❏❏❏ 回顧録:2007年3月15日 東京・慈恵医大病院

 

私と妻は、17階のラウンジで、今まさに手術を終えた患者がベッドごと運び込まれるのを見て、心臓のドキドキが止まらなかった。

 

唖然としていると、看護師の呼びかけられた。

個室の準備が整ったという。

 

それから、個室に移り、ひとまず落ち着いた。

 

スーツケースに入れてきた「ありとあらゆるもの」と取り出し、収納に入れた。

 

「ここが、これから1週間過ごす、俺の部屋か」

 

そう思うと、少し愛着が湧いてきた。

 

手術前日の予定は、検査、今後のスケジュールの説明、そして骨折した足首のギプス・カット。

 

巨大な白い長靴のギプスを電動ノコギリで切断し、ソフトタイプの「アンクル・ガード」と言う、しっかりした「サポーター」に換えるのだ。

 

これは、とても楽しみであった。

 

これで、ギプスの不自由さから解放される。

 

しかし、その前に「癌手術の事前検査」をしておかねばならない。

 

時間どおり来た看護師に連れられ、2階検査フロアに移動した。

 

行う検査は、「心電図検査」と「血液検査」。

 

手術は、患者の体には大きな負担である。

メスで体を切るのだから。

 

それゆえ、その手術に耐えうる体である事を、事前に確認する必要がある。

 

また、患者の最新の血液の状態を知る必要もある。何が起こるか解らないからだ。輸血の可能性だってある。

 

検査室から戻ると、看護師が「入院診療計画書」なるものを持ってきて、説明が始まった。

 

※看護師は、入院初日に、これからの予定を「入院診療計画書」をもとに説明してくれた。赤字で「手術」とある。いよいよだ、と不安が募った。