企画段階から参加したBBCの番組と何かと協力関係にある週刊文春の大きなチカラがあって巨大なジャニーズ事務所にほんの少しばかりか「テコ」入れが出来た印象があるものの、それは違和感ばかりで結局は真実を捻じ曲げても帝国こそ真実なりと言わんばかりの「会見」(?)が発信された。
これは、ジャニーさんの問題が提起されてから半世紀以上が経ち、これまでに新聞や週刊誌に加えて僕の著書や記事だけでも35年も報じてきた事実である。
一部の報道やコメントでは最近の「話」になっているが、僕だけでも35年も発信し続けてきた経緯は無視できない。
特に北公次(フォーリーブス)と僕らは本の他にビデオまで制作してリアルなメッセージを発信してきたが故に一般世間でも知る由は容易に得られてきた環境にあっただろう。
※告発ビデオは、一部がYouTubeなどで見られる。
しかしジュリーは「知らない」と驚きの発言。知らないがため、答えようがない、確かめることもできないので何も認めない、あえてそう強調して、おおよそ無関係でありたい気持ちが露呈するも「騒動」についてだけは謝罪する好都合なる一方的な会見は逆に「想像通り」の絵に描いたようなものだった。
ジュリーにとっては当事者ほぼそのもの(直系家族かつ取締役で現代表)という立場から「知らなかった」し、その事実は「知らない」から「何もわからない」と発した今回のコメントが、この一連の流れで何より一番の衝撃的なる事件であると見た。
そもそも何に対して謝罪しているだろうか、、、 自らが認めてない被害者に対して頭を下げているのか、不思議だ。
見事なまでにシラを切り、告発や訴えにある事実を認めようとはしない姿勢を打ち出した一方的な会見(?)こそ最も許されない態度ではないかと思われる。
まさか全てを「知らない」で押し切ろうとするとは思いの外、何事にも動じないさすがはメリーの娘として立派ではあるが、ジュリーはジュリーであり現在の社長でトップなのだから正直な対応で挨拶すべきだったのではないかと感じる。
結局は、知らないのも、わからないのも全て嘘であり、極力として傷を大きくしたくない意思でやり過ごそうと、その魂胆は分かるがジュリーのメッセージは誰にも届かないし響かないでしょう。岡本カウアンには何を条件に取り込んだのかわからないが、これで終わりとはならない。
ただジュリー本人もわかっているはず。この程度で収拾はしないだろうし、嘘と隠蔽にて更なる問題を生み波紋を広げていくのは目に見えているわけで、天才的な頭脳を持つジュリーなら当然それくらい分かってはいる。
だがしかし、本当の事が言えない理由も多々あることで嘘をつき知らないフリを決め込む必要があるのだ。また数ある告発の事実も認めてないことからも現在のジャニーズ事務所としては噂の域で取り留めておきたいのだろう。
要点は、「知らない」「知らなかった」と「事実かどうかは確認できない」だけで事案についての問題には一切の責任がないことを強調しただけの発表にしかなってないことが更なる疑問を生んだ格好だ。
記者の多くは「問答」できる公なる会見の場を要望するが絶対に応じないのがジャニーズ流である。例えば今回なら「本当に何も知らないのか?」から「噂の一つも聞いたことがないのか?」などと皆の前で聞きたいところだ。
前出の通り世間が容易に知ることになってから半世紀以上、身内である「叔父さん」の性癖や趣味を一度も聞いたことがないのか? 記事や噂の一片も見たり気にしたことがないのか? この質問に対して真っ当な姿勢で違って本当に「知らない」と言えるのだろうか。
その上、ヒヤリングやら調査やらとそれらしいパフォーマンスをしている「フリ」も胡散臭いし、さらには放送業界と広告業界に向けたコンプライアンスセールにはしっかり取り組んでいる模様で企業としての守備は固めてあり、万全ではないものの敵なし強気は根本的に変わりはない姿勢は変わらない天下のジャニーズだ。
若い頃はドラマにも出ていた女優のジュリーにとっては簡単な演技で潜り抜けられる容易い会見であっただろうが、誰これ? 不安と心配を演じているこの女性は誰だ!? キャラ変えか、天下無双、無敵のジュリーが頭を下げるなんて素晴らしい「演技」ではあったが中身が空なので結局は「やってみた」レベルのパフォーマンスになっている。
