肥前蔵心特別純米について 地味だけど安心感のある存在
この佐賀県の酒蔵とはけっこう長い付き合いで、上原先生が『純米酒とわたし』を出版された頃だから、もう十数年前になるだろうか。
初めてここを訪れたときは、まだ息子が大学に通っていた頃で、お父様が酒造りの前線に立っておられた。
そのお父様が佐賀県の指導の先生(技術的な指導をする人)から、良いお酒を造りたいなら『純米酒とわたし』を読みなさい、と言われたそうで、それまでの造りをがらっと変えたいと試行錯誤されている最中だった。
正直、その頃のお酒は迷走してた印象で、タンクによって品質は様々だった記憶がある。
しかし、段々と変わっていって、生もと造りも始めて全体の品質が上がってきた。
個人的には生もと純米が最も好みなんだけど、この特別純米も、派手さは無いながらしみじみとした旨味を感じるんで、ゆっくりと本でも読みながらチビチビとすするように舐めるように飲みたい時なんぞはちょうど良い。
使われているお米は「さがの華」という佐賀県の酒米で、これを60%精米して造られており、スタンダードな純米酒といった趣き。
これはもう28byに変わったから、さすがに開けたてはまだ堅さも残っている。
でも二日目頃から堅さがとれてきてお燗にすると柔らかい旨味が口の中に広がるようになる。
特別純米だから、ちょっと吟醸タイプっぽい香味もあるんだけど基本的には食中酒として楽しめる。
特に強い個性があるわけじゃないけど、迷った時にはとりあえずこれを選んでおけば良いという安心感。
まあ、DやJのようにミーハーが飛びつくような味じゃないけど、存在自体が地味だけどいつでも安心して飲めるってのは有り難いね。
