じほさんの日日是道場

じほさんの日日是道場

2011年10月に小さなクリニックを始めた内科医(専門は糖尿病・内分泌)が、日々の業務での心や印象に残ったこと、発信したいこと、多くの方に役立ちそうなこと、またはどうでもよいことも不定期で書き記します。
注) “じほ”は私の本名ではありません。

2025年、免疫のバランスを研究してきた日本の科学者・坂口志文(さかぐち しもん)先生が、ノーベル生理学・医学賞を受賞されました。まず、その功績をわかりやすく紹介し、次に自己免疫が関与しているとされる、1型糖尿病の分野との関連について平易にまとめてみました。小生も免疫の分野は素人同然です。多少の勉強のつもりです。

坂口志文先生のプロフィール

1951年生まれ、滋賀県出身

・京都大学医学部卒業、博士号取得

・大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 特任教授、京都大学名誉教授

・免疫学の世界的な第一人者で、長年にわたり「免疫のしくみと病気」を研究してきました。

受賞の対象となった研究

坂口先生は、私たちの免疫システムの中に「攻撃を止める役目を持つ細胞」があることを発見しました。この細胞は「制御性T細胞(Regulatory T cellTreg)」と呼ばれ、体が自分自身を攻撃しないように守る重要な存在です。

1995年:Tregの存在を発見

 → CD4⁺T細胞の一部に、免疫の暴走を抑える『ブレーキ細胞』があることを証明しました。

2000年代初期:FOXP3遺伝子の発見

 → Tregが働くためには、FOXP3という遺伝子が必要であることを明らかにしました。

 → FOXP3の異常は、重い自己免疫病(IPEX症候群)を起こすことが知られています。

この研究により、免疫が「攻撃する」だけでなく「抑える」ことも同じくらい大切であることが世界中に認識されました。

研究の意義と広がり

坂口先生の発見は、1型糖尿病、関節リウマチ、アレルギーなどの自己免疫疾患の研究に新しい道を開きました。また、がん治療や臓器移植の分野でも「免疫のバランスをどう保つか」が重要なテーマとなっています。

Tregを利用して免疫を抑える治療や、逆にTregを抑えてがんを攻撃しやすくする治療など、坂口先生の発見から生まれた応用研究が世界中で進められています。

坂口先生はメッセージとして「免疫は、戦うだけでなく、調和を保つためにも働いています。この仕組みを理解することで、多くの病気の根本的な治療ができると信じています。」と述べられています。

サプレッサーT細胞とは?

免疫には「敵を攻撃する細胞」と「攻撃を止める細胞」があります。そのうち、「攻撃を止める役割」を持つのが先ほど紹介したサプレッサーT細胞(制御性T細胞:Treg)です。Tregは、免疫が暴走して自分自身を攻撃しないようにブレーキをかけています。このブレーキが壊れると自己免疫疾患が起こりやすくなります。

1型糖尿病とTregの関係

1型糖尿病(T1D)は、自分の免疫が膵臓のβ細胞(インスリンを作る細胞)を攻撃してしまう病気です。その一因として、Tregの働きが弱っていることが知られています。特にIL-2という物質の働きが弱くなるとTregが減り、免疫のバランスが崩れます。

現在の研究と治療の方向性

低用量IL-2療法:IL-2をほんの少し投与してTregだけを活性化する方法。初期試験では安全性が高く、Tregが増えることが確認されていますが、血糖コントロールの改善効果はまだ限定的です。

自家Tregの移植:患者自身のTregを体外で増やして戻す治療。安全性は良好で、抗原特異的TregCAR-Tregなど精密な方法が研究中です。

テプリズマブ(抗CD3抗体):免疫全体のバランスを整える働きがあり、1型糖尿病の発症を遅らせる薬として米国で承認されています。

今後の見通し

・今後数年で、Tregを選択的に刺激する改良型IL-2製剤の臨床試験が進む見込みです。

510年以内には、膵島に特異的に働くCAR-Tregなどの個別化免疫療法が実現する可能性があります。

 Tregを抑える薬(がん治療での応用)

逆に、Tregを減らす薬はがん治療で使われています。モガムリズマブ(POTELIGEO®)はCCR4を標的にTregを減らす薬で、皮膚T細胞リンパ腫などで承認済みです。デニロイキン ジフチトクス(Remitoro®)はCD25を標的にTregを減らします。また、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1、抗CTLA-4)はTregを間接的に抑えます。

糖代謝への影響

・免疫チェックポイント阻害薬は稀に自己免疫性1型糖尿病を引き起こすことがあります。
・モガムリズマブでは高血糖の報告があります。
・シクロホスファミドはまれに高血糖が出ることがあります。
・デニロイキン ジフチトクスでは糖代謝の影響は少ないとされています。

 

まとめますと…

Tregは免疫のブレーキ役で、1型糖尿病の発症と深く関係しています。
Tregを増やす治療(低用量IL-2Treg移植など)は、病気の進行を遅らせる可能性があります。
Tregを抑える薬はがん治療で用いられていますが、高血糖リスクに注意が必要です。

 

尚、糖尿病の病態と治療において、重要なカギとなるインスリンの発見につきましては、1923年にノーベル医学生理学賞が授与されていることは前々回のブログで述べました。ご参照ください。

参考情報

・ノーベル財団公式サイト(nobelprize.org2025年受賞者ページ
・大阪大学 免疫学フロンティア研究センター IFReC
JST科学技術振興機構 特設ページ(202510月)

参考文献

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2. 2) Garg G, et al. J Immunol 2012.

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5. 5) Klatzmann D & Abbas AK. Diabetes 2015.

6. 6) Lykhopiy V, et al. Immunol Cell Biol 2023.

7. 7) Putnam AL, et al. Sci Transl Med / Diabetes 2024.

8. 8) Bluestone JA, et al. Front Immunol 2021.

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10. 10) MHRA: Teplizumab 英国承認 2025.

11. 11) Huang Q, et al. Autoimmun Rev 2024.

12. 12) Sugiyama D, et al. PNAS 2013.

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14. 14) Duvic M, et al. Int J Mol Sci 2024.

15. 15) POTELIGEO® 公式PIFDA資料.

16. 16) CADTH: MAVORIC再評価報告書 2023.

17. 17) Denileukin diftitox (E7777/Lymphir) FDAラベル・日本発売情報(Eisai.

18. 18) Morse MA, et al. J Clin Invest 2008.

19. 19) Diabetes Care, JAMA Oncol, Front Immunol 各誌 ICI糖尿病レビュー 2023–2024.

