ルーティーンの重要性
※この選手の活躍で一躍脚光を浴びた『ルーティーン』
教習指導員の大会では、全ての競技において1発勝負なのと同時に、全ての競技において必ず決められた『ウォームアップ走行』があります。
そして全ての競技はそのウォームアップ走行からすでに始まっているのです。
もちろん『教習指導員としての立ち振る舞い』というのも競技規則にあり、ウォーミングアップ中の指導員としてふさわしくない行動も採点に含まれていたりします(ちなみに競技終了後のガッツポーズも減点になったりします笑)。
教習指導員はそこまで聖職者ではありませんが
ですから普段の練習段階で、その日の朝一の練習を本番のウォームアップと同様に行い、その日の朝1番のタイムを大切にして日々の練習に取り組んでました。
ですから、本番前のウォームアップがまさに『ルーティーン』であり、いい準備が出来ている人はいい結果が出せるという緊張や好不調の波をコントロールするメンタルスキルが1発勝負の競技においては必要不可欠であると考えて自身もそんな練習をしておりました。
ジムカーナにおけるルーティーンとは?
ジムカーナの大会は、朝に受付を済ませるところでまずコース図を受け取ります。
その時に会場ではコース設営をしていたりするので、そんな光景を遠目に眺め、今日はこんな感じのコースかー、ってのをまずは観察します。
そしてコースウォークが始まると参加選手が一同にコース図を片手に思い思いコースの戦略を練るのです。
長い時だと1時間近くコースウォークがあり、これはこれで結構いい運動になったりするのでこれもある意味身体のウォーミングアップにもなるのです。
ちなみに先日のダンロップ杯では3kmちょっとで1時間弱歩いてました
そしていざ走行を開始する前にはウォーミングアップコースが設けられており
そこで思い思いのウォーミングアップを行い、自分の走行順が近くと走行前8の字へと移り
いよいよスターティンググリッドにつくという流れなのです。
この流れは、ジムカーナの練習会などでも同様の流れが組まれており(コース発表は練習会によって前日や数日前にSNS等で発表されている場合も有り)、大会の流れをしっかり踏襲されているなーといつも関心して参加させてもらっているところでもあります。
つまり、ジムカーナにおける走行前の『ルーティーン』はまさにこの『ウォームアップコース』と『8の字』ということになるのです。
きっと上級シード選手はこの『ルーティーン』の使い方でメンタルスキルを上手にコントロールしているのではと考えられます。
ルーティーンで集中力を高める
普段参加しているジムカーナの練習会でも、その日の1番の走行時はウォーミングアップと走行前の8の字をどの様に実施するか少し意識をして走行するようにしております。
あるA級選手の走行前の8の字の使い方についてお話する機会があったのですが、必ずしも8の字を描く必要はなくオーバルやのの字走行したり回転を入れたりするなんて話を聞きました。
指導員の大会にチャレンジしている時もそうであったように、練習会でもスタート前の8の字をどのように進めるとか自分なりに色々試して、なるべく走行前のウォームアップと走行前の8の字を決まったルーティーンで行う事が大切かな?と考えました。
もちろん走行前のウォーミングアップの実施方法は人それぞれ考えはあるのだとは思いますが。
今回のダンロップ杯第2戦の第1HEATは、ウォーミングアップコースでシフト操作に注力し過ぎて集中力が維持出来なかったのもコースミスに繋がった要因かと思われました。
その要因を踏まえて第2HEATは、ウォーミングアップコースでの全力走行を心がけ、走行前の8の字もオーバル、のの字、回転と気を抜かないように実施し第2HEATの本番に備えました。
結果
C2クラスのトップタイム差0.067秒差の第2位となるタイムで走行を終える事が出来、優勝タイム比で109.08%とC1クラスへの昇格も果たせました。
今回のダンロップ杯第2戦の第2HEATでは、お昼休みのコースウォークからウォーミングアップ、走行前8の字ととても良い『ルーティーン』が実施出来たと思いましたし、集中力も上手く保てた結果がタイムにも反映出来たのだと思います。
一般道におけるルーティーンは?
ここからは余談になりますが、
競技をしている中で、転倒やコースミス、車両のトラブルなどは日常的な事であり、そのための装備や車両への保護など万全の状態で参加選手は競技に挑まれています。
筆者も、走行時には全身プロテクターや革パンツ、そして車両には転倒時の車両保護のバンパーを取付たり競技会場や練習会には万が一に備えた工具を持ち込んだり自分なりに色々な準備を施していつも挑んでいます。
しかし一般のライダーが一般道を走行する時にそこまでの心構えは出来ているのでしょうか?
普段の筆者の本職である教習業務の中では、もちろん受講される方は万が一の転倒などに備えてフルプロテクターですし、ヘルメットのあごヒモもきちんと締めて、狭いコースの中でもしっかりと遵法運転を心がけ課題コースも一生懸命練習されています。
でも一般道を走行しているライダーは?
胸部プロテクターの着用率は10%にも満たない。
二輪事故死者の内、ヘルメットの脱落者は全体の約3割(あごヒモが緩い、結束してないが原因)。
多くのライダーはまさか自分が転倒したり事故に合うなんて事はあまり考えずに走っているのが現状だと思います。
しかし、本当はサーキットなどのクローズドのコースより一般道の方が危険がいっぱいです。
だって自分の操作がたとえ悪くなかったとしても事故は起きますから。
道路に落下物があるだけでもバイクにとっては致命的な事故になってしまう事もあります。
急に真面目な話になってしまいましたが、一般道をバイクで走る時こそ適切な『ルーティーン』が必要なのではないでしょうか。
プロテクターつけたりあごヒモ締めたりとかそんな単純な事からでも。
ライダーは皆アスリートなわけではないですが、ちょっとした普段の走行前のルーティーンで防げる事故もあると思います。
たとえそれが一般道をトコトコ走るような場面においてもです。
今回は長々とルーティーンについて書きましたが、競技において身につける事は、一般道を走る一般ライダーとしても身につけるべき事であるのだと、あらためて自身にも痛感しました。
つづく、、、