試行錯誤をしながら、時代に合わせて変化をしていっている高校野球運営 | 週刊テヅカジン

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手束仁が語る、週刊webエッセイ

 この夏の甲子園での全国高校野球選手権大会、とりあえず試験的ということではあるが、午前と夕方の2部制開催とするということが発表された。暑さ対策の一つとして1日3試合となる3日間だけだけれども、実施されることになった。これは、運営側としては、かなりの思い切ったことだったのではないかと察している。

 近年、高校野球をめぐっては、ことに最大のスポットライトの当たる夏の大会は、ここ何年かの夏の暑さや投手の疲労など、さまざまなことが議論されてきている。そして、その度に現場もいろいろな会議を重ねているのだろうし、試行錯誤しているようだ。球数制限や連戦を避けるために休養日を設けていくことや、タイブレーク制度の導入、白スパイク使用の認可もそうだ。また、今季からの新基準の低反発バットの使用ということも、安全性などの面からの決定事項となって実施されている。

 1日で2部制開催ということで、甲子園大会の入場券も午前の部と午後の部とに発売されるという。甲子園の入場券に関しては、コロナ禍によって、全席前売り指定席制となり、入場料も大幅値上げされた。このことで、多くの高校野球のコアなファンからの反発の意見も多く発せられている。実際問題として、高校野球の人気は、そうした1日中スタンドにいて観戦するコアなファンによって支えられていたという現実もある。それらの人たちの意見や考え方を無視していってはいけないだろう。

 そんな中で、今回の試みは、現状の中でベストとは言わないが、ベターな案で試作していっているような気もしている。高校野球を伝えるということを一つの生業としているボクの立場からしても、その動向は気になるところである。ただ、その問題に対しての確かな正解というのは、なかなか見出せないのではないのかなとも思っている。

 変革に伴って現場としては、経済的な問題も発生してくるであろう。現実には、運営ということを考えていくと、その対処をどうしていくのがいいのか、非常に難しいところだろうとは察せられる。

 今回の試作をさらに進めて考えていくと、1日4試合が定着している夏の大会で、それを実行していくとなると、朝8時から第1試合を開始したとして、2試合消化して13時半前後に2試合目が終了。それから次の試合が16時開始とすると2時間半の時間が空くことになる。さらには、そこから2試合をこなしていくと、第4試合は18時半過ぎくらいからの開始となるケースが多くなるだろう。場合によっては19時を越えての開始ということになる可能性もある。それが延長タイブレークなどになると、第4試合の終了は22時前後になることもあるだろう。

 応援団の移動などは、そこからは大変なことにはなるだろうということは察せられる。とはいえ、今まででもそういうケースがなかったとは言えない。そういう意味では、対策として実行していくことの優先が大事なのではないかという気もしている。

 いずれにしても、我々は大会運営に関しては部外者なわけで、当事者の、こちらでは預かり知らない苦悩やトラブルもあろう。そうした中での、外側からの意見でしかないわけだ。

 だけど、いや、だからこそか…。高校野球という継承文化を継続していくという前提において、運営者たちの鋭意努力に敬服しながらも、何とかしてほしいというのが、シンプルな意見でもある。

 つまり、それだけ高校野球というのは、日本という国の中では、大事な存在となっているわけで、文化としても継承していく必要性があるということなのだと思っている。だからこそ、現場の当事者はもちろんのことだけれども、何らかの形で係わっている人たち、あるいは関心のある人たちすべてが、大事にしていこうという姿勢を示していきながら意見していく必要性があるのではないかと思っているのだ。

 これからの高校野球は、毎年のように議論が重ねられて、運営の形も少しずつ変化をしていくこともあろう。現在の1県1代表の49代表も見直されてくる必要もあると思っている。かつての30代表前後になっていけば、運営そのものも、もう少しスムーズになっていくのではないかとも思えるのだけれども…。実際、春のセンバツは原則32代表である。

 まだまだ、議論検討していくべきことは、山積しているようである。