 

長野県医師会提供の健康番組はいくつかありますが、ラジオなら容姿も気にせず出演できると思い、依頼を受けさせていただきました。

 

放送は2024年9月26日。糖尿病に関するごく基本的な話、ということで「やさしい糖尿病の基本と日常での工夫について」と冠してお話させていただきました。

私は通常、一般的に医師という職種の方がお話されるような学術性の強いお話を構成するのは苦手です。したがって普段診察室で話していることばかりを集めて内容にしました。多くの方が聴いて下されば、診察の効率化と待ち時間の短縮にも寄与するかも…と思って気合を入れて内容をお作り致しました。

収録当日はレポーターさんのリードでとても楽しく話せたと思っております。

 

放送から時間も経ち、radikoでも聴けない時期になったと思いますので、当日の放送内容の原稿を要約して掲載します。そのまま糖尿病と日常生活の工夫のちょっとしたtipsになると思います。しかし、このように簡便にまとめてしまうと無味乾燥な感じになってしまいますね。実際の放送の方が(手前味噌ではありますが)遥かに面白かったと思います。

では、当日の放送内容を記載します。

「やさしい糖尿病の基本と日常での工夫について」

  • Q: 糖尿病とは何ですか?簡単に説明を

    • 糖尿病は、血糖値が慢性的に高い状態が続く病気です。血糖値は食事で摂取した炭水化物が分解されて血液中に流れ込んだブドウ糖で決まります。このブドウ糖を適切に利用するために必要なインスリンが十分に働かないと、糖尿病になります。インスリンは膵臓から分泌され、血糖値を一定に保つ役割を果たします。糖尿病になると、血糖値が高いままになり、合併症のリスクが高まります。放置すると体の様々な組織にダメージを与え、生活の質が大きく低下します。
  • Q: 合併症にはどんなものがありますか?

    • 糖尿病による合併症は多岐にわたります。神経障害では足先からしびれや感覚の異常、自律神経の異常が生じることがあります。腎症では腎臓の機能が低下し、最終的に透析が必要になることもあります。網膜症は目の血管が傷つき、失明に至ることもあります。また、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクも増加します。最近の研究では、糖尿病が歯周病や認知症とも関連していることが示唆されています。これらの合併症は早期に管理しないと、生活の質が大きく損なわれ、最悪の場合、命に関わる危険も伴います。
  • Q: 合併症はとても怖いのですね・・・

    • 合併症は初期には自覚症状が現れにくく、気づいた時には病状が進行していることが多いです。糖尿病治療の目的は、これらの大きな合併症を未然に防ぐことです。血糖値だけでなく、血圧や脂質のコントロール、禁煙なども重要です。タバコはリスク要因の一つなので、これを避けることで合併症のリスクを減らせます。
  • Q: 糖尿病の診断は?

    • 糖尿病の診断には、血糖値を基にした指標が用いられます。特にHbA1c(6.5%以上)、空腹時血糖値(126mg/dL以上)、随時血糖値(200mg/dL以上)などが基本となります。糖尿病の診断が下される頃には、膵臓のインスリン分泌機能が半分程度低下していることが多いため、早期発見が重要です。健診で血糖値が高めだと言われたら、早めに対策を取ることが勧められます。
  • Q: 糖尿病は生活習慣病ですか?

    • 糖尿病には、生活習慣と関係ないタイプもありますが、現代社会では多くの人が忙しく、ストレスの多い環境にいるため、生活習慣が大きく関与しています。規則正しい生活、バランスの良い食事、適度な運動が推奨されていますが、これらは仕事や家庭の事情で難しい場合もあります。無理なくできる範囲で少しずつ改善していくことが大切です。すべての糖尿病が生活習慣に関連しているわけではなく、生活習慣病だと一概に言い切るのは適切ではありません。
  • Q: 糖尿病の治療は難しいですか?

    • 糖尿病の治療は、早期に発見されると比較的簡単です。生活習慣の見直しを行うことで、血糖値をかなり改善できます。しかし、本人が生活習慣に無頓着であると、どのタイプの糖尿病でも状態が悪化する可能性があります。規則正しい生活やバランスの良い食事、適度な運動が必要ですが、現実には社会環境や仕事の影響もあります。無理なく実行できる方法を見つけることが大切です。合併症が進行すると治療が難しくなるため、早期の管理が重要です。
  • Q: バランスの良い食事とは?

    • バランスの良い食事は、主食(ご飯、パン、麺類)に加えて、タンパク質(肉、魚、大豆製品)、野菜や果物の食物繊維やビタミンを摂ることが理想的です。外食時やコンビニ食では、主食とおかずをバランスよく組み合わせ、特に野菜を意識して摂取することが重要です。食事の順番としては、野菜、タンパク質、主食の順で食べると血糖値の上昇を抑えることができます。朝食をしっかり摂ることも、血糖値のコントロールに役立ちます。
  • Q: 夜勤や残業で食事が不規則な場合の工夫は?

    • 食事が遅くなった場合は、主食を早めに摂取し、遅い時間や睡眠前の食事はタンパク質や野菜中心の食品を選ぶようにしましょう。油物は控えめにし、よく噛んでゆっくり食べることで満腹感を得ることができます。また、リラクゼーション効果もあり、疲れを取るためにはできるだけ早く寝ることも大切です。
  • Q: 適切な食事の量はどうやって判断しますか?

    • 毎日決まったタイミングで体重を測ることが推奨されます。自分の消費エネルギーと摂取エネルギーを計算するのは難しいため、体重の変動傾向を日々チェックしながら、自分の摂取カロリーをイメージし、調整していくことが大切です。
  • Q: 運動療法について教えてください

    • 糖尿病予防や治療には運動が効果的です。毎日まとまった時間を確保するのが難しい場合、短時間の軽い運動でも効果があります。例えば、デスクワーク中に30分ごとに3分程度立ち上がって軽い運動をするだけでも血糖値の改善が期待できます。また、食後に少し体を動かすだけでも効果的です。座りっぱなしが健康に悪影響を与えるため、こまめに立って動くことを意識することが重要です。
  • Q: その他について

    • 「正常値」に縛られすぎることは問題です。栄養不良を避けるため、血糖値だけでなく、栄養状態も考慮して治療方針を決定します。薬を避けすぎず、必要な場合には適切に使用することも重要です。糖尿病に限らずも、規則正しい生活、食事、睡眠は健康維持に不可欠であり、感染症予防やその他の病気予防にも役立ちます。
  • Q: 最後にメッセージをお願いします

    • 糖尿病は、日常生活での小さな工夫が重要な病気です。無理のない範囲で健康的な生活を心がけることが、糖尿病の管理だけでなく、他の病気の予防にも繋がります。今日お話した内容を参考に、できることから少しずつ実践して、元気に日々を過ごしていただけるよう願っています。
今回の記事が、皆様の治療生活のヒントになり、心身の状態の向上(と共にクリニックの待ち時間に短縮に)に役立つことを願います。

 

今年2021年はインスリンの発見からちょうど100年です。

糖の代謝の制御に必要なインスリンは、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞で作られるホルモンの一つです。

また、糖尿病治療に欠かせない薬剤としてインスリンは用いられています。

 

