青山・月見ル君想フで、GOOD BYE APRIL。
「クリスマススペシャルワンマン “冬のおもてなし”」
倉品くんが「2014年一番の大勝負」とFBに綴っていた今年最後のワンマンライブ。「何年か経って、頑張って大きなステージに辿り着いたとき、そこで叶えよう」と思っていたけど、でも「待ってられなかった」と綴っていたスペシャルライブ。「念願のひとつ」だと前に彼がぼくに言っていた、そのライブを楽しみに観に行った。
いいライブだった。本当にいいライブだった。このバンドの初ライブから何度となく観てきたが、現段階の、これは彼らのベストライブだったと断言したい。そう思えたほどに。
引き込まれた場面がいくつもあったが、まずは中盤に演奏された「手紙」が素晴らしかった。倉品くんのアコギと歌で始まり、卓史くんのギターがそこに合わさって、そのように完全にアコースティック・アレンジで演奏されたその曲は、中盤からはえんちゃん、そしてつのけんが控えめにコーラスを重ね、味わい深さがグッと増していた。弾き語りに近いアレンジでありながらも、それはやっぱり4人の音と声で成り立ったもので、ああ、これもひとつの「GBAのバンドサウンド」なんだなと思った。
続くクリスマス用の新曲「Bitter Sweet Christmas」も、初めて聴いたがとてもいい曲だった。クリスマスながらもちょっと切なさのある歌詞で、GBAの持ち味がよく出ている曲だった。
そしてやっぱりこの夜のハイライトは、バイオリンの島内晶子さんとチェロの林田順平さんがゲストで加わった「te to te」と「ブルー・ライト・ブルー」と「夢みるモンシロ」だった。「ブルー・ライト・ブルー」の演奏時には背景の月が地球になり、それもあってまさに宇宙的とも言える広がりが生まれていた。ストリングスを加えて数曲やると聞いたとき、この曲はきっとやってくれるだろうと思ったし、自分なりにストリングスが入ってのこの曲をイメージしてもいたのだが、果たしてその美しさと広がり方はぼくのイメージを遥かに上回るものだった。
「te to te」と「夢みるモンシロ」がストリングス入りのアレンジ曲に選ばれたのは少し意外なようでいて、しかし聴けば大いに納得させられる完成形だった。「モンシロ」はストリングスが入ったことで、より高くのびのびと空へ飛んでいく姿が目に浮かんだ。因みに3曲のストリングス・アレンジを手掛けられたのは島内晶子さんだ。
ストリングス入りパートが終わってから一転して数曲ロック・モードで攻めた、その緩急のつけ方も効果的だった。
「パレードが呼んでる」は、まるで大きな物語が大団円を迎えたような、そんな多幸感に満ちていた。
そして「50歳のロングヘアー」。現時点でのこのバンドの傑作のひとつと言っていいこの曲で聴く者全員の心をじんわりさせながら本編の最後を締める、そのあり方もGBAらしかった。
アンコールで演奏された1曲「アイム・フォー・ユー」も、いつにも増して胸に響いた。
アンコールで演奏された1曲「アイム・フォー・ユー」も、いつにも増して胸に響いた。
といったように、名場面・名編曲がいくつもあった。
「がらんどう」から「深海プラットフォーム」へのピアノ音による流れを始め、曲と曲の繋ぎ方もよく練られていたし、1曲目で伏線的にクリスマス曲をさらっとやり、中盤のクリスマス新曲で回収するといったあたりの構成も見事だった。だから、このライブはひとつの大きな物語のようにも感じられたわけだ。
GOOD BYE APRILはあからさまに熱くてエモな表現を見せる爆発型のロックバンドとは違う。が、特に倉品くんなどは抑制をきかせながらも、抑えきれないエモさが溢れ出てしまっている場面もあったりして、それがまたよかった。4人の内側から熱い思いがじゅわっと溢れ出ているのが観ていてよくわかった。終盤、珍しくえんちゃんがマジMCをしたこともその表れだろう。あれ、けっこうグッときたな。
また、いままでこのバンドはライブハウスでの生々しい音表現がしっくりくると思っていたけど、この夜の…とりわけストリングスが加わった際の音の広がりを感じながら、いつかやっぱりホールで観たい(聴きたい)とも強く思った。その意味でも、もっとたくさんのひとにこのバンドのよさが伝わることをぼくは願っている。そして、それは本当にちょっとしたきっかけなんだろうな、とも思う。
街中に派手なイルミネーションが灯っても、ぼくは最早商業的なあれこれを先に考えてしまうようになってしまったおじさんであるが、ライブでこうしてクリスマス曲が聴けたり、クリスマスらしい飾りや木がステージに施されていたりすると、やっぱり素直に心が躍るものだな。とか思ったりもした、そんな手作りの温かさがあった“冬のおもてなし”ライブでありました。

