問題が難しい、とはどういうことか② | お受験ブルーズ

お受験ブルーズ

現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「Allegiance Reign」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 どの受験でも、難問を解けないまでも、挑戦してみる経験はあった方がよいと思います。もちろん、その子なりの難問でよく、いつもより少しレベルの高いもの、を嫌がるのでなくひとまず遊びがてら問題文を読んでみることをお勧めします。

 

 特に男子で多いパターンとして、基礎系ものはミスが多くダメなように見えるが、応用系のものをさせると、意外と思考の工夫があり、解けそう、もしくは解ける、といった子がいます。いわゆる国公立タイプではあるのですが、中学受験で標準くらいまでの内容しかやっていないとその才に気づけないかもしれません。

 

 先日の記事の続きです。難問と一口にいっても、タイプに分けておいた方がよく、「このタイプのものなら手は出やすい」などを自分で知っておくことが大事です。

 

③読解するのが難しい

 これが、今の中学受験から大学受験までの、一番ポピュラーな難問傾向かと思います。分かりやすいところでは、駒東の算数や、麻布の理科、灘の2日目算数、海城の社会などでしょうか。女子では桜蔭中がこの傾向で、渋谷学園渋谷、渋幕なども、このパターンの問題が多いです。

 大学受験での国公立大がこの傾向で、特に東大に照準を合わせて、この傾向であるとも言えます。また、文科相が打ち出しているこれからの教育の傾向もこの手の問題を重視する傾向にあります。

 

 これらの問題では、問題文、リード文が非常に長い傾向にあります。四谷のYTテストでもCランク以上になると、最後の方に問題文の長いものが出てきます。これに最初から飛ばしてしまわずにしっかり取り組んでいくかどうか(解けなくてもOK)、がわりに中学受験でトップ層に入れるかを分けます。

 

 これはしっかり出題者が「どういうことを言おうとしているか」「どこでひっかけようとしているか」を読解するのが大事です。そこを意識すると、意外に簡単にできてしまうこともあります。もちろん、文が長く複雑なうえに、前回の記事でいう「計算がややこしい」も絡めて来たりして、難解になっていくのも多いです。

 

 関東の「過剰なパターン演習」が進み、パターン演習によって点をとることに慣れた子供たちは、なかなかにこの難問ができにくいようです。

 

 いわゆる「考えたらわかる」ことも頭の中でパターン化してしまおうとする傾向が特にサピックスをはじめとした関東の大手塾では強く、僕からしても「そんなことまでパターン化するんかw」と逆に関心することすらあります。(もちろん、悪い意味で)

 

 まあ、中学受験の問題を見ていますと、一部の名門校以外の先生側も、そのような詰め込みとパターンの範疇内の問題作成に慣れたのか、大なり小なりその傾向になっていて、そのような問題しか作れない・作らないようになっているので、あまり問題はありません。

 御三家などの、心ある良問を作る学校志望の方は、少し「純粋な思考」とは何かを求めた方が良いと思います。あなたは本当に思考していますか?

 ヒントは、この難問傾向の問題をすることで、わかってくるかもしれません。東大の問題をやってみればわかるかも(笑)

 

 僕が論じるのは、やはり社会にどのような人材を出すのか、という観点からの見解でして、その過程の中学受験はこれでいいのかな、と、思ってしまうのです。

 少なくとも、僕の知る限りでは、東大の問題には「こういう若者をとりたい・こういうのをできるようになってほしい」という想いといいますか、狙いは垣間見えます。やはり、「日本→世界」という少し大きめの視野を持った方が作問しているのではないでしょうか。

 

 やはり言いたくはないですが、二流と言われる大学や学校では、入試に「熱いもの」が感じられないことが多いのです。どこかの問題集の数字をちょこっと変えただけのような、オリジナリティもなければ、生徒が解きやすいように合わせただけの、生徒集めの商売原理を過剰に感じてしまうのです。(まあ、最近は予備校へのアウトソーシングもあるそうで)

 

 やはり進学校に行ったならば、東大の問題には一度は触れてほしく思います。意外とできそうだと感じる方も多いと思います。それは、いわゆる覚えてないとできない「パターン」の問題が少ないからで、純粋に思考で勝負できる部分があるからなのです。