さて、このインスリンが初めて発見されたのがちょうど100年前の1921年なのです。

カナダのトロント大学にて。発見者はフレデリック・バンティングとチャールズ・ベストら。彼らは「血糖値を下げる内分泌物質」であるインスリンを犬の膵臓から抽出することに世界で初めて成功したのです。

(バンティングとベストとビーグル犬「マージョリー号」)

 

それまでは糖尿病、とりわけ1型糖尿病は死を待つしかない病気ともいえました。

インスリンは血糖を下げるためのものというより、糖を正常に利用できるようにするためのホルモンと理解してください。

それが作用しないのですから、罹病者は食べれば大変な高血糖になるにも関わらず、体重が減少し低栄養状態に陥ります。当時は高血糖にしないために、糖質を中心に厳しく制限する「飢餓療法」などというものも行われていましたから、1型糖尿病患者の栄養障害は著しいものでした。期待できた延命効果は数年程度だったと言います。

 

1922年、1型糖尿病の少年(14歳で体重29㎏)、レオナルド・トンプソンがインスリン投与を始めて受けたのですが、インスリンの抽出方法に改良を重ねながら、血糖値や代謝状況は改善したとのことです。

 

1923年、インスリンは量産化され始めますが、それまで骨と皮だけになりながらも極端な食事制限を行い、死を待つだけの病気だった糖尿病が、インスリンにより食事を楽しみながら治療できるものとなったのです!

 

世界初の量産インスリンは「アイレチン」という名前で発売され、日本でも使われました。

 

当時は力価が弱く、不純物も多く、大量の注射量が必要で、注射部位に炎症を起こすことも多かったと言います。

また、金属の注射器を用いており、注射器や針は毎日熱湯による煮沸消毒が必要でした。

(初めてのインスリン製剤「アイレチン」)

 

インスリン発見の功績に対して1923年、ノーベル医学生理学賞が授与されますが、これはバンティングとベストに対してではなく、バンティングとトロント大学生理学教授のマクラウドに対してでした。この件に関してもいろいろな物語がありますが、別の機会に譲ります。

 

さて、インスリンに関する歴史のその後の主な流れなのですが、

●1936年:持続性プロタミンインスリンの開発 →これにより1日のインスリンの注射回数が減らせるようになりました

●1941年:日本製のインスリン「シミズ」発売  →インスリン不足のため開発~マグロ、カツオ、クジラなどから抽出

●1946年:長時間作用のインスリン(NPHインスリン)の開発 →これもインスリン治療の負担を軽減

●1982年:遺伝子組み換え技術によるヒトインスリン製剤が発売 

        →これまでブタやウシ由来のインスリンが中心だったものが、ヒトと同じ分子構造のインスリン治療にシフト

●1985年:ペン型注入器の登場     →現在は当たり前のワンタッチ式のインスリン注入器の登場

●1980年代にはインスリンポンプも普及する 

     →最新のものはセンサーで血糖値を検出しながら、その情報をポンプに送信しながらインスリンを注入 

      低血糖の時は、自動でインスリン注入を一時停止できる

●1995年:インスリンアナログ製剤の登場  

(最新のインスリンポンプとセンサー)

 

アナログ製剤とはヒトインスリンの分子構造を「ちょっとだけ」変えて作ったもので、より安定したインスリンの血中濃度を維持したり、より自然に近い食後の追加インスリンの血中濃度が得られるようになり、よりよい血糖コントロールに寄与するようになりました。

 

今現在用いられているインスリンのほとんどはこのアナログ製剤です。

注入器の種類も非常に多く、きめ細かな治療が大変便利にできるようになりました。写真は注入器のごく一部の例です。

この100年で、インスリン、注入器、今回触れませんでしたが注射針にしても大きな進歩をしており、クオリティーの高い治療が大変便利にできるようになりました。将来さらに確実な血糖コントロールができて、より便利な製剤が登場してくるものと思います。

一方、いくら薬剤や注射のデバイスが進歩しても、基本の食事療法や運動療法、治療を受ける方の正しい知識なしには有効で安全な治療は叶いません。

インスリンの発見と進歩に感謝の気持ちを忘れずに、我々も謙虚さを忘れずに、治療に「共に考えながら」取り組んでいきたいと考えます。

 

毎年11月14日は「世界糖尿病デー」です。また今年の「全国糖尿病週間」は11月8日~14日です。

期間中、院内でもインスリン歴史100年をテーマに展示を行います。

インスリンの歴史のみならず、皆さまのお財布に関わる、インスリンの「バイオシミラー」についての情報もお出しします。

 

コロナ禍なので、「たくさんの方に見においで下さい」という訳にはいきませんが、来院される機会のある方は、是非目にしていただくと、幸いです。

 

最後に書籍の紹介です。

「ミラクル エリザベス・ヒューズとインスリン発見の物語(日本メディカル出版)」はインスリンの発見と製造の苦労の物語、そして糖尿病患者目線での病気やインスリンをめぐるドラマが描かれています。よろしかったら、お読みになってみて下さい。

この度、ホームページでご案内しておりますように、診療時間を短縮し、月曜日と木曜日の診療時間を1時間短縮し、18時(受付は火曜日、金曜日と同じ最大17時15分まで)までとすることに致しました。

大変ご不便おかけいたしますことをまずはお詫びいたします。

 

開業以来10年間、月曜日と木曜日は19時までの診療の時間帯の利便性を守ってきました。過去の勤務医時代の勤務状況に比べれば、正直19時までの診療は物理的には「大したことはない」と信じておりました。そして小生の年齢で50歳代半ばまでは、この19時までの診療を維持しようと思っておりました。

 

しかしながら実際の業務は、過密な診療が連日休みなく何時間となるのは当然なのですが、更に重ねて「企業」としての運営・管理業務も乗っかってくるわけです。管理業務は一部アウトソーシングや所謂「職員達へのたなおろし」もお願いして工夫しておりますが、多くの部分は未だワンオペ状態であり、そこへ診療情報提供書や主治医意見書などの診療関連書類も含めますと、診療外の業務は1日平均2~3時間程度に及びます。そこへ昨今の新型コロナ流行による感染対策、ワクチン関連、情報の仕入れ、設備の整備などの手間も大きくのしかかることとなりました。全ての情報に関しては、いちいち開業医宛に模範的なテキストや講習会なるものが提供されるわけではありません。各開業医は原則皆、専門内外を問わず、情報を独自に集めに走り、且つ熟考、検討して己の医療機関の方針を決めています。自ら情報を集め、自分で考え、チームで協議し、方針を決定したり新たなものを作り出したりする姿勢は医療分野でも非常に重要です。決まっているのは治療の中心、コアの部分だけでありますが、それすら時代と共にどんどん変化してしまいます。これは全ての業界において同様と思います。

そして職員達の負荷も併せて過大なものになってきております。

 

