…夫の帰りが遅い。

いつもなら電話をくれるのに…

 

電話しても留守電になるし、

メッセージは既読にならない。

 

事故に遭ったんじゃないか…

悪い人に絡まれているんじゃないか…

 

こんな遅い時間になった事ない。

…もしも、もしもの事があったら…

 

 

…そう考えたら、

他の事が、全て、どうでも良くなった。

 

夫とチャンネル権を取り合ってでも情報を得ようとしていた経済ニュースとか

この先の為に仕事をしてお金を得ようとする事とか…

一人になったら…そう考えるだけで、全て、何もする気になれなかった。

 

もっと優しくしてあげれば良かった…

変顔をして笑わせて来る夫の顔を思い出すだけで、涙が滲んだ。

 

 

…と、ガチャっとドアのカギを回す音がして

玄関の電気が点いた。

 

(良かった…帰って来た。)

連絡ぐらいしなさいよ!となじりつつも、ほっと安堵する。

 

 

私にとって、この人は、こんなに大事な人なのか。

空気のように、居て当たり前で、

時にめんどくさいとすら思う相手なのに…

 

結婚以来のセックスレスで、

私の結婚生活は、結婚生活とはとても呼べないような、

ただただ、苦しむばかりの日々だったのに…

 

不思議なものだ。

自分でも、どうしてなのか、解らないし、

上手く言葉に出来ない。

 

でも、夫が無事で、生きている事。

それだけで、有難いことと思った。