)。

 

 どういう発見がなされて、それをどう解釈して、ある歴史の見解にいたるのか、などを追っていくと、大学受験でも社会が絶対的な武器になることでしょう。世界史選択者で究めたいならおススメしますが、読むのは高2までにしといた方が良いと思います(30巻まであるので、笑)

 

 僕の場合は、高校時の理科の教師陣が強力だったから、たまたまそこに導かれた面があると思います。

 化学などは、一つ一つの現象を掘り下げ、なぜそうなるかがすべてぶっこまれた難解な授業でした。ほとんど理解できず地獄でもありました。

 ただ、定期テストでは全然点数が取れなかったのですが、入試本番では過去最高の点数をとるどころか、簡単にすら思えました。

 

・絶対的な基礎力

 ……論述力が高く、最先端科学の知識があっても、それはそれ。実は点数にはそのまま結びつくものではありません。

 

 最難関の東大の問題であっても、基礎的な高校知識がないとうまく答えられないのです。つまり、センター試験(2020年からは共通テスト)で8割とれる程度の基礎知識は、穴埋め問題集などを用いてでもやっておくべきです。

 

 僕が高3の秋くらいから突然得意教科ができたのも、実は恩師に言われて、基礎知識をしっかりさせてからのことなのです。応用力ばかりを養成していた分、基礎を入れるとあっという間に伸びました。

 基礎が大事とは言われますが、先に応用力を鍛えまくるような戦略も、東大京大や早慶、国立しか行きたくないならアリだと思います。

 

 指導をしていると、大半の子が、この「基礎」の部分だけで終わっています。それでは、本格的な人間に勝てるはずもないです。MARCH以上に行くならある程度このあたりは意識しておいても良いと思います。

 

 

 まとめますと、絶対的な武器の教科を手に入れるなら、高校の勉強だけで満足していてはダメだということです。上記のことは、英語でも社会でも数学でも同様の面があると思います。他教科やもしかすると、芸事にも通じるものがあるかもしれません。

 

 高校内容は前回の数学の記事でも言いましたが、いわゆるその学問の『入口』に過ぎません。第1歩なのです。そこで無理くり問題を作って、受験やらなんやらをやっているのが、今の日本の教育です。

 

 教科としての面白さは、その先にあるのです。

 

 有名進学校では、完全に高校内容を逸脱し、超えまくったことを教える先生方も多いです。やはりそれを『無駄』ととらえるのではなく、面白がっていく気概が欲しいところです。

 

 

 さて、東大生の感覚が少しは伝わったでしょうか? なんだこんなからくりなら、僕・私にだっていける、と思ってもらえれば幸いです。

 

 もちろん、絶対的な武器教科などなくても、ずべてを平均的に仕上げていくことができるのが、もっとも価値的だと僕は思います。

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

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