我々はその業務の性質上、無理を押し通して業務を行う状況がどんなことなのかを身を以て知っていることも大事なのですが(受療者に於かれましてはそのような方がたくさんおられますので)、やはり可能な限り良好なコンディションで皆様に医療や療養指導を提供することが、最大限優先される安全な医療の観点から、その重要性は大きくこれまた時代と共により安全が重要視されるようになってきているため、現状よりほんの少しだけの余裕を頂ければ誠に幸いでございます。同時に最近は労働者の健康管理のことも含めた、労働上の安全も随分と重視されるようになりました。

蛇足ですが管理職の起用や医師の増員についても当然考慮の材料になっています。記すと長くなるので割愛しますが、現時点では何れも現実的ではありません。

 

もう一点、学術的な勉強会、講演会、医師会関連やその他の会議などは通常、平日夜間、土曜日午後などに開かれることが多いのです。大きな学術会議(所謂 学会)などは数日間の期日を設けて集中的に行われ、特にコロナ以前の現地参加が通例だったころはよく出張のための休診も頂いておりました。

現在、前者に述べた各種勉強会、会議もwebのことが多いのですが、何れにしてもその開始時刻が例外なく19:00あたりなのです。その上、月曜日、木曜日に開催されるものも大変多くございます。現在のままですと月曜、木曜は自動的に全て参加見送りとなり、診療外残務量の調整も利かない状況下で他の曜日の会も参加困難が続いており、開業医としての勉強量の不足や孤立化も愈々本格的に懸念される事態となってきました。

今後のコロナの状況はまだまだ予断を許しませんが、この先本格的にpostコロナ(or withコロナ)の状況になったときのことを考えると、外部とのネットワークもある程度今より広げていけるキャパシティーがないと、皆さまへの診療の質の低下は免れ得ませんし、幅を持った豊かな療養指導も叶いません。また定点に縛られて毎日終えていくだけでは、正直なところ自分自身の心身の健康の維持も困難であるということにもここ数年気づきました。

 

当クリニックの混み具合では、大変皆様にご不便をおかけしております。そこへ以てして診療時間の短縮は大変恐縮なところではございますが、現在診療時間の長短とは相関なく混み具合には日差が生じているため、その解消の工夫やご案内も引き続き行ってまいりますし、混雑緩和や待ち時間短縮のために利用可能な当院に合ったツールの検討も行ってまいります。

改めてご案内しておきますが、2017年から当院は一部の療養指導や検査を除いて、予約診療を全て廃止しました。予約再開希望のお声も時々頂くのですが、来院される方の愁訴や医学的問題点が多種多様なため、一人当たりの診療時間の予測が立たず、予約しても必ず待ち時間が長くなり、多大なご迷惑を来院者の皆様におかけしていたこと、更にはそのことに関する苦情の多さもあり、予約を廃止致しました。このことは勤務医時代に、その病院のルールに従って予約診療を行っていたところ、予約時刻は全くと言っていいほど当てにならなかった経験、そして他医療機関の状況を聞き及ぶにつけて、当院独特の事象とは言えず、妥当と考えています。

 

また勤労者に於かれましては、日々本当にご苦労されている方が多いことを感じますが、各事業所もここ数年で、特にコロナ以降、職員の健康管理に対しての意識も変わってきているものと思います。各企業様方に於かれましては、健康維持のための時間の確保をして下さる試みも見受けられ、有給休暇の最低限の日数の確保を罰則付きの法律で義務化されたりといった動きに対応されたりしており、以前より仕事と療養を両立しやすい環境に少しずつなっているのを感じます(当院自身も職員の有休確保や健康管理のための勤務調整はできる限りの配慮をしているつもりです)。どうか各事業所内でも上手に業務を調整して頂くこと、受診しやすい医療機関を選んでいただくなどして、受診の継続の工夫をお願いできますと幸いであります。

 

例えば30~40年先を想像したとき、このクリニックが存続していることを望みます。この時点で小生の肉体的な命が残存している可能性は低いですが、周囲の諸事情を鑑みますと、少なくともあと20~25年は現役を続けていかないといけません。多少病気があろうとも業務可能な心身である必要があります。この時期までに後継者の目星がつけば、引き継いでいくことが可能だと思っています。それより早く小生が燃え尽きてしまいますと、このクリニックはその時点で閉院です。若くて優秀な医師が地域でも少しずつ育っていますので、それでも地域としてはそう困らないのでしょうが、十分に準備をしながら次の世代に引き継がないと、困られる方も多いのではないでしょうか。

現在の小生(我々)の体力、能力で長く継続できる診療のレベル、そして周囲を取り巻く環境を慎重に検討してこのような結論になりました。思い描いていたよりも2年ほど早くなってしまいましたが、ここに謹んでご報告申し上げますと共に、ご理解いただけます様、何卒よろしくお願い申し上げます。

既にご案内のように、当クリニックの存在する長野市でも、5月12日から高齢者の新型コロナワクチンの個別接種の予約が始まっており、21日から集団接種の予約が始まります。

 

ワクチンに関する医学的な特徴や情報はたくさん発信されていますが、ここでは以下の2つを紹介しておきます。

2つ目の、長野県新型コロナウイルスワクチン接種アドバイザリーチームの作った資料は、少し文字が細かいのですが、わかりやすいとのことで評判にもなっています。当院のホームページの「お知らせ」欄に載せましたリンク先と共に、どうか参考にして下さい。

これでわかる!新型コロナワクチン情報:新型コロナワクチン公共情報タスクフォース (medicalnote.jp)

oshihetevaccine1pdf.pdf (nagano.lg.jp)

 

さて、これから記しますことは、捉え方によっては愚痴や弱音、言い訳にも取れてしまいますが、私は基本的に曖昧に覆い隠すことは嫌いですので(自分にもそういうところがあるため、自身の嫌いなところでもあるのですが)、できるだけ本質を平易に且つ前向きな表現でお伝えし、できれば腹を割ることで和める、安心感を得られる、ことを信条にしていますので、そういった気持からであることをどうかお汲みあげ下さい。

 

今回の新型コロナワクチンは、注射を行う側にとっても今まで慣れ親しんできた、インフルエンザや肺炎球菌ワクチンなどとは「医学的以外」のことで随分と違うことが多いのです。

勿論医学的にも、今までとは違った準備や知識の習得が必要です。

思いつくだけ違いを列挙してみます。

●筋肉注射であること(ワクチンに皮下注射が多いのは日本独特の事情がありますが、これについては別の機会で)

 ~我々医療者は筋肉注射に不慣れなわけではありません。ただし、これだけ短期、大量に注射を求められること自体、これまで小生も職員達もなかったはずです。

●バイアル(注射液の入っている瓶)が慣れ親しんできたものと全然違う企画~大概の予防接種は1バイアルあたり1~2人分でした。今回のファイザー製のワクチンは1バイアル6人分!一人分の容量も0.3mlという少なさです。これを一人分たりとも間違いなく正確に、人間が肉眼で!シリンジ内に吸い取らねばなりません。しかも100人超の規模の単位で!

