彼の胸の中にいた。

「お…かだ…さん」

切れ切れに言う私を彼は一層強く抱きしめた。
目指すもののために鍛えた体。
きれいなだけじゃなく、実際に使うための筋肉のつき方。
逞しく強い。

なのに…今私の耳には早鐘のように打つ彼の心臓の音が聞こえる。
それが嬉しくて…彼の背中に両腕をまわした。

「もう…行かなきゃだよね?」

彼の唇が私の耳には触れた。
そんないい低音で囁かれたら…腰がくだけちゃうよ。

彼は力が抜けそうになった私の腰を片腕で軽々と抱きとめてくれ、再び耳元 で

「もう一回だけ…いい?」
と囁いた。

抗いようもなくただただ彼を見つめる私の頬をそっとつつみこみ、


優しく彼の唇がふってきた。