中東TODAY

 

NO:4894 1月24日

 『トルコ軍のシリア侵攻は問題多い』

 [2018年01月23日(Tue)]

*トルコ軍はシリア北部で、クルド掃討作戦を始めたが、この作戦はそう簡単な問題では、なさそうだ。攻撃対象地はいまのところ、シリア北部のアフリンであり、そこはトルコ国境から、極めて近い距離にある。*

*このアフリンにクルド・ミリシアが陣取っており、それはトルコへの攻撃を意図しているとし、トルコは攻撃される前に、攻撃を仕掛けたということであろう。従って、このトルコ軍の行動は正当な軍事行動、ということになろう。イギリスはトルコ軍の攻撃を、正当な行動として認める、発言をしている。*

*しかし、アフリンを始め、シリア北部で展開しているクルド・ミリシアは、アメリカの全面的な支援を受けているのだ。アメリカはクルド・ミリシアを中心に、SDF(シリア防衛軍)なるものを結成したが、トルコ軍のアフリン攻撃では、このSDFが主な攻撃対象となっている。*

*しかも、このSDFのなかには、アメリカ軍の将兵が2000人もいる、と言われているし、外交官も200人程度いる、と言われている。彼らは外交官というよりは、情報部のスタッフが、主なのではないか。*

*そうなると、トルコ軍の攻撃次第では、アメリカ軍の将兵や外交官が、犠牲になることもありうる、ということだ。従って、トルコ軍のシリア北部への軍事侵攻は、近い将来、トルコ軍とアメリカ軍との間に、武力衝突を起こす可能性が、あるということだ。*

*トルコ政府は今回の、シリア北部への軍事作戦について、第一に、シリア北部30キロまで侵攻して、トルコの安全を確保することを上げており、次いで、YPG(PYD)を攻撃することにより、アメリカのYPGに対する武器供給を、止めることだと説明している。*

*現在、トルコ軍の推定では、アフリンに8000人から10000人の、YPGが集結しているということだ。トルコ軍はそのアフリンに、5キロ侵入したと発表している。その地域に対し、トルコ軍はこれまでに戦闘機や砲で、153回攻撃を加えている、ということのようだ。*

*私の考えでは、トルコはどうも見ている範囲では、本格的な軍事攻撃を、かけていないのではないか、と思えてならない。アメリカに対する配慮、不安があるからかもしれない。*

*しかし、そうした中途半端な攻撃は、結果的にトルコ軍のシリア侵攻を、泥沼にはめ込むことに、なるのではないだろうか。エルドアン大統領にしてみれば、シリアへの軍事侵攻で、どれだけ経済的リスクが発生するのか、どれだけの将兵が犠牲になり、武器を失うのか、多くの難問が控えていよう。*
 
 
 
NO:4993 1月23日
『トルコ軍のシリア侵攻への世界の声』
[2018年01月22日(Mon)]
 トルコ軍が南東部の安全を、確保するという口実であろうか、シリアの北部に軍を進攻させて、既に3日目になろうとしいている。このことに対して、各国がそれぞれの立場を、明らかにしてきている。
 トルコのシリア侵攻作戦は、何が目的なのであろうか。トルコ軍は既にアフリンを含む、シリア領土内30キロの地域を制圧した、と発表している。この地域はトルコに隣接する地域だが、多分、トルコは戦後もその占領地域を、支配し続けるのであろう。
 トルコのシリア領土への執着は、オスマン帝国の夢を追うことから、起こっているのであろう。勿論、それでは国際的に通用するわけは無く、あくまでも自国の安全確保だ、と言わざるを得まい。
 そうしたトルコの本音を、トルコの周辺諸国は分かっているし、それ以外の国々も分かっていよう。イランはシリアに対して、特別の関心を抱いている国だが、当然、今回のトルコ軍のアフリン作戦に、反対している。
 アメリカも同様に、トルコ軍のシリア侵攻作戦を、早急に止めろ、と叫んでいる。それはトルコ軍のシリア侵攻で、アメリカが創設しつつある国境警備軍が、崩壊するからであろう。国境警備軍はほとんどが、クルド人によって結成されている、アメリカの傭兵軍のようなものだ。
 エジプトもトルコ軍のシリアへの、侵攻について反対しているが、それは、シリアがアラブの国の一つであることに起因し、トルコの意図が領土支配にある、と見ているからであろう。アラブの軍事大国であるエジプトとしては、トルコがアラブの国に侵攻し、支配することは許せまい。それが許されれば、他のアラブの国々にも同じように、トルコは軍を派兵し、支配するようになる、危険性があるからだ。
 ロシアはいまのところ、沈黙を保っているが、それはトルコをアメリカの同盟国から、外すためであろう。しかし、ロシアは決してトルコを、信用しているわけではない。事態が進展し、シリアのアサド体制にとって、危険な状況が出てくれば、ロシアは反トルコに回るであろう。
 現段階では、シリアのクルドが力を付け過ぎて、シリア国内で分離独立に至ることを、トルコが阻止していることが、ロシアをしてトルコの軍事侵攻に、沈黙を守らせているのではないか。これまでシリア政府が、クルドの動きを放置していたのは、対IS(ISIL)からであったろうが、いまではIS(ISIL)問題はほぼ解決しており、シリアにとって次の敵は、クルドということになるからだ。
 これからはもっと本格的に、国際的なトルコ非難が広がって行こうが、必ずしもそれが論理的とは言えまい。イランはシリア軍の要請ということだが、シリアに軍を派兵しているし、アメリカはシリア政府の立場を無視して、シリア国内に国境警備軍 (傭兵軍)を創設し、シリア国内に10箇所以上も、軍事基地を創設しているからだ。そこには何の正統な論理もない、力だけがものを言う、状態があるだけだ。
 
Posted by 佐々木 良昭 at 10:13 | この記事のURL
----------------------

トルコ大統領:米軍は中東にいつまで居る気なんだ!

 
イラクとアフガニスタンにはいつまで居る気なんだ?アフリーンでの作戦を制限する米国の呼びかけをはねつける。
 
シリアのアフリーンでのトルコの作戦の期限と範囲を制限する米国の呼びかけをトルコのエルドアン大統領は非難した。他国における何十年もの米政権の軍事的存在を指摘して。
Turkish President Recep Tayyip Erdogan has criticized the US call to limit the time and scope of his nation’s operation in Afrin, Syria, pointing to Washington’s decades-long military presence in other countries.

rt.com