●短期決戦を求められている~このことにより予約の段階からご存じにように、各種の混乱が生じています。さらに報道をみていても「予約の電話が通じない」「予約システムのサーバーがダウンした」「ネットが通じない」「予約が取れてホッとした」「予約が取れなくて困っている」などという内容のものが目立ちすぎです。このことにより「ワクチンは狭き門なので、我先に早く予約を取らないと大変だ」という群集心理を煽ることに繋がってないでしょうか?そんなことより、以下の事をしっかり強調してほしいと思います。

①ワクチンの数は十分に足りている(長野市の状況は具体的に確認済み)!

②ワクチン接種したからといって直ちに感染予防が不要になるわけではない!

●ワクチンの発注の仕組みが特殊~そのために我々は新たに相応の手間をかける必要がありました

●接種医療機関の情報、注射の実績、費用請求 等、特別なオンラインシステムへの入力を国から求められており、その為のシステム上の準備と運用がとても手間~部署が細分化されている大きな組織ならまだ多少負担は軽いかも知れないが、零細企業である診療所にとって、診療行為の傍らこのようなことに時間と手間を割くのは大変な苦痛です。

●その他・・・

 

さて、ワクチン接種の方法を考えるにあたり、困ったのは当院のキャパシティーの少なさです。ご存じのように、当院は待ち時間の長さにつきまして以前から苦慮しておりました。当院で扱う疾患の性質上、身体的症状の確認、バイタルの確認、検査、その結果の共有、それについての考察、次回へ向けての目標、方針決定、処方、次回の検査指示、それらの記録をつぶさに行わねばなりません。これら全て行って一人の平均時間6~7分。これ実はすごいことなんですよ(検査データの良い方がもっと増えれば一人平均5分程度に短縮できます、冗談抜きで)。通常のスペックの医療機関でこれらをきちんとやろうとすると、10~15分以上要してしまいます。それを皆さんが普段目にしている人数の職員達と共に診察室で小生がトップギアでヘロヘロになりながら行っているわけです。寸分の余裕もないわけです。もしも通常の時間外にワクチン接種をする計画など立てようものなら、リスクマネジメントの問題に直結、安全の担保が困難であろうと思われます。

 

で、当院通院の65才以上の通院者の人数はレセプトコンピュータの検索機能を使えば概数がつかめます。問題はその方々の通院エリアが広いこと、他院と併診しておられる方も多いことです。果たして、このうちの何人が本当に当院での接種を希望されるのか、または当院での接種に適するのか?~正直今でも見当はつきません。

職員らとは昼飯も食べれないくらいの勢いでミーティングしました。結果、65才以上の全通院患者の半分程度の人数の予約枠を確保しております。勿論、何人を?どうやって?といったテーマについて、どうやれば「無理がないのか」といったことを最大限取り込みながらの決定ではあります。この今までとは随分毛色の違うシステムで行わねばならない予防接種について、無理することは絶対的禁忌であります。

…というわけで、行政側は「基礎疾患のある方はかかりつけ医で」と謳っておりますが、もしかしたら当院で希望される方すべての予約枠が足りない可能性もありますし、逆に「通常診療の時間を犠牲にして」ワクチン接種の時間を確保したのに、予約枠が全て埋まらない可能性もあるわけです。

今後、皆さまの動向、ムードまで含めてよくよく観察し、場合によっては現在発表している接種計画を変更することもあり得ますので、どうかお含み下さい。

 

丁度本日、長野市の集団接種においてこれまでの予定に加え、更に大きな会場を使った集団接種の予定があることも報道発表がされておりました。これについては先週から我々にも打診がありましたので、もちろん小生もお手伝いを名乗り出ております。集団接種の会場で、この先お会いする方もおられることでしょう。

本日保健所とも諸々話しました。その中で、集団接種は一般高齢者、診療所での個別接種は基礎疾患のある方、と謳われておりますが、担当医の許可があれば基礎疾患のある方の集団接種も可能と考えてよいです、とのお話も頂きました。

そして、当院の電話回線は2回線しかありません。予約しようにも電話が通じないとの苦情も多数ありました。全体ではワクチンはちゃんとあるので、ゆったり連絡いただいたり、集団接種の利用も視野に入れていただくと、フラストレーションは少し軽減できるものと思います。ワクチンのためだけに、回線を増やせるほどの金銭的余裕は正直ないのですが、管理者である医師としては「電話回線の準備よりももっと優先しなくてはならないことがたくさんある」のです。それ以前に、回線だけ増やしてもその電話を取る人間が確保できませんでしたね。

直来の予約受付をお断りする理由は簡単です。狭い院内です。「密」にならないようにするため、そして通常診療を妨げないためです。

 

さて、前回のブログに書きましたように、当院の重要な役割は生活習慣病の管理です。イコール、コロナ重症化危険人口の減少に寄与することです。ここは絶対に手を緩めるわけにはいきません。正直申し上げて、通常診療が「主」、予防接種が「従」です。予防接種は進んだけれど、HbA1c8%超の方が増えてしまった…では元も子もありません。先ほど申し上げた「無理がない」ことにはこのことも含まれます。今回の高齢者のコロナワクチンの接種も、予約行為もそういった前提で、通常診療、感染対策での繁忙と重責の上にさら業務を乗せる形で行っております。我々の疲弊も間違いなく進んでおります。故に最大限の間違い予防の工夫を随所で凝らして臨みますので、ご不便を感じる点もあるかとは存じますが、どうかお含み頂きます様、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

そして、皆さまに於かれましても長引く「コロナ禍」で、心身ともお疲れのことと思います。本日も職員達に申したところでございますが、疲れとかストレスというのはご自身で「ある」とか「ない」とか簡単に言える、そんな甘いものではないのです。どうかご自身の身体状況、心の状況、周囲の物事や人との関係にみる自身の状態に「謙虚に」「敏感に」なっていただき、適切に休むこと、息を抜くこと、おこなって頂き、大過なく通られることをお祈りいたします。

新型コロナウイルスの流行による危機感は増しており、緊急事態宣言がいくつかの地域で、長野県でも医非常事態宣言なるものが出されるなどに至っております。

 

日頃、糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症などといった極めて一般的な慢性疾患で通院治療されている方は感染リスクを考えて医療機関への通院を控えめにした方がいいのでしょうか?