 リード文を丁寧に読めば、何を答えればいいかがわかるし、高度な問題でも手掛かりくらいはつかめたりもします。特に僕は理科の問題が、工夫が凝らされていて好きでした。(数学は難しすぎて、20点くらいしかとれたことないですが)

 

 中学受験の難問系のものも、東大の問題に準じていることが多いです。ですので、やはり若いうちに東大の問題に触れておくことは、中学受験を知ることにもなるのです。そこに触れたことのある講師とそうでない講師の言動に差があるのは当然のことなのです。

 

 

④発想がいる問題

 これがもっとも難しい問題です。発想がなければ解けません。

 良問の場合は、そこそこのキャリアがある僕でも、中学受験を含め、わからないことがあります。

 灘の1日目などに多く見られます。高度な論理もさることながら、「あっ」と言わせる一発発想で簡単に解けたりします。数学においては、そういうのを数学的センスと呼ぶのでしょう。

 

 これは、作問側にも高度な見識が要求されるので、本当に見かけることは少ないです。論理と発想は、両方、別能力として育てておくべきだとも思います。

 

 算数や数学では、東京出版の「○○への数学」シリーズをすれば、「こりゃすげえ」という解答に年に数度であえます。これはとんでもない率です。やはり、東京出版は、「わかってるな」と思うことが多いです。

 

 いわゆる、発想が必要な問題、論理力がしっかりしていないと解けない問題などをふんだんに盛り込んでおり、基礎を固めた子が最終局面でこれをすることで、最後のひと伸びが期待できます。

 今年も、これらの雑誌にはお世話になっております。多くの僕の生徒を伸ばしてくれており、今年も良い結果をもたらしてくれることでしょう。

 

 ある程度の数学的センスは、磨けばつくと思います。もちろん、ある程度の才能は存在するのですが、その才能とて、いろんな問題を解く中で身に着けられたものであり、経験の重要性はやはり大きいです。

 

 ただ、そのためには、多くの良問に触れることが大事であり、やや「数字・計算がややこしい」に流れがちな現在の日本の入試では、なかなか育ちにくいのではないかなと、懸念しております。良問に触れずに、「センスがない」と自虐している方も多いのではないでしょうか。

 サピックスのハイレベル教材がそういう意味で良問ぞろいだとは、僕の個人的見解としては決して思えませんね。良問だけなら、日能研の方が上でしょう。

 

 

 ということで、しんどいとは思いますがある程度勉強してきた方は、やはり難問と言われる問題には触れて欲しいと思います。そこから新たな発見があることでしょう。また、人類の現時点における叡智の最先端もわかりやすくなるのではないでしょうか。

 

 英語教育の偏重が激しいですが、英語がいくら喋れても、それは所詮語学。道具(ツール)です。難問に挑んでいく気概と本格的な思考力がなければ、何も無きに等しいことをお忘れなきようお願いしたいものです。

 

 いつも読んでくださってありがとうございます。

 

夏のスーパーコンサル2017今年も始めました。究極の受験セカンドオピニオンを体験してみませんか。ご希望の方はメールをくださいね。

 

お問い合わせいただいたメールに返信はできていますでしょうか? 迷惑メールとして処理されてしまって届いていないということがたまにあります。僕はどんな内容でも、1週間の間に必ず返信は行いますので、1週間経ってもこない方はお手数ですがもう一度しっかりタイトルなどもいれて送っていただければと思います。問題集に載っているアドレスの方にだしていただいても構いません。

 

5年生や受験学年でない方のコンサルも受け付けております。また、遠方の方も交通費さえ頂ければどこにでもいきます。(九州や群馬、栃木、大阪、奈良、兵庫、京都などもありました)

 

教え子の医学部留学生がブログをはじめました。医学部にご興味のある方はどうぞご覧になってください。医学部生のきつさや海外生活なんかの赤裸々なところがわかるかもですよ、むふふ。

こちらです。 http://ameblo.jp/harryhawk-bp/entry-11385618245.html お勉強BLOGЯanK お受験ブルーズ-ランキング1 お受験ブルーズ-ランキング2   ←たまにクリックしてもらえるとうれしいです。