【JJC通信】哀しみの保健室 vol.8 私達を支える8つの繋がり<故人>  | 充実人生クラブ・レポート

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皆さん、こんにちは。
『哀しみの保健室』の前川美幸です。
「人生における様々な喪失悲嘆について、どう関わり支えていくか?」

というテーマに沿ってこれまで連載してきました。
私たちは生きていく中で様々な喪失を体験します。
なかでも大切な人との死別は、

とても辛くその哀しみから自分らしく生きる術をとりもどすまでには、

多くの時間と力が必要とされます。
死別によって引き起こる喪失の悲嘆は、私たちが想像する以上に様々な「断絶」が伴います。
どのようなものとの関わりが絶たれ、

それによりさらに絶望感や孤独感が強まるのか?について、

「社会」「友人」「家族」「過去」「自然」「思想」「故人」「未来」の8つをあげました。



今回はその中の「故人」についてお話しします。
大切な人が亡くなれば、当然、その人自身との断絶感は深く強い心の痛みとなります。
また失った存在が「人」以外の、

長年連れ添ってきた動物である場合であっても強く深い断絶感を味わい苦悩します。
そしてそれら大切な存在との喪失悲嘆は

その対象が死去される前からすでに始まっていることも多いです。
長く続いた闘病の末に亡くなられた場合は、

病状が刻々と変化する中で「もう二度と会えなくなるのかも知れない」

とやがて迎える死別を予感します。
不安や恐れ、焦り、焦燥、孤独、怒り、絶望等、

表現しがたい様々な想いが胸を去来し心穏やかにはとてもいられないことがほとんどでしょう。
どのような形でもいい、とにかく生きて!生きてさえいてくれたなら何も要らない。
ただただ存命してくれるよう切望しながらも常に心のどこかで「もう助からないのでは?」
という不安に苛まれる。
そんな日々を重ねる中時に「こんなに苦しいならもういっそ早く終わって欲しい」

と願う日があっても決して不思議ではありません。
大切な人との死別を目前に、

本人にも他人にも言えない様々な葛藤が胸中をかけめぐり少しも落ち着くことがない。
そしていよいよ本当に大切な人がこの世からは去ってしまったのちには、

「どうしてあの時あんな風に思ってしまったのだろう」

「あんなことを私が思ったから死んでしまったのでは?」等、

強い後悔や自責の念に長く苦悩される方も少なくありません。
故人との断絶感が初めて痛烈に突き刺さる瞬間は人によって様々です。

火葬場で見送る時、遺骨を抱きしめる瞬間、納骨する際、

または墓前、あるいは遺影に向かう時。

その瞬間瞬間に突然【もうすでにこの世にない】現実が思い知らされ、

身が引き裂かれる心地がします。 
死別による離別から、かなり時間が経過してもなお、

ふとした折に本人が側にいるような感じがする人もあります。
そんな際にはつい反射的に名前を呼んだり、姿を探したりします。
そのような反応が繰り返し日常的に起こりつつも、

その度に【あの人はもうこの世にはいない】現実を思い知らされ、

はかりしれない寂寥感に打ちひしがれることでしょう。
故人との断絶感は、死別離別においてもっとも辛い局面とも言えます。
そして人生における大切な繋がりがそれぞれに徐々に回復されるにつれ、

どうにも受けいれがたい喪失悲嘆もだんだんと時と共に緩和していくことも多いです。


季節の移り変わりが何度か巡り、

初めてその人がいないシーズンを迎えてからこれで何回目かの季節を重ねる中で、

いずれ肉体レベルの結びつきとはちがう次元での、

故人との結びつきを取り戻していかれる方も少なくありません。
それらの人生ストーリーの詳細をこの場で紹介することは紙面の都合もあり難しいですが、

「一度は完全に途絶えた心のつながりをやっと取り戻すことができました」

と笑顔で語られる姿にこれまで幾度も出会ってきました。
グリーフケアの現場で起こり得るそのような物語を

グリーフ専門士としてできるだけ語り継いでいきたいです。



前川 美幸(まえかわ みゆき)

一般社団法人日本グリーフ専門士協会・理事
https://grief-japan.net/

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(webにて無料開催)
http://grief-online.com/webinar_kokuchi/