 

私たちは、感染伝播を少しでも抑制するために、「不要不急」の外出を控えることが求められています。また医療機関には感冒など何らかの感染症の方が見える可能性があり、その中にコロナの感染が紛れている可能性も確かにあり、対策を十分に取らないと感染伝播のリスクは確かに生じ得ます。そしてこれら慢性疾患保持者におけるCOVID-19の重症化リスクについても報じられており、不安を感じられることでしょう。

                                                                                      

COVID-19における、中国での各疾病保持者の致命率のデータは前回のブログで紹介しました。

また、糖尿病とCOVID-19との関係は糖尿病協会のHPにて説明されています。その中で「糖尿病があるとコロナにかかりやすいとは言えないが、重症化するリスクが高くなる」とデータと共に説明されています。さらには平均HbA1c 7.3%と 8.1%の群では後者の方が死亡率が上昇するとしたデータが示されています。https://www.nittokyo.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=90

また、慶応大学の研究グループから345例の入院患者の解析において、COVID-19の重症化のリスクとして、高齢の他併存疾患では慢性閉塞性肺疾患、心血管疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧などが、死亡リスクとして同様に高齢、慢性腎臓病、高血圧、高尿酸血症などが上位に挙がっています。

Clinical characteristics of 345 patients with coronavirus disease 2019 in Japan: A multicenter retrospective study (journalofinfection.com)

厚生労働省から提供されているデータでは、他に脂質異常(高脂血症)、肥満でも重症化リスク上昇の可能性が示唆されます。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000704454.pdf

 

これらの種々の治療をされている方達がコロナを警戒して受診を控えたらどうなるのでしょうか?

こういったことについても「日本医師会かかりつけ医糖尿病データベース(J-DOME)」の解析による報告があり、受診を控えることで、血糖コントロール、血圧コントロールが悪化することが示されております。通院が減少した群の悪化理由としては、処方や指導が行われず治療薬の継続性も失われた可能性や、直近の検査値がわからず治療への意識が下がったことなどが推測される、とされています。

また同様の事が、脂質や尿酸に対しても言えるものと推測されます。

https://www.jmari.med.or.jp/download/RE096.pdf

 

受診が遠のくことで状態が悪化(それも知らない間に、いつの間にか!)し、コロナの重症化のリスクを自ら高める可能性があるとすれば、それは由々しきことです。

 

コロナ禍にいてストレスをため込んでいる方が多いのを日頃実感します。ストレスは交感神経系や内分泌系を介して血糖や血圧を上昇させます。寝不足や疲れも同様です。更には、寝不足はストレス耐性を落とすと言われております。

 

また、外出自粛やテレワークなどによる活動量の低下も血糖、脂質、血圧、尿酸何れにも悪い方へ影響する可能性があります。増してやそのまま食べる量が変わらなかったり、増えたりするようであれば尚更であります。

そんな方は、人ごみを避ければ十分外出は可能です。短時間ずつでもよいので、こまめに気分転換レベルのウォーキング、屋内でも体操、ストレッチレベルの運動(ラジオ体操、テレビ体操、YOUTUBEの動画の運動…他何でも!)、ちょっと立ってみる程度…でも活動性をちょっとずつ上げる工夫をしてみましょう。ちょっとだけ外の冷気に当たってみるのも、代謝のアップに役立ちます。

どうかしっかり休養を取って、バランスの良い食事とこまめな体重チェックで心身の状況をできるだけ良好に維持することに努めてください。

ストレスに関しては、血糖、血圧、脂質などのようにご自身の状態に気づいていないことも多いです。しっかりご自身の事を敏感に観察してケアに努めて下さい。

 

糖尿病、脂質異常、高血圧、高尿酸血症、肥満などは免疫系細胞への影響や酸化ストレス(診療中はこれを分かりやすく「サビ」と言ってしまいますが)、動脈硬化を介した血流障害など(心疾患、腎疾患もこれらの生活習慣病が先立っている場合が多い)によりCOVID-19を重症化させるのではないかと言われております。

そして、ストレスは免疫系細胞(ナチュラル・キラー細胞やリンパ球など)の働きを弱めると言われています。

 

一方、医療機関の感染対策はどうなっているのでしょうか。多くの医療機関では、例えば日本医師会で出している「みんなで安心マーク」取得基準を満たすように体制を取っております。勿論当院もです。その他、当院は検尿検査が多いため、トイレ前の密対策、待ち時間の短縮のための工夫と患者の皆様への協力のお願いなども行っております。

入場時の職員による、体調と行動歴の確認にはどうか正直にお答えください。厳しめに確認していることは重々承知ですが、当院の受診者の疾病特性上のことであり、少しでもよりしっかり守りたいという思いがあるからです。そして、感冒などの不調で受診される際は、くれぐれも直接来院されず、一度お電話でお問い合わせいただきます様、重々ご配慮をお願い申し上げます。

このように医療機関としては感染対策には相当の労力を注いでおります。

結論としては、コロナ禍においての慢性疾患の受診控えは賢明ではありません。

 

普段から状態が良好な方につきましては、受診間隔の延長は考慮に値します。しかしながら、普段の状態がよろしくない方、腎臓や心臓などに合併症が及んでいる方、動脈硬化の強い方が「コロナ警戒のため受診を控えます」というのは危険にすら感じてしまいます。どうかこのご時世安全・安心で通るためにも、しっかり自身の状態を確認して、極力改善に努めていただきたいと存じます。そしてみんなでこのコロナ禍を、できるだけ心身健康な状態で無事に通れることを願います!

 

「糖尿病だと、新型コロナウイルス、危ないんですよね…。」

 

こう仰る方が増えてきました。

 

糖尿病における新型コロナウイルスに対するリスクの上昇は、確かに報告されています。下記の表は、中国での新型コロナウイルス感染による致命率の調査結果です。

 

確かに糖尿病の他、諸条件で致死率は上昇してしまっていることが分かります。

 

でも、申し上げたいのです。言葉は悪いかも知れませんが、いまさら慌てないでくださいね、と。

冒頭のように仰る方には問い返します。

「糖尿病の診断がなされた当時、どのように説明(または勉強)しましたっけ?」

 

糖尿病は合併症を抑制することで、十分な健康寿命を全うすることを目標として治療する疾患です。

糖尿病に特有のものや特有でないもの含め、種々の合併症のリスクがありますが、その中に「感染症」というのがあったはずです。

感染症と言ってもいろいろありますね。

感染症のリスクが高まる理由も含めて、下記をご参照ください。

https://dm-net.co.jp/seminar/25/

 

血糖コントロールをしっかりつけるということは、感染症の合併症のリスクも下げることになるという“触れ込み”であった筈です。

冬場の一般的な風邪やインフルエンザの季節でも同様ですが、流行り始めてから慌てるより、普段からしっかり血糖管理を行っておきたいものです。

今からでも結構です。バランスの良い食事に徹していきましょう。

運動は何かとやりづらい環境になってしまいましたが、屋内でできる運動もテレビやネットで沢山紹介されていますね。仕事の合間にホンの何分間か立位を取るだけでも違います。当院でも簡単な運動の資料を受け取られた方がいる筈です。また、幸い気候も温暖になりつつあります。「密閉、密集、密着」の「三密」を避ければいいわけですから、短時間、細切れでも気分転換に外の空気を吸いにウォーキングなど出かけてみましょう。体に刺激を与えることは、ストレスの解消にも有効な筈です。

 

