十六歳のアメリカ ベースボール 三二、勝負はこれから 128 | 六月の虫のブログ

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 トーナメント前のKVCの公式戦、マンティノ高校戦も勢いに乗る我がチームは、六対二で圧勝した。この試合でブライアン・ジョンソンが勝利を上げ、彼の勝ち星が五つとなり、マーサリに並んだ。
 州のトーナメント入りを賭けたマリスト (Marist) 高校とのゲームにも、マーサリが先発した。彼は疲れていたのか、いつものピッチングができず、一対十で大敗を喫してしまった。マリスト高校のピッチャーは、イリノイ州の高校生の中で球が一番速いと評判の選手で、彼もシカゴ・カブスからスカウトされているらしい。フットボール・プレーヤー・タイプのブラッドリー高校のドローベックよりもきゃしゃな体格だが、ボールはドローベックより速かった。
 残りの試合は、二試合。最終戦は、若いジュニア・ヴァーシティーのメンバーで戦うことになっていたので、実質的にはKVCの最終公式戦のセイント・アン高校戦が最後となる。この試合には、ボクが先発することになっていた。セイント・アン高校の生徒のほとんどが黒人で、彼らのベースボール・チームのプレーヤーは全員黒人だった。この頃になると、チームメイトたちは完全に我がチームの方が実力は上だと信じていて、セイント・アン高校に負けるとは思っていなかった。これが主力プレーヤー最後の試合ということで、できるだけ多くのピッチャーに投げる機会を与えるために約束事とを設けた。点を取られたらピッチャー交替というふうに、ミスターZに前もって約束させられていた。勝利投手の権利が欲しいため、ボクは何としてでも四回まで無失点で抑えたかった。ブリーチャーズを見ると、ボクのラッキー・ガール、パム・ジェームズがアウエイ・ゲームにもかかわらず観戦に来ていた。
 パムはやはり幸運の女神だった。この日マウンドに立ったボクは、今シーズン一番の出来だった。コントロールも良く、変化球も決まった。セイント・アンのバッター達は大振りが目立ち、チェンジ・アップや二種類のカーブにまったくタイミングが合っていなかった。特に、サイドスローで投げるカーブの曲り方には驚いたらしく、そのボールを『スキヤキ・ボール』と命名してボクをからかった。ボクは順調に四回を無失点に切り抜けて、めでたく勝利投手の権利を獲得した。味方は四回までに四点を取ってくれていた。四回を投げ終えたボクに、ミスターZが勝利投手の権利を獲得したのだから交替したいかどうか尋ねた。ボクは点を取られたら交替すると言った。

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試合の後、同級生たちに勝利を祝福されるボク。左から二人目がボクのラッキー・ガール、パム・ジェームズ。