それらしい御託を並べてはいるが、知らない張りで一切を認めないのだから意味こそもないのではないか。とりわけ「会社として、現社長として何もしない」という事は避けただけで、会社としても社長としても真摯である印象だけは打ち出したいのでしょう。
ジャニーズの歴史からしたら快挙にもなる代表者の顔出しコメントはもちろん初のことなので本来なら褒めてあげたい気分にもなるところ、守らなければならないものが多すぎると事実さえ隠し通さないと上手くはいかないのでしょう。
事実を「認める」としたら、これまでのタレントから今いる所属の全員が「被害者」ということも「認める」ことになる。
そうなれば被害を受けたタレントたちからのコメントも欲しくなるのがマスコミであり世間でしょう。往年の大スターからSMAPや嵐だって例外ではなく、もちろんデビュー前のジュニア連中もである。
ほぼ全員がそれぞれ相当の「被害」は受けている。もちろん皆が知る事実である。それを認めることを避けたいジャニーズ事務所。
この被害を受けた人数は少なくても数千人に上るでしょう。週にひとり50週で半世紀以上の時間を単純計算しても2500人以上が被害者数として推測できる。これは「事件」ではないのか? 歴史的な事件として取り上げられても不思議はないだろう。
それでもジュリーは、自分も知らないし、タレントたちの被害状況も知らないし、プライバシーだから聞けないと、、、
何もならないことを前提にした「調査」がまたジャニーズらしいが、そもそも「被害」と思ってないタレントも多いので、そういった「味方」もあり、ジャニーさんもジュリーもまた守られている独特な環境世界にいることに違いない。
ただ新たなる告発者もまだまだ多く準備されているし、真実の追求を止めてはならないと正義で動くマスコミも少なくないところ、今回の嘘で固められたパフォーマンスは更なる問題で大きく蠢いていくことでしょう。
加えて外野がまた騒がしく面白いのも事実。ジュリーにとってはウザいだけだろうが、特に旧N党の立花さんが非常に元気で愉快である。
語弊が生じるかも知れないが、面白いとか愉快というのは、問題を取り上げてくれて多方面に興味を持ってもらえるように「ネタ」として広げてくれているのは非常に有り難く思うところの意味合いである。
オリエンタルラジオの中田さんは具体的な解説を加えて僕の本まで紹介してくれている。そう言う動画が高評価を得ている模様は多くの興味と関心を生み出しては「チカラ」となっているだろうし、そういった方々の行動が巨大な相手を狼狽えさせているのが今まさに、であろう。
ジュリーはジュリーで、私はジャニーズを、タレントたちを、家族を身を挺して守ってるの的なパフォーマンスで「勇気」ある顔出し会見を敢行したが、この下手な演技でどれだけの人たちが騙されるのか今後も見ものだが、その一方ではジュリーだって被害者だと、僕は思っている。
何もかもぶちまけて正直な会見さえしてくれたら被害者もファンもタレントたちも、そしてマスコミの皆さんも皆んなジュリーを支えようと、そう思ってくれるはずだ。
普段からタレントたちとコミュニケーションを取らないジュリーだからこそ、誰も本当のジュリーを知らないし、わからない。当時もジャニーさんはいつも一緒だけどメリーさんは見た事がないタレントは多かった。
今のジュリーは現役時代のメリーさんよりもメリー的な立場と印象だろう。古株のスタッフや経営を支えるプロフェッショナルなブレーンは数も質も確かに揃っているがジュリー個人の味方が見られる気配がないように感じる。
あえて敵を作っている訳ではないだろうが、現場の多くは人任せなうえ、誰とも寄り添った付き合いをしてこなかった不器用さが足を引っ張るのか、または人を信じられないのか、なんとなくジュリーの寂しさを感じているのは僕だけではないと思う。
ジャニーさんもメリーさんもいないジャニーズに魅力こそ薄れてきたが、ジャニーズ事務所を守っているジュリーには一定の評価はするものの、これを機会にジュリーならではのジャニーズ事務所、つまりはジュリーの信実で勝負しでもらいたい。そう願う。
平本淳也