そして、休養も大事。疲れ、寝不足は血糖に影響します。ストレスを感じているときは、心が疲れますので、せめて休養などで体のケアだけでもしっかりしないと、ストレス耐性も落ちます。

 

ところで、血糖はどのくらいにすればいいのでしょうか。血糖コントロール目標は本来、個々に違いますし、一方免疫の機構には様々なポイントがあるので、それら全てを考慮して、明確な数値を示すのは難しいです。免疫だけの点からは、低いに越したことはありませんが、低血糖や低栄養などの有害な事象も無視してはなりません。

 

あくまでも参考ですが、白血球が病原体を取り込んで処理する力(貪食能)は血糖値が250㎎/dl以上で低下するそうです。

また、本邦で敗血症(最近が血液中に入り込み、全身で炎症を起こし様々な障害を起こしている状態)の重症患者において、目標血糖値を144~180㎎/dlとしており、米国心臓病学会でも入院患者の目標血糖値を144~180㎎/dlとの声明を出しています。

くどい様ですが参考までに、です。

 

どうか、無理やリスクのない血糖管理を、主治医や医療スタッフと相談しながら目指してください。

同時に新型コロナウイルスの流行は、自身や他人の健康に無頓着だったり、不摂生だったりする生活を見直し、改める好機とも言えますね。

 

 

尚、新型コロナウイルスへの不安を理由に、血糖などの検査はせずに、薬のみ要望される方が増えています。高血糖状態を放置して通院を躊躇する方もいることを、他施設の関係者からも聞いたりします。

 

当方からは、普段の状態が良い方を中心に処方日数をいくらかでも延ばして、通院頻度を減らす工夫もしています(当院は従来より、長期処方の傾向がありますのでご理解ください)。

しかし、普段の血糖コントロールの悪い方の検査が長期間なされない状態が増えることは、非常に問題です。また、コントロールが良い方も、長期間の無検査期間の間に、いつの間にか悪化していたということがあってはいけません。

“血糖コントロール不良人口”の増加

=感染リスク・重症化リスク人口の増加

と考えられるからです。

 

我々は、そんな血糖コントロールの悪い、感染・重症化リスクの高い人口集団を作らないために、微力ながらできるだけ力を注ぐ決意をしております。つまりは感染リスクの幾らか高まっている方が集まります。

現在「新型コロナウイルスの感染者はあらゆるところに存在する」という前提で、国を挙げて施策しております。

従って、感染症状が出ている方は、原則院内にはお入り頂かないようにしております。当院は新型コロナウイルスの検査のための設備、装備もございません。

申し訳ありませんが、新型コロナウイルスの心配をなさる方は、絶対に当院にいきなり立ち入らずに、「有症状者センター」に相談するなど、ルールに則った受診行動をお取りください。

ルールの具体的なことにつきましては、厚生労働省のHP、日本医師会のHP、県や市のHPなど幅広く広報されておりますので、ご参照ください。

 

当院は糖尿病の方だけでも約2,000人ほどが通院されています。

安心して普段の糖尿病などの慢性疾患の療養ができる場を、守りたいと思います。

 

 

参照)

1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療所・病院のプライマリ・ケア初期診療の手引き(一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合会)

2)糖尿病患者さんと医療スタッフのための情報サイト 糖尿病ネットワーク 

3)日本内科学会雑誌 102:856-861.2013

4)Moghissi E S: Reexamining the evidence for inpatient glucose control: new recommendations for glycemic targets. Am J Health Syst Pharm 2010; 67 (16 Suppl8):S3-8

5)American Diabetes Association: Standards of medical care in diabetes―2010. Diabetes Care 2010; 33 (Suppl1):S11-61 

6)織田成人,相引眞幸,池田寿明,今泉 均,遠藤重厚, 落合亮一,他:日本版敗血症診療ガイドライン。日集中医誌 2013;20:143-70

 

先日テレビ信州さんの「報道ゲンバFacehttp://www.tsb.co.jp/tsb-bangumi/face/」という番組の取材を受け、3月8日に放送されました。

 

内容は、糖尿病が大変多いこととその怖さや、改善・予防のための食事の対処法についてなどで、当院の診療の様子や、小生のコメントも紹介されました。

 

簡単に紹介すると、

・日本の糖尿病人口は316万人、世界でも4億人余りと大変に多いこと

・大きく分けて、自己免疫が関係し、インスリンを作る膵臓の細胞が破壊される「1型糖尿病」と生活習慣が関与する「2型糖尿病」があること

・2型糖尿病が大変増えており、問題であること

・糖尿病の合併症~動脈硬化の怖さ、足病変の話など

・1型糖尿病の方の生活の様子

・食事の際は食物繊維を先に食べると、血糖上昇が緩やかになること

・食事のポイント~主食、主菜、副菜バランスよくたべること、腹8分目で食べ過ぎない、よく噛んでゆっくり食べる、「いただきます」と「ごちそうさま」の挨拶で食べ初めと食べ終わりの区切りをつける

 

・・・といった内容になるかと思います。

 

原稿のない、インタビュー形式のコメントは話し下手な小生にとっては少々難しく、後で内容の追加やポイントの整理などを何度かメールで依頼させていただきましたが、上手に且つ一生懸命対応していただき、編集やキャスターのコメントでフォローしていただけたと思っております。

 

実際に放送を観て、糖尿病の合併症の中の小さな血管の合併症(細小血管障害)の説明が不十分だったと反省しました。

 

所謂、「しめじ」といわれる、3大合併症です。

し・・・糖尿病性神経障害(神経の「し」)

め・・・糖尿病性網膜症(他、眼に出てくる眼合併症;「め」)

じ・・・糖尿病性腎症(腎臓の「じ」)

 

これらは、放置しておくと自覚症状のないままに進行し、おかしいと思ったときは取り返しがつかない状態となっていたりします。合併症もきちんと評価して、「大難は小難に、小難は無難に」収めるよう、きちんと治療・予防していきましょう。

 

また、今回運動の重要さは触れられていませんでしたが、何かの機会に紹介できたらと思います。

 

強度の強い運動、まとまった時間の運動・・・に固執する必要はありません。

細々した短時間の動きでも、活動性を維持できるだけでも違います。

 

1日中動かない方でも、是非時々立ち上がる時間を作り、体に適度な刺激を与え、リフレッシュしてください。

 

テレビ信州の藤原キャスター他、関係者の皆様方、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一般的な内科系の診療所の診療時間を見ていると、午前の終了から午後の開始までが長いことが多いですよね。

 

さぞかし、ゆったりとした休憩時間を取られていることでしょう…と思ったりしておりました。

自分も開業するまでは…。

 

実はこれがとんでもないことで。

 

当院の場合、午前の「診療終了」は12:30、午後の「受付け開始」は14:30と表示させて頂いており、「診療開始」は15:00としております(診療の開始時刻と終了時刻は正式に届け出をしなくてはなりません)。

 

即ち休憩時間は2時間という形になっており、他と比べるとやや短いです。

 

実際は、12:30に診療が時間通りに収まることは極めて珍しいことで、だいたい13:00位までは押してしまいます。過去にはほぼ14:00まで押してしまったこともありました。

 

終了して、しばらくは腰が立たないくらいぐったりしておりますが、やおら立ち上がり周囲の整頓等を行い、棚をみると毎日大抵10部~20部は郵便物が届いております。重要な物が多いので、封筒をチョッキンチョッキンして、中身を確認し、各々の内容に沿った対応を行います。これにより大体はその日の夜の残務が増えることになります。

 

その後各種業者やMRと対面します。とても毎日複数との面会は困難なので、面会枠は時間や日を決めて厳しくコントロールして、アポイント制にさせて頂いております。

 

そして、自分の部屋でパソコンを開きます。多くのメールが毎日届いておりますが、業務と関係ある重要なメールをセレクトして内容を確認し、返信します。同時に片手で食べられる、パンやおにぎり、カロリーメイトなどで昼食は「しっかり」摂ります。できれば野菜ジュースくらいは一緒に摂ります。

 

忙しくて食事は抜いてしまう方のためのお手本になるかな??

 

ここまでくると大体14:00回ります。頭と目の休憩が全くなしに午後の診療に突入すると、自分でも何をやっているか分からないことになり、大変危険を覚えますので、多少目閉じて外界からの情報をシャットアウトする時間を15分程度は必ず作るように努めております。

 

お昼には特別な予定~勉強会やミーティング、職員面談を行うことも割とあります。これらは医院運営上大変重要な事ですが、こんな時は気合いで時間を捻出しているような感じでしょうか…笑。

 

さらに毎月2~3回は昼の間に外部の会議への出席を命じられております。信号待ちなどはカロリーメイトをかじるための格好の時間ですね!

 

また午前と午後の狭間や1日の終業後などに職員達と雑談ができることが、実は運営上とても重要なこととも捉えています。職員達との雑談はただの戯れではありません。貴重な情報源であり、貴重な関係構築の場でもあります。雑談の時間も全く取れないような、医院経営はしたくありません。これは管理職を経験している方には分かって頂けることと思います。

 

勿論各種設備のメインテナンスにもお昼の時間は費やされます。

 

当院においては、こんな感じで昼休みはあってないようなものです。

 

午後の診療は15:00~ではなかったかって? 14:30~受付開始して、沢山の方が待合にいるのにただ休んでいるわけにもいかないでしょう。検査なしで診察できる人はどんどんしてしまいます。従来から待ち時間の長さが当院の課題の一つでもありますし、夜だって診療終了後に業務が沢山のこっているし、出かけなくてはならないことも多いので、時間が押すわけにはいきません。

 

そんなわけで診療時間外に、運営に関する大事な事を沢山行っております。その上で当院の診療や療養指導のクオリティーが保たれていると言うことを、どうかご理解下さい。

 

お昼は、優雅に時間を取って…と思われている外部の方がいないではないようですので、実態をお話しさせて頂きました。特にアポなしで飛び込んでくる業者の方、切にご遠慮願いたいものです。

 

今回は大変つまらない内容で申し訳ありませんmm

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年8月から時間指定による、診療予約は廃止と致します。

受診の際は、直接のご来院か、当日につきましてはwebによる順番の確保でご利用ください。

来院者の増加や診療内容の多様化に伴い、時間指定のはずの予約がほとんど時間通りに機能しなくなる状況が続いておりました。

また、予約の方の指定時間に多分に配慮すると、受付や案内業務が煩雑となり、医療安全の確保の困難さが生じるようになりました。
その割に、お時間のお約束を守ることができず、受診される方へのご迷惑や、苦情にもつながっておりました。

結果、全体の診療効率の低下も否めない状況となっておりました。


小生の勤務医時代の経験です。
外来につきましては、ほぼ時間予約のみの診療体制がほとんどでした。

しかし、この予約時刻通りに進んだ例しが「ほとんど皆無」なのでした。


2011年開業当時の考えは、経験を踏まえ、以下のようなものでした。

日時の予約をしたい方はいるでしょうし、予定の変更などで予約日時でないときに受診したくなる場合も生じます。また逆に日時を指定されても困る方もおられます。何かの事情で、定期受診とは別に診察を受ける必要性が、急に生じることも起こりえますし、感冒などの急性疾患については日時を予約しての受診は不可能であろうとも思います。

そんな時、任意の日時で受診したとしますと、全ての時間が予約で埋まっている場合には、待ち時間が限りなく長くなります。また、予約の合間に予約外の方の順番を「エイヤ!」でねじ込むと、途端に予約診療が破綻します。

また、一人一人の診察に要する時間も様々で、大体は想定より長引きます。
勤務医時代はそのような事が普通でありました。


そこで、開業当初は時間指定の予約は見込まれる人数全体の1/2~1/3に留めておいた上で、合間に予約外で受診された方や、webで順番を取った方を差し込んでいこうとの発想で開始致しました。

それでも何れ人数が増えれば、時間指定の予約は機能しなくなる・・・。正直そのような事は予想しておりました。

何故かと申しますと、既に開業した先輩の医師からそのような話を聞いていたからです。その診療所でも当初予約を取っていたものを、途中で廃止したそうです。
予約の時間通りに診察を進める事の困難さを身を以て感じておりましたので、その様な話を聞いて、すんなりと納得したものでした。


現在、診察室での患者さん一人あたりの平均の対応時間は、診察の本体に加え、電子カルテの記入や、処方箋発行、検査指示、スタッフへの指示またはスタッフからのフィードバック等々…全ての前後処理込みで、5~6分程度です。正直それより長い時間はかけられませんし、またかけないようにしております。

診察室へ入る前後でも、可能なことはできるだけスタッフがお話を伺ったり、ご指導申し上げたりしております。

つまり診察室外での待ち時間の有効利用を行ったり、わざわざ医師でなくても済むことをスタッフに振る事で、診察室滞在時間を極力短縮化し、回転を速くし、待ち時間の短縮に努めております。

また、webによる当日予約と直接来院との二本立ては、当院独特のシステムと思います。

何れの場合も待ち時間に大きな不均衡が生じないように、枠を調整しております。

ただ、二本立てのシステムは、やはり煩雑性を帯びてしまい、至らぬ点が多々出るかとは思います。どうか鋭意工夫をして参りますので、何卒ご容赦お願い申し上げます。

我々は、診療の体制の事よりも「医療の安全」そのものに対して、より優先して限られた力を注がねばならない立場であることも、どうかご理解下さい。


どうか、これらのことを十分にご理解の上、ご協力をお願い申し上げる次第であります。


ただし、人手を割かなくてはならない栄養指導、超音波検査、インスリン注射や血糖自己測定の指導および相談などは必ず日時の予約をお願い申し上げます


最後までお読みいただきありがとうございました。